092 野蛮な女性
中国山間部
ここは荒野になっており、私としては姉上がいたころを思い出すような風景が広がっていた。
「やっと見つけましたよ」
「ん? 何だお前」
目をパチクリとさせている少女、名は魔龍。この世界最強の魔法少女と呼び声高い、高飛車少女です。
ほうじ茶色のサイドテールを風に揺らし、新緑の瞳で私を見つめてくる。そして好戦的なギザ歯を見せつけるかのように笑ってみせた。
「ただ者じゃないでしょ。よっと!」
「んんっ!?」
突然見えない何かに押し出され、私の体は吹き飛んだ。
魔龍の十八番とも言える、豊潤な魔力による直接攻撃だ。脳筋な技ですが、威力は半端じゃないですね。
「名前は?」
「伊月……秀斗」
「イツキね。お前は何? 思ったより雑っ魚かったから興味失せたんだけど」
「……先日、東の方で強大な魔力を感じませんでしたか?」
私がこの話題を持ち出すと、魔龍の髪がさらに揺れたのがわかる。魔力が震えるほど、興奮しているのでしょうね。
「何か知ってるんだぁ」
「うぐぉっ!」
一瞬で距離を詰められ、私の腹の上に魔龍が座った。
「吐け! 知ってること、全部吐け!」
右手で、左手で、私の顔面を殴り続けてくる魔龍。
こちらは頼まれなくても話そうと思っていたのに、そんなことを汲み取ってくれるはずもなく魔龍は野獣のように殴り続けてきた。
私は鞄から姉上の魔力が入った注射器を取り出し、太ももに打ち込んだ。その瞬間力が湧いて、油断しきっている魔龍を押しのける。
「おっ?」
「はぁ……野蛮な女性だ」
内に秘めた魔力を使い、ボコボコの顔を修復する。この顔は気に入っていますし、爽やかなルックスの方がウケはいいですからね。
「やっぱ気になる!」
「それよりも強大な魔力についてです。お話、聞いていただけますね?」
「……うん。聞いてやろうじゃない」
ようやく話し合いのテーブルに着けましたか。
バカの相手をするのは疲れますねぇ。




