074 成果と目障り
桃羽ちゃんが加わってから、私たちルナミは大きく激変した。
まず氷彗さんのアイドル力があまりにも低いと桃羽ちゃんは指摘した。その時に少し喧嘩になりかけたけど、なんとか私が食い止めることに成功した。
結果的には桃羽ちゃんが氷彗さんにレッスンを施すことになった。笑顔はまだぎこちないけど、歌とダンスはかなり改善された。
「うんうん、いい感じです! プロデューサーとして鼻が高いですよ」
「ふぅ。エネミーを狩るより何倍も疲れるわね」
私は氷彗さんにエナジードリンクを手渡した。
夏場ということもあり、氷彗さんは爽やかな汗を流している。私は甲斐甲斐しく、それをタオルで拭き取ってあげた。
私たちの活動には大きな反響があった。特に戦争反対を全面に推しているわけではないけど、ぼかして伝えることで国民の多くが魔法少女の戦争について関心を持ってくれた。
これも桃羽ちゃんの加入によってファンの母数が増えたことが影響している。
伊月大臣は動いてくるかと思ったけど、案外妨害等はしてこなかった。私たちを舐めているのか、それとも何かに追われているのか……。
私は東の空を見つめた。
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目障り。その言葉につきますねぇ。
「ふぅ」
「……珍しいですね、大きなため息だなんて」
「聞こえましたか。それは失礼」
ゾディアック戦闘員、有馬皐月さんに指摘され、ようやく私が態度に出してしまっていたことに気がついた。
よくありませんね、姉上。私がこのような醜態だと。
「驚きました。山吹さんがこんなことをするだなんて」
「えぇ。私も驚いていますよ。アビーさんが行方不明になっていることと同列にね」
もう少しで完ぺきな開戦になるところだった。
しかしアビー・ワブレットがまさかの一撃で落とされたことと、山吹氷彗が他のクラス6の力を使って逃げに徹したことが想定外となり、戦争を続ける大義名分が無くなってしまった。
かなり長い時間を使って用意してきたので、苛立ちは募りますね。
「アビーは死んだのでしょうか」
「それは考えられません。アビーさんは魔龍とそう変わらない実力があると私は思っています。一撃で落とされたこと、今も見つかっていないこと、これには何か理由があるのでしょう」
姉上の力を使って魔力を見た時、彼女の力は魔龍と同等に感じた。
ならば一撃で落ちるなど考えられない。私にも明かさない何かがあるのでしょう。これもまた、煩わしいことこの上ないです。
ワインの味が、非常に渋く感じました。




