もしやあの人が……
俺はあの時の状況を思い出しながら話始めた。
「休憩所に行くことは確実にひまり先輩、狭霧、俺の三人しか知らなかった。たまたま見かけて立ち寄ることにしたから。でも、町へ向かおうとしていることは……知ろうと思えば知ることができたんじゃないかな。神社へ向かう情報をつかめたぐらいだから。その一方でエレメント使いのひまり先輩はある意味常時武装をしているのに近い。加えて属性分析で弱点を突く攻撃を確実に繰り出せる。敵からしたら、正面きって戦うのは避けたい相手だと思う。そんなひまり先輩と一緒にいる時にあえて攻撃をしかけるとは思えないから、この襲撃も偶然だったのかな……?」
するとえま先輩が「はい」と挙手をした。
みんながえま先輩を見た。
「ひまり先輩は時々姿を消します」
俺たちは「?」という顔でえま先輩を見た。
「ひまり先輩は基本的に一人で読書をするのが好きな人でしょ。特に気に入った本を読んでいる時は、邪魔をされたくない。だからそーゆう時にひまり先輩はエレメントを使い、姿を消しちゃうの。本当に消えているわけじゃなく、そこにいるのに見えなくなっちゃう。どうやっているのか、その原理は多分聞いても理解できなさそうだけど……」
「……なるほど。ということは俺と狭霧が町へ向かうことを知り、敵は攻撃を仕掛けたけど、姿を隠していたひまり先輩に気づいていなかった、というわけか」
えま先輩はうんうんという感じで頷いた。
「……でも一年前からの極小影の血を使った計画に比べて、廃墟と休憩所の襲撃はどちらも手前みそな気がする~」
陽菜の言葉に俺たちは黙り込む。
もしかして敵は単独犯ではないのか? 仲間がいるとか……?
「僕も廃墟と休憩所の襲撃は付け焼き刃が否めないと思う。もしかすると首謀者と協力者がいるのかも……? 協力者が廃墟と休憩所の攻撃を行い、首謀者が巨大蛇型の黒い影と極小影の血による奇襲を行った、とか……」
狭霧のこの言葉で俺の中で一人の人物の姿が浮かび上がった。
夜見先輩……。
木ノ花先生は同じ黒影の仲間を疑うことはしたくないと言っていた。
でも夜見先輩を協力者と考えれば、多くの「なぜ」が解決する気がする。
「あの、えま先輩には突拍子のない話に思えるかもしれませんが……」
そう言うと俺は倉庫での夜見先輩との出来事を話し、さらに廃墟には夜見先輩がたまたま薬草を取りに来ていて現れたこと、休憩所の際は非番要員として現場に駆け付けたが、その到着が不自然に思えるほど早かったこと、神社は授業の流れで訪問することになったが、護衛として公休の黒影に声をかけ、その中に夜見先輩がいたことを話した。
さらに黒影であれば、この神社の本殿で神降ろしすることは知っているだろうし、もちろん御神体がなんであるか知っている。
神降ろしとまで行かなくても、狭霧にとって縁のある神がそこにいるのだから、何か起きるかもしれない、と、推測することができるのではないか、と話した。
えま先輩は話を聞いているうちに表情が変わり、すべてを聞き終えた時は驚きで言葉が出ないようだった。
「なるほどのう。それは確かに興味深い推測じゃ。なにしろ夜見は脳に謎を抱えているしのう。怪しいと思ってしまうのう」
今度は俺を含め全員が驚いた。
「じっちゃま」「陰陽頭」
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