036 新たなクラス6
「クラス6を迎え入れる……ブラッディさんが言っていた、味方を増やしておいてという言葉と関係しているんですか?」
「えぇ、そうよ」
私の問いに氷彗さんは肯定した。あれ? でも……
「そういえば氷彗さん、一昨日は他のクラス6はダメだみたいなことを言っていませんでしたっけ?」
「言ったし、今もその考えは変わらないわ。でももうなりふり構っていられなくなったの。伊月が大臣になった以上わね」
氷彗さん、本当に伊月さんのことを信頼していないんだな〜。というよりそれを追い越して敵視すらしているみたい。
「それでクラス6の人はどこに?」
「今回誘うつもりのクラス6は寮にこもっているわ。いわゆる引きこもりね」
「そ、そうなんですか……」
人型エネミーが来た時も出てこなかったもんね。その人が出てきたらちゃんと退治できたかもしれないのに。
一体どんな人なんだろう……氷彗さんがここまで言うってことは相当クセがある人なんだろうけど。
氷彗さんは私たちの寮であるA棟ではなく、隣のB棟へ足を運ばせた。そこのエレベーターで7階まで上がり、1番奥の部屋であるB709まで歩いていく。B棟7階は不気味なほど静かだった。
「この階層にはクラス6……まぁ名前を教えておくと夜伽ルナがいるわ。年齢は21よ」
夜伽ルナさん……あぁ、魔法少女大全っていう図鑑で見たことある! 普通に可愛いアイドルみたいな子だったけど、どこに問題を抱えているんだろう。
「あ、愛梨はその……せ……」
氷彗さんの声が急に小さくなって、モニョモニョとしたものになった。どうしたんだろうと思って聞き返すと、耳まで真っ赤になっていることに気がついた。
「えっと……せ?」
「百合せっくす……依存症って知っているかしら?」
確実に裏返った声で、氷彗さんがなかなかヘビーなことを聞いてきた。
「き、聞いたことくらいはありますけど」
「そ、そう。夜伽ルナはね、その病気にかかっているのよ。毎日昼夜問わず自分の妹を部屋に引き入れてはその……やっているのよ」
「えっ!? じゃあ人型エネミーが来たときにも夜伽さんが来なかったのは……」
「まぁ、間違いなく諸事の最中だったからでしょうね」
ひぇー、そりゃまぁ……問題だね。普通に。なんで魔法少女のライセンスを剥奪されないのか疑問だよ。
「タチが悪いのはその病気にかかるのは自分だけじゃなく、伝染していくのよ。まず自分の妹に。そしてその妹が上級魔法少女になったときにできた妹にも伝染する。こうしていつのまにか夜伽ルナの周りには依存症の子が何人も集まるようになってしまった。そしておそらく、今もあの部屋でやっているはずよ」
えっ!? じゃあまさか今からその……おせっせしている最中に飛び込んでいくってこと!? やだやだやだ! 気まずい気まずい!
「ひ、氷彗さん引き返しましょうよ! 流石に諸事の最中に飛び込むのは……」
「いつだって彼女は諸事の最中よ」
じゃあ伊月さんだって入れないじゃん! ……いや、逆に入りたがっているかも? そう考えてきたらなんか伊月さんのこと、気持ち悪くなってきた。
そんなことを考えているうちに、非情にもB709室の目の前にたどり着いてしまった。
扉の向こうからは声が聞こえてくる。声の内容は……とてもじゃないけど心でも反復できるものじゃない!
「ひ、氷彗さ〜ん!」
「私だって嫌よ! 何をあんあんあんあんと……!」
氷彗さんは段々と苛立ちを見せるようになってきた。そしてB709室のドアノブを持って、勢いよく開けてしまった。
「夜伽ルナ! 貴女に話があるわ。諸事をやめて話を聞きなさい!」
「あっ♡ ……あれぇ? 氷彗? 珍し〜。混ざりにきたの? んんっ♡」
ひゃーー!! すっぽんぽんの女の子が4人もいるぅ!! しかもおっぱいに吸い付いてるーー!
あまりにも目のやり場に困る光景。契約姉妹も行きすぎたらこうなるんだ。例えば氷彗さんとこんなことになったら……あれ? 悪くない?
「そんなわけないでしょう! いいから黙って服を着なさい!」
「え〜? みんなやめたい?」
夜伽さんと思われる人が女の子たちに問いかけると、全員首を横に振った。
「そういうことだよ、氷彗も混ざればいいじゃ……あっ、そこそこ♡」
足をピンと伸ばして、なんだか蕩けた表情の夜伽さん。
ちょっとだけ羨ましいと思っちゃたりする自分もいる。はちゃめちゃに気持ちよくなれそうだ。
「貴女のその楽しい毎日が無くなってもいいのかしら?」
「ん〜? どゆこと?」
この日々が無くなるという話題を出して、ようやく夜伽さんは顔をこちらに向けた。
長い癖っ毛のある金髪でオッドアイ。かなり特徴的な見た目だから、次見た時も忘れていることはないと思う。何より可愛いし。
「この話の続きが聞きたかったら服を着ることね。長くは待てない。3分よ」
「は〜い。みんな、ちょっとだけ隣の部屋でヤッててもらっていい?」
「え〜〜お姉さま抜きで〜?」
「仲良くできるよね〜?」
「「「は〜〜い」」」
一々妖艶なやり取りをして、3人の裸の女の子が部屋から出て行った。
しっかり部屋に踏み込むと強烈な女の子の匂いが充満していてクラクラしそうになる。
氷彗さん……なんで私をこんなところに連れてきたんだろう。




