お互いの進捗
沫那美先輩も含め、全員で一階に降りていくと、食堂に狭霧の姿があった。
「どうだった⁉」
顔を合わせると、俺たちはお互いの進捗を尋ねた。
「僕の方は順調に終わった。御神体は僕が持ち歩く形になってしまったけど、この神社から神が消えたわけではないし、これまでの剣とは別のものを御神体に変えるための儀式が行われたんだ。実は熱田大臣、金山統括庁の上層部の人、防衛本部の偉い人、あと天津頭領とか結構沢山の人が来ていたよ」
「そうなのか」
よくよく考えてみると、沫那美先輩は俺たちの様子を見つつ、外の方にも目を配っていた。それは本殿の儀式、来賓の安否を気にしていたのだと、ここでようやく気付いた。
「熱田大臣と話せたりしたの?」
陽菜が尋ねると狭霧は首を振った。
「『君の活躍は聞いているよ。これからも頑張ってくれ。いずれまたゆっくり話そう』とは言われたけど、人も多かったし、儀式が終わるとすぐ金山統括庁に戻ってしまった」
「えー、でもその一言をもらえたのだけでもすごくない? あとゆっくり話そうって、須虞那先生が言っていた話し合いの件かな⁉」
「うーん、ここ最近立て続けにいろいろあったから、話し合いの件は進んでいないと思うな。多分、社交辞令だよ」
狭霧はそう言った後、声を低くした。
「……どうも巨大蛇型の黒い影が現れた時、防衛本部でも何か起きていたみたいなんだ。金山統括庁の上層部の人と防衛本部の偉い感じの人が、『お互いに落ち着きませんな』みたいなことを言って、『まさか防衛本部でもあんなことが起きるなんて』みたいなことを言っていたんだよ」
「そうなの?」「そうなのか⁉」
陽菜と俺が思わず大きな声を出してしまい、食事中だった木ノ花先生と沫那美先輩や他の神社の職員がこちらを見た。
俺は慌てて
「いや、狭霧の天の羽衣の戦闘服が、アニメのキャラクターをモチーフにしていたなんて驚きだよ」
口から出まかせを言った。
狭霧は一瞬「え」という顔になったがすぐに話を合わせてくれた。
こちらを見た人は「なんだ」という表情になり、食事を再開した。
陽菜が「ナイス!」と指を立てた。
「とりあえずこの件はこれで」と狭霧が言い、俺と陽菜は頷き、自分たちがデザインした戦闘服の話を始めた。俺はタッツーさんのスケッチを参考にデザインしたことを話した。
その瞬間、陽菜とタッツーさんのデザインとイラストが酷似していた件を思い出し、一瞬この話はまずかったかと焦ったが、陽菜が何も反応しなかったのでそのまま話を続けた。
結局、陽菜は自分の戦闘服について語ったが、タッツーさんとの酷似の件に触れることはなかった。沫那美先輩の「だが、それだけだ」という言葉にまるで縛れているかのように、酷似していた件をこの時、俺も陽菜も口にすることはなかった。
◇
午後、俺は神探しからやり直すということで、まずは身を清めるところからスタートした。
狭霧によると、午前の神事の前にやはり身を清めるように言われ、お風呂に入ったそうだ。俺はお風呂に入り、用意された装束を身に着け、芽衣さんの案内で本殿へ向かうことになった。
狭霧と陽菜は沫那美先輩に連れられ、すでに道場へ向かっており、それぞれの訓練が始まっているはずだった。ちなみに木ノ花先生は防衛本部へ戻った。
「芽衣さん、俺、気づいたことがあるのですが」
宿泊棟から本殿へ向かう渡り廊下で俺は芽衣さんに声をかけた。
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蓮は芽衣さんに何を話すのでしょうか?
引き続きお楽しみください。




