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姉妹契約で結ばれた魔法少女たちは特別な感情を抱いてしまうかもしれませんよ  作者: 三色ライト
2章 留学生編

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20/102

020 ブラッディさんとお話

 引き分けに終わった訓練室からは異様な雰囲気が漏れ出している。

 氷彗(ひすい)さん! と思って立ち上がると、私を静止させるように一本の手が私の腕を掴んだ。振り返るとその手の主は氷彗さんの元姉、風香(ふうか)さんだった。


「ふ、風香さん!?」

「今はそっとしておいてあげて。思っている以上に傷ついているだろうから。でも部屋に戻ってきたら慰めてあげて。ね?」


 風香さんの言葉を裏付けるように、氷彗さんは黙って訓練室から飛び出してしまった。ブラッディさんは何か声をかけたようだけど、その声に振り返ることはなかった。


「それより愛梨ちゃんにはブラッディさんの方のケアをお願いしたいかな。できる?」

「は、はい。やってみます……」


 自分の姉との試合後だもん。妹の私がケアするのは当然だよね。

 そう自分に言い聞かせ、訓練室へと降りていく。ブラッディさんは私に気がついたみたいで、優しく微笑みかけてくれた。


「……氷彗には完全に嫌われたみたい」

「ご、ごめんなさい。氷彗さんも悪気があるわけじゃなくて、きっと混乱しているんだと思います。許してもらえませんか?」

「許すも何も、私は怒ってなどいない。ルーマニアには私以外、クラス6がいないから対等な試合は初めてだった。とても有意義な時間に感謝したい」


 ブラッディさんはよくできた人だ。それはすごい伝わってくる。そんなに歳は変わらないはずなのに、まるで何年も生きているように悟っている。


「ただ氷彗とは話したいこともあった。だから愛梨に一つ頼みがある」

「なんですか?」

「氷彗のケアと、氷彗の持つ私に対する印象を少し変えて欲しい。これは妹にしかできないことでしょ?」

「は、はい!」


 かなり難しい注文だ。でも決して不可能なことではないと、今の関係性なら思える。


「あと氷彗と話す前に、愛梨にも話を聞いてみたい。今から私の部屋に来れる?」

「もちろん!」


 風香さんに言われた通り、ブラッディさんのケアに努める。きっとこれがいつか氷彗さんのためにもなるはず。私はそう思っている。

 ブラッディさんの部屋という名の魔法少女来賓室には私たちの寮よりグレードの高い家具が揃っていた。ちょっと羨ましい……。


「そういえばブラッディさん、日本語すっごくお上手ですよね。日本に来られたことあるんですか?」

「いや、初来日」

「じゃあ日本語学校に通っていたとか?」

「独学」

「ええっ!?」


 独学で日本語をネイティブなレベルに!? ひょっとして魔法少女としてだけでなく、人としてもかなり優秀な人なんじゃ……。


「私は日本のアニメで勉強をした。主にリリチルで勉強した。毎日毎日アニメを見て、日本語を勉強した」

「な、なるほど……」


 なんだろう、アニメの話になった途端に圧がすごい。

 リリチルってなんだろうと思い、こっそりスマートフォンで検索をすると可愛らしい女の子たちがキャピキャピしている一枚絵があった。いわゆるオタクさん向けアニメってやつのイメージに合致した。


「今度はこちらから質問。なぜ日本の魔法少女には幼女がいない?」

「よ、幼女!? だって魔法少女は15歳からですし……」

「……!? ルーマニアでは7歳から魔法少女になれる。日本にも新たな出会いを期待してきたのに……」


 なんだろう、なんで幼女に拘るんだろう。ちょっと怖い。

 ただルーマニアでは7歳から魔法少女になれるって情報はためになるかもね〜。それだけ若くから経験を積めば、ブラッディさんほど強くなれるのも納得かも。かなり危ない気もするけど。

 日本の魔法少女に幼女はいないということに肩を落とすブラッディさん。無表情ではあるけれど、なんかすごい落ち込んでいるのはわかる。


「えっと……そうだ! ブラッディさんが氷彗さんに話したいことって何ですか?」


 会話が途切れそうになったので、少し話をずらしてみることにした。


「…………それについては言えない。超秘匿事項」

「そ、そうですか……」


 超秘匿事項と言われると逆に聞きたくなるのは人間の悪いところだ。でもこればっかりはどうしようもない。


「ただ、氷彗や日本のクラス6と意見交流をしておくことで後々に全世界の魔法少女のためになると私は確信している。だから愛梨、氷彗のことはよろしくお願いしたい」

「は、はい! わかりました!」


 ブラッディさんの部屋を出て、自分の部屋へと戻る。氷彗さん、もういるかな。

 ちょっとドキドキしながらドアを開けた。

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