061 結界術訓練①
会合が終わり、次は茜さんのリハビリ&私の結界術の訓練の時間になった。
訓練室では氷彗さんと夜伽さんが模擬戦をしているから、私と茜さんの二人きりになる。
「まずは愛梨の使える結界術を教えてくれる?」
「あ、一個だけあります。『透過結界』っていう自分にかける魔法なんですけど」
「『透過結界』……初めて聞く名前。ちょっと使ってもらっていい?」
「はい! 『透過結界』」
私は壱与さんに言われた通り、澄んだ水に浮くような感覚をイメージして魔法を発動した。
心地よい気持ちに浸っていると、茜さんの驚いた声が聞こえてきた。
「あ、愛梨! 消えた!?」
この驚きよう。おそらく茜さんは『透過結界』を使ったことがないんだろう。
壱与さんが使っていた魔法だもんね、時代が変われば無くなるものもあるよね。
私は澄んだ水の中から出るイメージで、『透過結界』を解除した。
「良かったぁ……消えちゃったかと思った」
「透明化する結界術を自分にかける魔法ですね。これだけはとある人物から教わることができました」
「驚いた。アタシにも使えないよそんな魔法」
壱与さんはこれが一番簡単な結界術って言ってたけど、本当にそうなんだろうか……。
少なくとも茜さんの反応を見る限り、なんかレアそうな結界術であることに間違いはない気がする。
「茜さんの結界術はどんな感じなんですか?」
「アタシが使うのはコレね」
そう言って茜さんは8つのルビーみたいな赤い石を取り出した。
その一つの大きさはアーモンドくらい。
「コレは魔石って言ってね、アタシが宝石に魔力を溜め込んでいたの。まさか2年もずっと蓄え続けていてくれたなんて思ってもいなかったけど」
「この魔石をどう使うんですか?」
「見ててね。えい!」
8つの魔石のうち、4つを投げた茜さん。
すると茜さんは両手の指を合わせ、手で三角形を作った。
「『結界術:紅爆』」
茜さんが呟いた瞬間、魔石は自分で動くように隊列を整え、綺麗な正方形を作った。そして魔石同士が魔力の糸で繋がり、中の空間も紅に染まっていき……爆発した! この間、わずか1秒。
「こんな感じかな。4つだと平面爆発だけど、8つにすると立体で爆発できるから範囲も広がる。でも魔力の消費は激しいからその時の状況に応じて使いましょう。わかる?」
「は、はい! すごいのがわかりました!」
「うんうん、いい子ね、愛梨」
茜さんは私のことを簡単に褒めてくれる。きっと七海さんもこうやって褒められて成長していったんだろう。
「愛梨も魔石を使う?」
「使わないと発動できないですかね?」
「あくまでアタシの推測だけど、使わなくてもいいと思う。魔力の通る道を用意してあげるためのポイントになればいいから」
「あっ、じゃあ私の魔力で作った花をポイントにするのはどうでしょう?」
「うん、いいと思う」
あっさりと肯定してくれる茜さん。なんだか自尊心が高まっていくような感覚。
「魔力を繋げるポイントになる感覚で花を作る……」
私が使う花といえばもちろん桜。
桜の花をポイントにして、結界にする! 茜さんと同じ正方形で……ってあれ?
「なんか難しくないですか? ポイントを配置するの」
「あー、うん。アタシも結構慣れるまで時間かかった」
ぐっ……私って思っていたより不器用なのかな。でも壱与さんの言う通りなら結界術には長けているはず。このポイント設置さえ乗り切れば…………
「乗り切れな〜〜い」
練習から1時間。ずっとポイントになる桜を動かすだけで、安定した場所に設置することはできなかった。
「大丈夫だよ、練習を重ねればきっと上手くできるようになるから」
「そうですかね〜……」
まぁどの魔法も簡単にできた! というケースの方が難しい。
とにかくこの結界術をマスターして、氷彗さんの助けになるような魔法少女になるぞ〜!




