060 愛知のクラス6、集結
茜さんと出会った激動の日から1日。
私たちの部屋のチャイムが鳴り、氷彗さんが2人の少女を招き入れた。
一人はなぜか寮では半裸でいる夜伽ルナさん、21歳。
もう一人は朱色の長髪を靡かせる羽田茜さん、22歳だ。
「……待っていたわ」
「うん。……ごめんね。アタシ、迷惑かけてた。アタシが逃げている間に魔法少女センターが襲われて、たくさんの人が亡くなったんでしょ? 本当に……」
「謝罪はなしなし☆ 一番バツが悪いの私だから」
夜伽さんは普通に反省して欲しいところだけど……。
「えっと、じゃあ私も失礼しますね」
クラス6だけの会合をしたいだろうから私は抜けさせてもらうことにする。……と思ったらシャツを優しく掴まれた。
掴んだ主は茜さんだった。
「……ここにいてくれる?」
「は、はい」
少し上目遣いで頼まれると断れるはずもない。
ちょこんと床に座ったら椅子に座る氷彗さんから謎のガンを飛ばされているのに気がついたけど、悪いことしたかな?
「さて、ようやく問題児も揃って愛知のクラス6が集結できたわね」
「私たち問題児3姉妹?」
「何を言っているの? あなたたちで双子でしょう」
「氷彗は自分を問題児とは思ってないと。ヤバイね、茜」
「え? でもアタシ、氷彗のこと知らないし……」
「ヤバイよ氷彗は。気をつけな〜」
……なんだろう。ただの女子会だこれ。
日本の、いや世界の魔法少女たちの運命を握ることになるかもしれない人たちの集まりには到底思えない。
「羽田茜。あなたがここに来たということは私たちに協力してくれるということでいいのよね?」
「……うん。本当は怖いよ。でも……次のアタシを生まないためには、アタシが頑張らないといけないんだもんね」
茜さんは自分に言い聞かせるように、頑張る理由をつぶやいた。
それでもなお私のことを側に置きたがっているのは妹という存在を近くに認識したいからだろうか。
「これでルナミはより強くなったと言いたいところだけど、羽田茜にはリハビリが必要でしょうね」
「そだね〜。ほぼ2年寝てたんでしょ?」
「そうだね。あはは……20歳だったのになぁ、アタシ」
突然歳を2つも重ねたような状況なんだからそりゃ驚くよね。
「ほんじゃさ、愛梨と訓練してリハビリすれば?」
「……ほへ!?」
「いい案ね。愛梨も結界術を学びたがっていることだし」
「そういえばそうだったね。愛梨、アタシでもいい?」
「も、もちろん……」
まさか私が茜さんと訓練するリハビリ係になるとは。
というかリハビリになるのかな。
「リハビリは後にして、今は会議を進めるわよ。夜伽ルナ、あなたから話があるんじゃないの?」
「そうそう。妹がね、SNSでアビー・ワブレットが来日しているって呟いている人がいるって言ってた」
「アビー・ワブレットが?」
「だれ? それ」
茜さんはアビーのことを知らないようだ。
「アビー・ワブレットはアメリカの魔法少女です。アメリカではクラス6は1年に1度の志願者決闘で決められるんですが、ここ2年連続でクラス6に輝いたのがアビーです」
ゆえにアメリカにはクラス6が一人しかいない。オンリーワンを好むのがらしいと言えるかも。
「そんな人が日本に? 何で?」
「おそらく同盟国としての視察でしょうね。ただそれなら私たちに接触してくるはず。でもそんな気配どこにも……」
「氷彗、魔法少女は私たちだけじゃないよん」
その言葉に私と氷彗さんはハッとした。
「まさか……戦争をゾディアックだけで行うつもり?」
「可能性はあるね。私たちが反対するのなら、ゾディアックを使えばいいって思っても不思議じゃないじゃん?」
ということは有馬皐月さんや安田優さん、宝塚菊さんが戦場に駆り出されるということになる。
戦慄する私たち。どうやら反対しているだけの期間を終えなければならないようです。




