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姉妹契約で結ばれた魔法少女たちは特別な感情を抱いてしまうかもしれませんよ  作者: 三色ライト
4章 真相編

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051 姉妹対決-Reloaded-2

 私の元妹はいつの間にか魔法少女になっていた。

 私は彼女のことを出来損ないと切り捨て、暴言を吐き、文字通り、捨てた。

 そんな彼女が今私の前に立ち、怨念をそのまま込めたかのような黒いウェディング衣装に身を包み、私を殺さんとするために兵団を召喚した。


「さすがですね。山吹さんも兵団魔法をお持ちでしたか」

「当然ね。どんなエネミーが来るかわからないでしょう?」


 多数のエネミーが同時に襲来した時に備え、私は『氷雪兵』という氷の兵隊を生み出す魔法を開発していた。

 ……まさか、有馬皐月に使うことになるとは思ってもいなかったけど。


「『ブラック・ウェディング』、出兵!」

「『氷雪兵』、起動」


 黒いタキシード姿のゾンビ兵と、白く堅牢な氷兵による合戦が始まった。

 あくまでこれは相手の力を見る様子見の一手にすぎない。こうした自分の力でなく、魔力から生み出した兵力は魔力に依存するから。

 氷雪兵と黒ゾンビは意外にも互角の戦いを繰り広げた。

 やがてすべての兵士たちは倒れ、結局私と有馬皐月の2人が見合う形になった。


「ふふ、余興としては十分でしたね」

「余興にしてはとてもじゃないけど笑えなかったわね」


 有馬皐月は蝋燭を、私は氷の剣を黙って握る。

 もうこの時点で、お互いの力をぶつけることになることは確信していた。

 あとはもう、どちらが勝つかのみ。


「はっ!」


 先手を取ったのは私。元妹とはいえ今は明確に敵意を向けられている。であれば私から斬りかかり、この戦いを終わらせる!


「『フレイム・ヘル』」

「ッ!?」


 蝋燭から生み出された黒い炎。

 一気に包まれた私の身体は焦げるように熱く燃焼する。魔法少女の体でなければ確実に死んでいた。それよりも……


「あなたどうしてそんなに強いの? その力、クラス5にも匹敵する」

「なりふり構っていられないんですよ。山吹さんみたいな天才じゃなく、私みたいな凡人にはね」


 そう言って有馬皐月は青い液体の入った注射器のようなものを取り出した。そしてそれを自分の首に刺してしまう。


「なっ!?」

「ふふ、これでもっともっと強くなれますよ……山吹さん……」


 目はさらにハイライトを無くした。

 一体この子はどうなるの……。


「『ケルベロス・エンヴィ』」


 黒い炎から生み出された3首の大犬。

 有馬皐月と同じように光を失った瞳をしたケルベロスは私を見て鼻息を荒くした。息というよりも炎だけれど。


「これならどうです! クラス6級と言えるでしょう!?」


 もはや自分の感情を制御できていない様子の有馬皐月。それを見るのは痛々しかった。

 私があの時突き放さなければ。私が一人で生きていると勘違いしなければ、この子はこんな目に合わなくても済んだのに。


 迫り来るケルベロスの爪に反応しきることはできず、腕に切り傷を負ってしまう。でもそれが逆転の目でもある。

 ブラッディ・カーマ。あなたとの出会いで新たな魔法に出会えたわ。


「『ブラッド・アイス・チェイサー』」


 宙に舞った私の血が凝固し、氷となる。

 それがケルベロスを追いかけ、槍のように突き刺した。

 氷が突き刺さったケルベロスは闇色の炎を残してその場に消える。


「うぅ……ぐぅぅ!」

「限界よ。もうやめなさい」

「もう一本! もう一本打てば……!」


 有馬皐月は鞄からもう一本、注射器を取り出した。

 たしかにアレを打った瞬間、有馬皐月の魔法の規模は大きく変わった。しかし、代償として彼女の精神を蝕んでいるようにも見える。


「やめなさい!」


 私の叱責も聞く耳を持たなかった。

 有馬皐月は首元に注射器を持っていこうとする。

 その手を……愛梨が止めた。


「愛梨……!」

「有馬さんやめましょう。そんな姿、見たくありません。氷彗さんに勝ちたいなら薬に頼らずに……」

「うるさい!」


 有馬皐月は愛梨を腕で突き飛ばした。

 クラス5相当の薙ぎ払いを受けた愛梨は大きく吹き飛び、奈良の街へ落ちていった。

 愛梨のことは気になって仕方がない。でも彼女はもうクラス2。一人前として戦えると私が認めたんだ。信じるしか、ない。


「さぁ、もう一本!」

「はぁ〜い、ストップ〜」

「なっ!?」


 次に有馬皐月の腕を止めたのは眼鏡をかけた茶髪の少女。

 私の元妹である安田優だった。そして上空には宝塚菊もいる。


「やっぱアタシらを抜け駆けして来やがったか」

「時が来るまで待てって言われているよね? さっちゃん」


 2人にホールドされ、身動きが取れなくなった有馬皐月は諦めるように力を抜いた。


「山姉、ここは見逃してください。こちらからの貸しはあの妹さんを今は手にかけないことです」

「…………」


 私は無言で同意した。

 有馬皐月と同等の力を彼女たちが持っているのなら、愛梨を守りながら戦い続けるなんて不可能だ。


「では、また会いましょう?」


 そう言って安田優は青い煙玉を使用し、どこかへ消えてしまった。

 追いかけたい気持ちを抑え、私は愛梨の元へと駆けつける。

 ……息はあるわね。よかった……。

 一雫溢れたものを拭い、私は愛梨を抱えてホテルに向かった。

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