048 愛梨の真実
結界を抜けるとそこにはこんもり盛り上がった土があった。
「これは立派な古墳ね」
「そ、そうなんですね」
よかった。これ何でしょうね? って聞く前で。教科書で見たことはあるけど、生で見たことはなかったからね。これが古墳か〜。
「愛梨、こっちに入り口があるわよ」
「はーい。行きまーす」
氷彗さんについて行くと確かにぽっかり空いた入り口らしきものがあった。
氷彗さんはまったく躊躇うことなくずんずん進んでいく。
今になって気がついたけど、なんか頭痛は無くなった。何だったんだろう、あれ。
そんなことを考えているとすぐに行き止まりになった。ただ何もないわけじゃなくて、一枚の紙が乗った出っ張りと、棺のようなものが置いてある。
氷彗さんはまず出っ張りに乗ってある髪を読み始めた。
「な、なんて書いてあるんですか?」
ここって卑弥呼さんのお墓なんだよね? そこにある紙と文字なんて読めるのかな。
「不自然なくらい読みやすく書いてあるわ。恐ろしいこともね。白天七柱……人型エネミーはどうやら卑弥呼が作ったものらしいわよ」
「えっ!? 卑弥呼が作ったんですか? じゃあ実験の失敗作とか、そういう話なんでしょうか」
「いや、たぶん違うわね。白天七柱は魔法少女を強くするために生み出したと書いてある。そして目的はエネミーを倒せるようになるため。そのエネミーの正体は宇宙から来た敵とのことよ」
「宇宙、ですか……」
なんか話のスケールがどんどん大きくなっていく。ついていける自信がどんどん萎んでいく……。
「意味がわからない。なぜ魔法少女を育てるために白天七柱が生まれたのなら私たちに襲撃を? いや、それすら育成のうちだとでもいうの?」
氷彗さんもすぐには飲み込めていない様子だ。そりゃそうだよ。こんな話、すぐに飲み込めという方が無茶だ。
考え込んだ氷彗さんは振り返り、棺の方へ体を向けた。
「氷彗さんまさか……」
「えぇ。開けてみるわ」
「や、やめましょうよ! バチが当たりますよ!」
「卑弥呼のバチなら強くなれそうね」
私の静止も虚しく、氷彗さんは棺をパカりと開けてしまった。
そこには卑弥呼さんのミイラがある……と思いきや、なんと死体は2人分あった。しかも白骨化していなくて、まるで眠っているかのようだ。
「どういうこと? なぜ白骨化すらしていないの?」
「……ようやく来ましたか」
「ひっ!? 喋った!?」
棺の中に入っていた少女は目を開け、視線を私と氷彗さんへ向けた。
「初めまして。私は卑弥呼お姉さまの妹、壱与です。あなたの鬼力に反応して目覚めました」
壱与さんがジッと見つめたのは私の方だった。
「え? 私?」
「どういうこと? なぜ愛梨に反応したのか聞かせてもらってもいいかしら?」
「私ともう一人は卑弥呼お姉さまが亡くなる前に力を貰いました。私は貰った鬼力で時飛ばしの鬼術を使い、未来に私の力を受け継いだ鬼女が生まれる技を使ったのです。つまり愛梨? あなたは私の力を受け継いでいる鬼女なんですよ」
私が壱与さんの力を受け継いでいる? でもそんなの実感したことないけど……
「嘘くさい話ね。証拠はあるのかしら?」
「何か身に覚えはありませんか? 例えば……訓練を積むことなく鬼女の力に目覚めた、とか」
その言葉を聞いた瞬間、私と氷彗さんの目がバッチリあった。
その説得力はとんでもない。だって普通なら3ヶ月はかかる変身。天才の氷彗さんですら1ヶ月かかったのに、私はすぐに変身できたから。それはずっと疑問だったし、知りたいとも思っていた。
「他には! 他にどんなことができるの?」
「力を受け継いだといっても、私の力すべてを使えるわけではありません。ただ結界術に長けていたり、あとは……術が花になるのも特徴として挙げられるかもしれません」
結界術は試したことがないからともかく、魔力が花になるというのは心当たりしかなかった。
次々と明かされていく自分のこと。なんだか少し、自分という存在が怖くなってきました。




