最後に一つだけ
「なんじゃ、蓮」
「巨大蛇型の黒い影について、ひまり先輩が解析不可能、と言っていました。黒い影の血については黄泉の国の神もしくは同格の何かが関わっているとじっちゃまご自身が分析されたと聞いています。これってどういうことですか?」
「その話か。そうじゃな。基本的に黄泉の国の軍勢は、ひまりが扱うエレメントのいずれかで構成されておる。じゃが蛇型はこのどれにも当てはまらなかった。ゆえに解析不可能となったのじゃ。これと同じこと、つまり解析不可能となるのが、黄泉の国の神や同格のものたちじゃ。こういった者たちは元は高天が原に住まっていた神なのだから、黄泉の国の軍勢とは構成が違うのじゃ」
じっちゃまの説明に陽菜と俺は「なるほど」と頷いた。
「でも、その、黄泉の国の神やそれと同格のものが、人間を襲うのですか……?」
「蓮は神が人を襲うなんてありえない……と思っとるんじゃろう」
俺は頷いた。
「黄泉の国の神にとって、大切な民は死者じゃ。生者ではない。こう言えば分かるかのう」
「……!」
「とはいえ、黄泉の国の神が好んで生者を襲うことはない。関心があるのは死者で、生者は蚊帳の外、どうでもいい存在じゃ。生者と関わりを持とうとすることはない」
「ということは、黄泉の国の神や同格のものが特定の生者を襲うことはあり得ないのですね?」
「その通りじゃ。生者に関心を持たないはずの黄泉の国の神や同格のものが、なぜ狭霧を狙うのか? その理由について金山統括庁ではあーだ、こーだと会議で言い合っておる」
じっちゃまはそう言うと、膝をパンと叩いて立ち上がった。
「ということでわしはその金山統括庁へ行ってくる。熱田が来い、来いとうるさいんじゃ」
「お忙しいのにお話にお付き合いただき、ありがとうございました」
えま先輩が頭を下げたので、俺たちも全員それに習った。
「いや、有意義な話を聞けてわしも満足じゃよ。ではな」
そう言うとじっちゃまはすたすたと扉を開け、出て行ってしまった。
「えま先輩、この後、俺たちは……」
「あ、それね。今から一旦防衛本部に戻って、狭霧くんは検査、陽菜ちゃんと蓮くんは荷物をまとめて。狭霧くんも検査が終わったら、速攻で荷物をまとめてね」
「えっと、荷物まとめてどこへ行くんですか?」
「どこに行くと思う、蓮くん?」
「……まったく見当つかないです」
「この神社に戻ってくるんだよ」
「ええええ」
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