陽菜とえま先輩
「おーい、狭霧、蓮、そろそろ起きて~」
その声に俺はビックリして飛び起きた。
「うわぁ、蓮、そんな急に起きないでよ~」
……? 陽菜?
「あ、どうして私がここにいるのかというと、じっちゃまに頼まれてお弁当を持ってきたのデス」
「ぼくも一緒デース! 可愛い後輩くん!」
陽菜とえま先輩が部屋にいた。
えま先輩はまだ目覚めない狭霧の方に近づき、しげしげとその姿を眺めた。
「うわあ、ホント、カッコイイね。これさーリツコ先輩見たら、ヤバいよね。その場で押し倒されちゃいそう」
「えま先輩、物騒なこと言わないでください」
俺は布団をたたみながら、えま先輩をたしなめた。
「なかなか起きないから、こうしちゃうぞぉ」
えま先輩は狭霧の耳元に顔を近づけ、ふうっと息を吹きかけた。
すると狭霧の目がパチっと開いた。
宝石みたいに綺麗な碧い瞳だ。
その瞳はえま先輩をとらえ、そしてちゃぶ台にお弁当をおき、お茶の準備をする陽菜をとらえた。
そして「おはようございます」と言った。
えま先輩のいたずらはスルーだった。
「ちょっとぉ、狭霧くん、反応薄過ぎるってか、反応なし⁉ って言うか、瞳もホント、綺麗だねー」
えま先輩のツッコミを気にせず、狭霧は布団を片付け始めた。
俺は水場で顔を洗い、ちゃぶ台の方へ戻った。
端末を見ると、もうすぐ十四時だった。
えま先輩は座布団を並べ、陽菜と俺は着席した。
顔を洗った狭霧も遅れてやってきた。
「ぼく達はもうお昼済んでいるから、二人とも早く食べなよ」
えま先輩に言われ、お弁当の蓋を開けると、立派な松花堂弁当だった。
「いただきます」
俺と狭霧が食べ始めると、えま先輩が口を開いた。
「さっきまで、陰陽頭と打ち合わせをしていたんだよ。昨晩の出来事、少しは蓮くんに聞いていたけど、さらに詳しい話を聞くことができた。それでね、二人はまだ知らない、結婚一周年記念の旦那三人衆が、なんで影の血に浸食されたのか、その経緯も明らかになったんだ。ねー陽菜ちゃん」
陽菜は頷き、俺と狭霧を見た。
「その打ち合わせ、私が同席していいのかな、と思ったら、『狭霧と蓮は当事者じゃが、今は休んでおる。お前が聞いて二人に話してやるのじゃ』って言われて。ねー、えま先輩、今の似ていませんでした~?」
「分かる~。すごい似ていた。特に『じゃ』が」
「ですよね~」
「それで、陽菜、旦那三人衆はなぜ影の血に浸食されたの?」
狭霧がタケノコの土佐煮を箸でつまみながら冷静に尋ねた。すると陽菜は話を再開した。
「うん、それね。まず、田畑さんは採掘場で働いていて、一年前ぐらいに、性別不明の老人に出会ったの」
そこからの話はこうだ。
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さてこの後どんな話を陽菜はするのでしょうか?
引き続きお楽しみください!




