シュミレーションの始動
設定がとても濃くて難しいです。
こんな異世界転生があっても良いかなと思って書きました。
「よく来ましたね、転生者たち!!」
その生命体は言葉を発した。あるようでないような何とも言えない存在感がそこにある。
「現代の皆さんなら話は早いと思いますが、異世界転生というものをしていただきたいのです。」
そしてその生命体は続ける。
「質問は後でお願いします。あと、異論は私に言ってもどうこうできることではないので悪しからず。ただし、転生と言ってもただの転生ではありません。元々、転生とは多重世界調和が目的でした。が、このことを知った人間の手によって娯楽となるストーリーが生まれ、発展し、今に至ります。」
「.....」
「これから行うのは、多重世界調和における、メンテナンスを模索するためのシュミレーションです。」
「.......」
「具体的には、あなた方4人にチームを組んでいただき、それぞれが違う世界に行って条件をこなしてポイントを稼いでいただきます。あなた方は《日本人チーム》で、他チームには、《アメリカチーム》、《ドイツチーム》、《シャーロックチーム》《ムルリルチーム》があります。」
「.........」
「《シャーロックチーム》は本の中からの転生者で、《ムルリルチーム》は地球にない、いわゆる異星の国のチームです。」
「...........」
「それと、一人一つこの腕輪型計測器、リンクリングを付けていただきます。これには、様々な機能があります。
1つ目は、所持者の健康、安全維持機能です。生命の危機に会うと罰則と引き換えに守ってくれます。
2つ目は、所持者の条件達成による総合ポイントの加算です。これにはイベントが発生するのでご注意を。
3つ目は、月末でのチーム戦総合ポイントのランキング発表です。順位で特典や有利な情報が得られるので頑張って下さい。
4つ目は、チーム内でのチャット、通話、画像添付送信、動画送信です。
5つ目は、破壊不可機能と完全所持機能です。壊せないし腕から外すこともできません。
6つ目は、貯蓄したポイントを消費しての商品の購入です。ただ、文明に沿ったものとなります。最初のポイントは100で、総合ポイントから引くため他チームより不利になります。
7つ目は現地言語習得です。ただし1ヶ国語です。
それでは質問を許可します。」
ある1人の冷静そうな男子が声を上げた。
「確かに俺はあの日に死んだがこの状況を死後にある事象だとは思えない。仮にその話が本当だとしてもそんな七面倒臭いことしたくないんだが。棄権はできないのか?あんたは神かなにかか?」
「私は神ではありません。ただ、生命体として高位にあるため、不安定な多重世界をより良い環境に維持することと、それに関連してあまねく生物の死後管理を担っています。また、あなた方は既に私の支配下にあるため、私が認めない限り棄権できませんし、するつもりもありません。」
もう一人の男子が口を挟む。
「ち、ちょっと待ってくれよ! 1人でそんなとこに行かせられるのか? 体は元のままなのか? 転生時に変わるのか? みんなの年齢っていくつなんだ?」
「合わせて5チームあるので他チームの4人がそれぞれ同じ世界になりますね。体は違います。現地の言語は転生後リンクリングを通して習得されます。また、あなた方は元々16歳だったので、皆16歳から始まります。」
私も気になることがあったので聞いてみる。
「あの、質問していいですか? もしその転生をしたら何かゴールとかあるんですか? もし終わった時のその後はどうなりますか? あと異世界転生物ってスキルみたいなのないんですか?」
「シュミレーションが完了と判断されると終わりとなります。ただ、期限はありません。この実験は長期間にわたるため、身体への酸化等が大幅に阻害されています。分かりやすく言うとほとんど老化しませんし、検証期間中には死にません。ゴール時、その時点でランキング1位のチームに最後の特典が与えられます。スキルについては追い追いリンクリングを経由して説明されます」
お嬢様風の人が質問する。
「大体は理解しましたが、本当に可能な話なのでしょうか?現実的に不可能だとおもいますわ。それと他の方たちがわたくしと違う服装や言葉遣いをされているのですがどのようなことなのでしょう?」
「この行為は世の理のギリギリの行為ですので、膨大なエネルギーを消費していて失敗は許されません。そのため、できる限りの手段をもって取り組んでいるので理論的には可能です。
服装等の違いにつきましては皆さんは違う時代から来ているからです。」
そう締め括ると、その生命体は話を変えた。
「まだ何もチームの人をことを理解していない状況なのでセッションタイムを取りたいと思います。」
ーーセッションタイム
しばらく沈黙が続いていたが、1人の冷静そうな男子が話の火蓋を切った。
「はじめまして。俺は柊風海人だ。訳の分からん状況だけど協力していけると嬉しい。あと2010年の平成から来た。」
「はじめまして。私は田宮和音っていいます。ちょっと突然過ぎてまだ何が起こってるか分からないです。2019年の令和から来ました。」
「はじめましてですわ。わたくしは白木琴祢と申します。屋敷へ閉じこもっての生活でしたのでお力になれるか心配ですがどうぞ宜しくお願いします。1986年の昭和から来ましたわ。」
「お、俺は関口健だ。はじめまして。2001年から来た。お前らなんでそんなに冷静なんだよ怖くねぇのかよ...出来る限り協力するから宜しく頼む!」
全員の紹介が済んだ。
私は状況がまだわかっていなかったので、少し聞いてみる。
「あの生命体さんの話が難し過ぎてこれからどうなるかわかんないんだけど、さっきの話だと今から1人ずつ違う世界にいくのかな?」
「ああ、リンクリングを使っての通話は出来るみたいだけど実質他の世界に放り出されるらしいな。しかもそれぞれの敵チームが1人ずついるみたいだし。」
冷静そうな風海人君が応えてくれた。
健君はふと思い出したように言った。
「総合ポイントで貰えるものってやっぱ結構役立つんじゃね?最初は使うべきじゃない?まだ何があるか分からないけど。さすがに何も無しではキツくね?」
「そうですわね。転生した場所によりますけどね。」
「リンクリングに致命傷を治して貰う時のペナルティが伏せられてるのもきになるよね?」
私の質問に琴祢さんが応えてくれようとした時、ゴーーンという鐘の音が私たちのいるふわふわとした空間に鳴り響いた。
「時間がきてしまいましたね。お別れの挨拶は済みましたか?では皆さんを転生させていただきます。.....最後に、《日本チーム》のチームスキルは【検索】です。転生が終わったらリンクリングを起動して確認してみてください。では、行ってらっしゃい!!」
突如として現れた眩い光に目を瞑る。
ーー次に私が目を開けた時には辺り一面ジャングルが世界を支配していた。
.........まじ?
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