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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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芽衣さんの秘密

「はい。なんでしょう」


「芽衣さんって、神の力、発現していますよね?」


横を見ると芽衣さんがいない。


後ろ振り返ると、芽衣さんは両手で口を押えて、立ち止まっていた。


「ど、どうしてわかりました⁉」


分かりやすく動揺していた。


「あ、もしかして秘密でした?」


芽衣さんは一度うつ向いてから顔を上げた。


「おじいちゃんにもばれていないのに、どうして分かったのですか?」


じっちゃまにばれていないって、どんだけ頑張って隠しているんですか、芽衣さん!


「あの、落ち込まないでください。全力でばれないように隠していたんだと思います。多分、気が緩んだ瞬間にバレてしまっただけです」


「……そうですか。それでいつ?」


「狭霧が神降ろしを成功させて、影の血を浄化した時、芽衣さん、狭霧の姿が変化したこと、気づいていましたよね」


芽衣さんの表情は「イエス」と物語っていた。


「……あの時……!」


芽衣さんは大きくため息をついた。


「……はい。あの時、天野さんの姿が、私が想像していた神そのもので、あまりにも神々しくて。つい感嘆の言葉を……」


そこで芽衣さんは言葉を切り、上目遣いで俺を見た。


「でも、たったそれだけで気が付くなんて反則です」


「そう言われても……」


「私は正式な訓練を受けたわけではなく、神社を訪れる黒影の皆さんにどんな訓練をしているのかを聞いて、私なりの方法で訓練をしてみたんです。その結果……おそらくいくつかの力が発現したんだと思います」


「自力で発現させたのですか⁉」


「自力で神降ろしされた方に言われたくないです」


「……確かに」


そこで俺たちはプッと吹き出して笑い、本殿へ向かい歩き出した。


「少し、気が楽になりました。私だけの秘密って気負っていましたので」


「芽衣さんは本当に黒影になりたいんですね」


「どうなのでしょう。ダメと言われるとやりたくなる天邪鬼なだけかもしれません」


「だからといって神の力を発現するまで自主トレするのは、やっぱり真剣になりたい気持ちがあるのだと思いますよ」


「……そうですね」


「今一度、自分の気持ち、お父さんやおじいさんに話してみては? 神の力が発現していることも、話してみたらどうですか?」


「……考えてみます」


そこで本殿の扉の前に着いたので、俺たちは会話を止めた。


芽衣さんが扉をゆっくり開け、俺は中へ入った。


芽衣さんは俺が中に入ると、静かに扉を閉めた。


本殿の中は自然光と内陣の蝋燭の炎がゆらめき、静かで、厳かな雰囲気に満ちていた。


外陣にいるじっちゃまも正装をしており、いつもと雰囲気が違っていた。


「遅い。芽衣と何か無駄話でもしっとたんじゃないか」


いつもと同じだった。


「す、すみません! 俺が風呂に時間がかかりました」


「まあ、よい。そこに座れ」


「はい」


俺が腰を下ろすと、じっちゃまは腕組みをして説明を始めた。


「通常の手順じゃと、神探しをして自分と縁のある神を見つけてから、神降ろしを行う。神降ろしは一度成功すれば、縁のある神と相談し、二回目以降の呼びかけの約束を行う。そうすることで、一回目の時のような儀式なくして神降ろしが可能となる」


そこまで言ってじっちゃまは眉をくいっとあげた。


「おぬしはその手順を全部すっ飛ばして神降ろしを行ってしまった。もちろん二回目以降の約束もしとらんじゃろう。まずは神に呼びかける神探しを行うところから始める。応じてくれると良いのじゃが……」


「あの、縁があっても応じてくれないことがあるのですか?」


「ある。その者の過去の行いに、人を貶めたり、人を害したり、人を傷つけたりと罪を犯していると、神は縁があろうと応じることはない」


「なるほど……」


「スムーズに進むか時間がかかるか分からんからな。早速神探しを始める」


「はい」


「わしは祈祷に入るから、おぬしは心の中でこう唱えるのじゃ。『私と縁のある神よ、どうか私に力をお貸しください』この言葉をとにかく何十回、何百回と唱える。分かったか?」


「わかりました」


こうしてじっちゃまはよく通る声で祈祷をはじめ、俺はヨガで習った瞑想を使い、神探しに集中した。そしてひたすら「私と縁のある神よ、どうか私に力をお貸しください」と心の中で唱えた。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

蓮の神探しが始まりました。雷神は現れてくれるのでしょうか……?

引き続きお楽しみください。

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