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姉妹契約で結ばれた魔法少女たちは特別な感情を抱いてしまうかもしれませんよ  作者: 三色ライト
1章 雪溶け編

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007 ルームシェア

 私と氷彗(ひすい)さんの部屋の前で棒立ちになる私。もちろんバスタオル1枚に包まれただけの氷彗さんから受けた刺激が強すぎたのもある。ただ本当に入れない理由としては、そんな姿を見た後にどんな顔をして入室すればいいのかわからないのだ。

 しばらく迷っていると、中から小さな声で「入れば?」と声が漏れてきた。聞き間違うはずもない綺麗な声、氷彗さんの声だ。


「し、失礼します!」


 私は面接を受けに来た子のようにガチガチに緊張して自分の部屋に入る。氷彗さんは当然のように寝巻きに着替えていて、露出している肌面積は小さい。少しだけ残念に思う自分に気がついた。


「……さっきのはうっかりしていただけよ。ここのところ一人暮らしが続いていたから」

「そ、そうなんですね」


 意外にもさっきの件には氷彗さんの方から触れてきた。それと共に私の脳内ではバスタオル1枚の氷彗さんがフラッシュバックする。

 本人を前にそんな想像しちゃダメだと、頭をぶんぶん振って正気を取り戻した。


 冷静になって部屋を見てみると、かなりいい部屋だとわかる。

 まず玄関から数歩のところで右手にドアがある。氷彗さんがバスタオル1枚で出てきたところから察するに、ここはお風呂とトイレだろう。そしてそのドアを素通りすれば、まず四角い4人がけの机が中央に置いてある。ご飯をここで食べることもできそうだね。さらに先へ進めば勉強机が両壁側に1台ずつ、それぞれの分があった。で、その奥に2つのベッド。

 かなり充実した部屋に満足感を覚える。ここならいい生活を送れるかも。


 私の分の勉強机には何も置かれてはいないけど、埃が溜まっているわけでもなく綺麗だった。氷彗さんが掃除してくれたのかな……そんなわけないか。

 そして私のベッドには桃色のシーツが使われていた。隣の氷彗(ひすい)さんのシーツは青色。そして無視できないほどの存在感を放っているのが……


「ひ、氷彗(ひすい)さん猫がお好きなんですか?」


 その青いベッドには、にゃーんと自己主張してくる猫のぬいぐるみが「オレ様に触れろ」と言わんばかりに並べられていた。


「そうよ。悪い?」

「わ、悪くはないですけど……」


 イメージに合わない! 猫とかそういう小動物とかを愛でているイメージが無さすぎる!

 氷彗さんは自然な流れでベッドに行って、猫のぬいぐるみ群のうちの一つを手にしてギュッと抱きしめた。

 えっ……何これ。何この可愛い生き物。


「あなたも(猫が)好きなの?」

「はい、(猫を抱きしめる氷彗さんが)好きです」

「そう、気が合うわね。だからといってどうというわけではないけれど」


 その言葉を最後に会話が止まってしまった。氷彗さん側から話しかけられることはまずないので、私から話しかけなきゃなんだけど猫以外につっこむポイントがなかった。


「シャワー浴びますね……」


 結局何も思いつかないまま、シャワーを浴びることに。シャワーヘッドは新品同様の綺麗さを誇っていて、魔法少女という職業への優遇がよくわかった。

 はぁ……氷彗さんの心の氷を溶かそうと決めたけど、どうすればいいんだろう。

 強引にいけばいいというものでもない。


 それにしても……と、鏡に写った自分の姿を見てみる。

 平たい胸に頼りない太ももや腹筋。氷彗さんと比べてしまったら天と地ほどの差がある。

 首筋に当てるシャワーから出る水は凹凸の少ない身体を滑らかに張っていく。それを見た時、ふとアイデアが浮かんできた。


「そうだ、私も……」


 私はシャンプーを終え、すぐにシャワー室から出てバスタオルを体に巻いた。そして勢いよくドアを開け、氷彗さんの前に姿を見せる。


「ひ、氷彗(ひすい)さん! 見てください!」

「……何をしているの?」


 氷彗さんの疑問ももっともだと思う。なぜなら私は今、バスタオル1枚を身に纏って氷彗さんの目の前に立っているから。

 状況としては変わらないけど、犯罪というか猥褻物陳列(わいせつぶつちんれつ)的な意味では氷彗さんとはこれまた天地の差がある気がする。


 こんな奇行にも考えはある。氷彗さんのバスタオル1枚姿を見たのだから、今度は氷彗さんに私のバスタオル1枚姿を見てもらおうということだ。これで平等……と主張したい!


「ここ、これで平等のはずです……ってうぇ!?」

「…………」


 悲しいことに凹凸の少ない私の身体ではバスタオルを支えることはできなかったらしく、ハラリとバスタオルが宙を舞った。

 結果どうなるか、もちろん、露出である。生まれたままの姿で氷彗さんの前に立っている。生まれたままの姿を氷彗さんに見せている。恥ずかしさで沸騰しそうだった。


「すす、すみませんでしたぁぁぁ!」


 私は逃げるようにシャワー室へ戻った。

 その際、氷彗さんから「何してるんだか」と聞こえてきたけど、私ももっともだと思う。

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