093 久しぶりね
私は魔龍と向かい合い、ようやく会話の席に座ることができたことに安堵した。
「強大な魔力の正体、それは異星に住むエネミーの王、黒天二柱です。その力はあなたをも超えるでしょう」
「ふ〜ん。エネミー……ねぇ」
どうやら私の話はそんなに信じていないようだ。
無理もない、絶対的強者である彼女にとって、エネミーというのは雑魚でしかないはず。
突然に見知らぬ男から強大な魔力を持つのはエネミーだ、と言っても信じないでしょうし、信じるような頭を持っているとは思えませんねぇ。
「エネミーを送り込んでいるのは黒天二柱です。そもそも彼らは……」
「あー! 五月蝿い! そういうの覚えられないし面倒だから結構!」
手を大きく振って、子どものように拒絶を示した魔龍。
「正体がなんだろうとどうだっていいの。いつ? いつソイツと戦える?」
「そうですね……」
私は姉上から授かった魔力を使い、黒天二柱の位置を把握しようと試みた。
というのも、私は姉上の魔力を糸のように伸ばし、宇宙へと届かせることができる。そこから黒天二柱の動きを見て、だいたいの到着時間を当てられるわけです。
「1ヶ月あるかどうかでしょうかね」
「遠いわね……」
ぶつぶつと文句を言う魔龍。
1ヶ月が長いと思うのは正直言って羨ましいものです。1000年以上生きていると、1ヶ月なんて一瞬に感じてしまいますからね。
「うん、無理。待てない。あんたをボコボコにして、憂さ晴らしする!」
「ハァ。まったく筋金入りの戦闘狂だ」
魔力でできた腕が伸びてきた瞬間、私の前を風が横切った。
「ん? お前は……」
「Hi! Long time no see(久しぶりね)」
暴風で魔力を堰き止めたのは、アビー・ワブレット。
私の監視下から抜け出し、自由に動いていたのは察していましたが、今ここで出て来ましたか。
「あの時の雑魚じゃない。……でも今の攻撃を止めたわね」
「アビーさんはわざと負けたんですよ。あなたと、1対1で戦うためにね」
右を見ても左を見ても戦闘狂。困ったものだ。
でも今となっては困ることを躊躇う時間はない。
アビー・ワブレットと魔龍をこの地で戦わせ、競わせ、生き残った強い方が黒天二柱と戦う。
最後の手段です。さぁ……思う存分戦って、思う存分強くなってください!




