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2話 幸運!~美少女とパーティー結成!?~


 「私と、パーティー組んでくれませんか?」


 そう言ったレミシアは瞳に涙を溜めながらぷるぷる震えている。

 

 「うんいいよ。」


 「…そうですよね、やっぱり私なんかとパーティーなんて…って、えぇ!?」


 「え?」


 レミシアは一人でビックリしている。別に断る理由なんて無いのに。


 「い、いいんですか?私と、パーティーですよ!?一緒に冒険したり、終わった後は食事したり、おしゃべりしたり…、こんな私と一緒でいいんですか!?」


 「だからいいって言ってるじゃん。これからよろしくな。」


 「……本当に本当ですか?嘘だったら、怒りますよ…。」


 「嘘じゃないって。レミシアちゃんには俺を助けてくれた恩だってある。断る理由なんて無いよ。」


 「…うぅぅ………。」


 「ん、どうしたレミシアちゃん?」


 「うあぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


 「へ?」

 

 急に大泣きし出したレミシアに俺はどうしていいかわからず戸惑う。どうしよう。


 「わ、わたひ、私…っぐすっ、ぐすっ……。」


 「レミシアちゃん、大丈夫?」


 目を真っ赤に腫らしたレミシアは目をゴシゴシしながら肩を揺らしている。


 「…大丈夫です。その、嬉しくて。」


 「私、冒険者になってから今まで、パーティーに所属したことがなかったんです。私みたいな弱っちい娘をパーティーに入れてくれる人なんていなくて…、それで…」


 まだ落ち着かない彼女の頭を俺は撫でる。まるで子供をあやすかのように。


 「そっか、でもレミシアちゃん。これからは俺が仲間だ。一緒にたくさん冒険して、他の仲間もいっぱい作って、楽しいパーティーを作っていこう。」


 「あの…レミシア、」


 「ん、どうしたレミシアちゃん?」


 「レミシアって呼んでください!これからパーティーの仲間なんですから!私も、その…マサトって呼んでもいいですか?」

 

 「おう!よろしくなレミシア!」


 そう呼ぶとまるで花が咲いたような笑顔でレミシアは答えた。


 「はい!マサト!」


 笑顔で俺の隣に寄ってくるレミシアを見て、心からポッと軽くなった気がした。俺は彼女のこの笑顔を見るためにこの世界にやって来たのかもしれない、今までの不運も彼女と出会えたという幸運の布石だったのではないか、―そう感じてしまうほどに。


◆◆◆


 パーティーを結成した俺とレミシアはひとまずモールの森を抜けることにした。だがここはファンタジーの世界。森といっても動物や虫がいるだけではなく…。


 「ひ、ひぃぃぃー!」


 何か変なイノシシみたいなやつがこっちに来る。変な声を出してしまった。これがモンスターなのか。


 「お、おい!レミシア!俺、武器なんか持ってないぞ!どうにかしてくれ。」


 「レミシア……?」


 レミシアがいない。辺りをキョロキョロ見回すがその姿はなかった。すると腰のあたりにキュッとした感触がする。後ろを見ると、ブルブル怯えながら俺の影に隠れるレミシアの姿があった。


 「って、おーいレミシア!お前冒険者じゃなかったか?何ビビってんだよぉ!」

 

 「だ、だから駆け出しって言ったじゃないですかぁ!しかも私ヒーラーだし。戦闘要員じゃないんです。」


 よくもまぁこれで森に一人で来たものである。全く頼りにならないレミシアをよそに、俺はどうするかを考える。


 「……レミシア。」


 「はい?」


 「囮って、やったことある?」


 「な、何言ってるんですかぁ!」


 レミシアは目を真ん丸にして俺に抗議してくる。


 「だって仕方ねえだろ!じゃあどうやってこのイノシシ化け物から逃げるんだよ!」

 

 「待ってください!私の魔法がありますから。ちょっと待っててください。」


 「お、魔法か。それは楽しみだな。」


 この世界に来てからはじめてお目にかかれる魔法である。どんな感じなのかワクワクする。

 

 「…むーーー。」


 集中を高め始めたレミシアの杖に魔力っぽい光がともる。鮮やかな空色がレミシアを通して杖に流れ込んでいるのである。

 その間というも、俺はレミシアに襲い掛かりそうなモンスターの注意を引くために、大声でモンスターを挑発し続けている。


 「おーいモンスター!こっちだこっち!」


 「グォォォォォォォォォ!」


 挑発にやすやすと乗ったイノシシモンスターはこっちに向かって突進してくる。しかし、ここは小学生のころリレーの選手として活躍していた俺が俊足を生かしてモンスターを振り切る!

 …わけもなく、あっさりとモンスターに追い詰められてしまった。


 「おい!レミシア!もうそろそろやばいんですけどぉ!」


 そう言いながら俺は後ずさる。やばい、これもう間に合わないんじゃね…。

 ずるずると後ろに下がっていく俺は大木にまで追い詰められる。


 「くそっ!」


 諦めかけたその時、俺の真後ろの大木からでっかい木の実が三つも四つも落ちてきた。直径50センチほどの木の実は運よくモンスターの真上から降り注ぎ、一瞬にしてモンスターを下敷きにしてしまった。当たり所が悪かったのか、モンスターはすでにこと切れている。


 「ふ、ふぅぅ~助かった…。」


 「あ、あの、大丈夫ですか?」


 安堵のため息を漏らしているとレミシアが心配そうな顔をして尋ねてきた。


 「全然大丈夫じゃねえわ!危うく死にかけたわ。」


 「すみません…。私、まだ魔法の発動が遅くて…。」


 「もういいよ…。それはそうとこのモンスター、どうする?」


 せっかく仕留めたモンスターだ。食べるなり売るなり今後の糧にしていきたいところである。


 「それならお任せを!」


 レミシアは小銭入れ程度の小さな袋を取り出した。


 



 

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