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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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再会

集中砲火と朝日を浴び、黄泉の国の軍勢が消えた場所に残ったのは、女の子の赤ん坊――春秋竜美。そして男の子の姿になった鹿島だった。


「鹿島建御は、第六感を含むすべての神の力が発現した稀有な人材じゃった。ただ第六感以外は発現の程度が低く、もっと訓練を積めば、その力はさらに伸びておったじゃろう。将来を嘱望された一人じゃった。がっちりとした体格をいかした武器で戦い、最後まで仲間を守り抜いた」


じっちゃまはそこまで一気に語り、乾いた喉を潤すようにお茶を飲んだ。


「鹿島建御は日記をつけておった。その日記の中に、神探しのことや神降ろしのことが書かれておった。神探しを自力でやってのけ、成功したことも書かれておった。第三次討伐作戦があと一か月後じゃったら、鹿島建御は神降ろしを成功させ、第三次討伐作戦も、もっと違った結果になっていたと思うと、悔しゅうて、悔しゅうてのう」


じっちゃまは目をつむり、息を大きく吐いた。


「子供の姿になってしまった鹿島建御の行方は、当時の上層部によって隠されてしまった。ようやく機密文書を自由にみられる立場になっても、多くの文書が破棄され、その行方を追うことができなかった。どこかで生きているのか、闇に葬られてしまったのか、わしにはつかむことができなかったのじゃ。だからのう、ここで当時とは違う姿になったとはいえ、成長した鹿島建御と再会できて、わしは心から嬉しく思うんじゃ。よう生きていてくれた。ようここへ戻ってきてくれた、とな」


「じっちゃま……」


「とはいえじゃ、おぬしは今も昔も変わらず、自由奔放じゃ。かつて神探しを一人でやったと思ったら、今度は神降ろしを一人でやってのけた。わしの仕事をとるんじゃないぞぉ」


しんみりとした雰囲気を吹き飛ばす声だった。


「あの、じっちゃま、神降ろしの儀式は早くやれって、雷神が言っていました」


「そうじゃのう、明日にでも執り行うとするか。おぬし、まったく体力的に問題なさそうじゃしのう」


「お願いします」


俺とじっちゃまは、明日、神降ろしの儀式を行うと約束し、そして俺は自分が鹿島建御であることをしばらく自分の中でとどめておくことにした。


「今はおぬしのことを黒雷蓮として扱うが、いずれ決断の時がくる。鹿島建御として再スタートするのか、黒雷蓮として生きるのか。それぞれの家族とも話をしなければならない時がくる。今一度自分の胸に、問いかけ、答えをよくよく考えてみることじゃ」


「はい」


こうして俺の神探しの儀式は終わった。



夕方からの体力作りのトレーニングはかなりキツかった。


自分の生き方の選択という重い課題について、思い悩む余地がないぐらいハードだった。


数日訓練を休んだだけでこんなに体にくるとは思わなかった。


「設備が整った訓練施設じゃなく、山道で岩とか坂とかが多いから通常よりキツいんだよ~」と陽菜はぼやいていたが、まさにその通りだった。


しかも、阿曇先輩が担当と言いつつ、僕らの護衛につく沫那美先輩の視線がプレッシャーとなり、より真剣に、より懸命に取り組まずにはいられなかった。


十八時になり、終了となった時、俺たち三人は魂が抜けたように疲れ切っていた。


神社の防衛に入る沫那美先輩と別れ、阿曇先輩はヘロヘロの俺たちを連れ、まずはシャワーで汗と泥を落とし、そして食堂へ向かった。阿曇先輩は明日の朝まで俺たちの護衛任務に就くため、一緒に晩御飯を食べることになった。


食堂に着くと、すでに何人かの職員や神職者が食事を楽しんでいた。なんでも俺たちが滞在することで、食堂は朝昼晩と開いていることを知った職員が、お弁当を席で食べるのをやめ、ここで食事をとるようになったそうだ。


席で黙々と食べるより、誰かと食事をする方がリラックスできる。じっちゃまも皆に食堂を利用するよう推奨していた。


ちなみに食堂は芽衣さんを中心に巫女の皆さんが腕を振るってくれていた。


「皆さん、お疲れ様です。今日は餃子です。生姜入り餃子、シソ餃子、チーズ餃子の盛り合わせですよ」


腹ぺこの俺たちは大喜びで三種盛り餃子に飛びついた。


阿曇先輩とはまだあまり話したことがなかったので俺は餃子を堪能する合間に話しかけてみた。


「阿曇先輩、防衛本部のみんなは元気ですか?」


「うん。かねがね元気だね。リツコ先輩も医務室から帰ってきたし、あとは夜見くんだけかな……」



この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

夜見先輩は医務室にいるようです。何があったのでしょうか……?

引き続きお楽しみください。


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