096 磨いた連携
「嗚呼、この強き者たちも崩れ去るのだな」
「兄ちゃんの性癖は気持ち悪いなぁ」
「……まるで何人もの強者たちを殺してきたかのような口ぶりね」
「正解であるからな」
氷彗さんは私の方をチラッと向いてくれた。私の意図に、気がついてくれたんだ。
嬉しい気持ちをぐっと抑え、音を立てぬように走り出して黒天二柱の後ろに回った。
こんな化け物みたいなやつらでも、きっと一瞬くらいは隙を見せるはず。その時に透明化している私が、ゼロ距離で撃つ。
タイミングと判断力の勝負だ……この作戦は完遂するしかない!
「『結界術:紅爆』」
始まった……!
この1ヶ月間、氷彗さんたちは連携面を深めていた。たぶんここから魔法の応酬が始まり、黒天二柱を追い詰めていくはず。
「『サキュバス ・テール』」
「『血の薔薇』」
「「合わせて……『ブラッド・ドレイン・テール』」」
「『氷塵集結:ニヴルヘイム』」
「『新結界:スカーレットワールド』」
「「合わせて……『ニヴルヘイム・ワールド』」」
結界術が辺りに広がり、そこを氷彗さんの魔力が通っていく。すると氷の世界が生み出され始め、自由に氷彗さんがニヴルヘイムを撃てる状況になった。
その上、辺りには触れると魔力が吸われる薔薇のツタが張り巡らされた。
何度も訓練室で見た連携技だ。意外な組み合わせから生まれる攻撃は地球上の生物なら誰でも地に伏す凶悪さを持っている。ここまでたったの1ヶ月で仕上げたのは見事としか言えない。
感心している場合じゃない。隙が生まれるとしたらこの攻撃が作用したタイミング。逃さないように、『桜花一閃』の準備だ!
「おいおい、こいつら意外とやるじゃんよ」
「むぅ……ここまで協力を深めて抵抗する星はなかった。面白い、少し温めておいて正解であったな。だが……やれ」
「おうよ! 『悪鬼顕現:ディアボロス』」
ヴリッドと呼ばれるおそらく弟である方が魔法を発動し、氷彗さんたちに抵抗するようだ。
すでに氷の世界は完成したし、ドレインのあるツタも張り巡らされている。下手に動けば自滅すると分かっているはずなのに。
「うぉらぁぁあ!」
叫んだ瞬間、黒い魔力が流れ出して一気に巨大な鬼となった。
鬼は凍った世界を、ツタを、バクバクと口に運んで食べてしまった。
たったの10秒で1ヶ月の連携が壊された。
「さて、反撃といくか? ヴリッドよ」
「そうだなぁ。頼むぜイドラ兄ちゃん」
これは……どうすればいいんですか、氷彗さん!




