099 合わせナ
黒天二柱の弟、ヴリッドと戦うことになった私と、クラス6の4人。そして爆砕天。
これだけの戦力を揃えてもなお、まだ勝てないんじゃないかという不安が脳をよぎる。
「羽田茜、夜伽ルナ、ドレイン結界の準備を。ブラッディ・カーマは私と前線で命を張ってもらうわよ」
「……構わない。ここで命を落とすことも覚悟の上。それが妹を守れるのなら」
「行くわ!」
氷彗さんの声かけでブラッディと共にダッシュした。
茜さんと夜伽さんは結界の準備をする。私はどうすればいいかと悩んでいると、肩に白い手が乗った。
「お前ヨォ、遠距離攻撃できんだろ? なら俺に合わせろよ、ナァ?」
「えっ……」
「おら迷っている暇ねぇぞ、お前の大切な姉の首が吹っ飛んじまう前に決めナ」
言葉はいちいち癪なものを選ぶけど、爆砕天の言っていることはもっともだ。
今やれることをやらずに、いつ自分の力を出すというのか。
「わ、わかりました。爆砕天に合わせるから」
「おう。合わせるのはタイミングだけでいいからな。力まで合わせようとすんなよ気持ち悪リィ」
たぶんそれは私がやろうと思えば爆砕天とコンビネーション魔法が撃てるとわかっての発言なのだろう。
私には壱与さんの力が入っている。壱与さんの姉である卑弥呼さんが作った白天七柱なんだから、合わせるのは誰よりもできるはずだ。
氷彗さんとブラッディさんの剣による猛攻はヴリッドには通用していなかった。
それどころか押されていて、防戦一方という様子。
もし氷彗さんの気が一瞬でも抜けてしまったら?
もし氷彗さんの足がもつれてしまったら?
その先を考えることが恐ろしくなる。
チラッと横を見ると、爆砕天は口を歪めていた。
私と同じことを考えているとしたら、「隙がなさすぎる」
いつ撃てばいいのか、さっぱりわからなかった。
もちろん私たちで仕留めるつもりではない。
むしろ私たちは囮で、気を取られる間に氷彗さんブラッディさん、もしくは茜さん夜伽さんの術中にハメる。少なくとも私はそのつもりだ。
剣での激闘の中、ついに1人の足がもつれた。それは……ヴリッド!
「今だオラァ! 『ブラッド・スクリーム・ボム』」
「『桜花いっせ……』」
今こそ! と思い、遠距離攻撃を準備したその時、ヴリッドが不敵に微笑んだ。
これは……罠!
「やっぱりそういう手筈か」
進路を変え、大加速をしたヴリッドは爆砕天の胸を剣で貫いた。
「ォ……」
断末魔すら上げられぬスピードで命を刈り取られた爆砕天。そしてその剣は、私の方へと向かってきた。
やられる! そう確信した瞬間目を閉じた。
……しかし、数刻経っても死は訪れない。ただ頭に温かな何かが滴るのを感じた。
目を開けるとそこには鮮血が写った。
その奥にいるのは……最愛の姉、氷彗さんだった。




