070 広報の意義
「愛梨……何を言っているの?」
私が氷彗さん、茜さん、夜伽さんにアイドルになることを勧めた。
もちろんただアイドル姿の氷彗さんが見たいだけなわけではない(こともないけれど)。
アイドルというのはファンが付く。そうすれば人心すら掌握できるのだ。悪い言い方だけどね。
「面白そうじゃん。やろうよアイドル」
「アタシは恥ずかしいかも……」
乗り気なのは夜伽さんだけか。……百合えっち狂いのアイドルってのもそれはそれで危険な香りがするかも。
「ただ本当にアイドルになれってことじゃないですよ? ほら、魔法少女って広報活動もやってるじゃないですか、そこを利用してアイドル的なことをしようって話です! そうすれば人心を掌握して、伊月さんを大臣の座から引き摺り下ろせるかもしれません」
私がこの企画の狙いを告げると、氷彗さんは目を丸くした。
「そう、そんな考えがあったのね。少なくとも私だけでは思いつかない案だわ」
「氷彗は広報とか興味ないしね。去年の魔法少女名鑑にも全部『無回答』で出したでしょ?」
「……そうね。はっきり言って何の興味も湧かないわ」
「氷彗さんはご存知ないかもしれませんが、魔法少女ってすっごく人気なんですよ! 最近ではテレビ特集も組まれてます。例えばほら、金城桃羽ちゃんなんて本当のアイドル並みに可愛くて人気もあって……」
私がアイドル並みに人気のある魔法少女について語っていると氷彗さんから無言のチョップを浴びせられた。
「他の女の賞賛、やめてくれる?」
「は、はい……」
怖い……。
ただ一応概要はと思って桃羽ちゃんがクラス4であること、東京で活躍していること、広報隊長であることを伝えた。
「ふん、人気といってもクラス4なのね」
「そういうのって強さじゃないんじゃない?」
「そうそう、強すぎても引かれるよ、たぶん」
「まぁ広報の重要性はわかったわ。でもだからって私たちが広報活動をしろって?」
「も、もちろんクラス6という超貴重な戦力を広報に使うのはもったいないとも思います。でも考えてみてください、もし広報活動が成功して、政権交代が起こり伊月大臣が辞めざるを得ないことになったら……」
「戦争は止まる可能性がある、ってことね」
これぞ血を流さずして戦争を止める。
今日みたいに開戦してから飛んで、ギリギリのところで救ってではいつか手が回らずに有馬さん達が死んでしまうかもしれない。
だからこうして広報活動によって、民意で伊月大臣を降ろせばいいんだって気がついた。
「……わかったわ。愛梨に任せてみる」
「本当ですか? ありがとうございます! 絶対にこのプロジェクト、成功させてみせます!」
「もちろんよ。この世界の未来がかかっている。頼んだわよ、愛梨」
「はい!」
これは楽しみになってきた!
氷彗さんも夜伽さんも茜さんも、ルックスは桃羽ちゃんに負けていないどころか上回っていると思う。
さぁ……伊月大臣、私たちの静かな逆襲が始まりますからね!




