プロローグ!?つまり、その0
本文、というよりはプロローグ。
主人公二人の経緯といった感じです。
文章が少し軽いです。
時期は現代、とあるカフェでガス爆発事故(?)に巻き込まれ、
その衝撃でファミコン時代のRPGに出てきそうな、
中世のヨーロッパ風の異世界に飛ばされた、
元・彼氏彼女な関係の一組の男女。戸狩つばさと大沢里香.
運が良いのか悪いのか、世界を侵略する勢いの大帝国の王城内に落下。
不審者として捕えられ、話も聞いてもらえずに、牢にぶち込まれるという、
理不尽な扱いを受け、
絶体絶命の危機に都合よく開花する、少年、つばさの特殊能力。
思い描いた事象を、現実に引き起こす魔法。
その力を用い、牢を破るという暴挙にでた彼に、一変傅く帝国の人間。
彼ら曰く、つばさの能力は、
『異世界より現れし、英雄になるべき者に与えられし能力』
…らしい。
半信半疑…のまま、異世界より現れし大魔法使い。
として、帝国の人間たちに祭り上げられ、将軍という地位を賜る彼。
一方で、同じ異世界の出身でありながら、何の能力も持たない里香は、
つばさとは対極的に、帝国内で冷遇され、
つばさが謀反を起こさぬようにとの、人質としての扱いしか受けていなかった。
流されるままに、圧倒的な力を振るい、侵略戦争に加担する…、つばさ。
力なく、ただ、人質としての監禁生活に耐える、リカ。
夢とも現実ともつかない修羅の世界に、最初に根負けしたのは、リカのほう。
現実を受け入れられず、壊れそうな精神を唯一留め置ける存在である、
元彼氏、つばさのそばにいるために、彼女は手段を選ばなかった。
「わたしを、戦場に連れて行ってください。…戦えずとも、何でもします。
衛生兵でも慰問の芸者でも…兵士でも!
自分にできることなら何でも!
…だから、お願いします…。つばさの、そばに、居させてください…。」
悲壮な訴えはいとも簡単に受け入れられた。
彼女は、戦の手駒として、元彼がいる戦場へと向かうことを許された。
だが、その代償はあまりにもあんまりなことで。
帝国が命じた、彼女の仕事は…
「戦場で戦う、騎士たちのために、その身体を差し出せ。」
娼婦として、性の奴隷として、戦う男達の慰み者となること。
女として、いや、人として、躊躇すること。
帝国は、彼女が引き下がることを前提として、この提案をしたのだろう。
…だが、彼女の決意は揺るぐことはなく。
「そんなことで、良いのなら。是非やらせてください。」
彼女は微笑みすら称えて、さらりと言ってのける。
だが、彼女の真意など知る由もない、彼女の元彼氏は、その決意にあたりまえだが猛反対を示した。
「お前は、何を…、これから何をしようとしてるか、わかってるのか!?」
「わかってるわよ、別に処女じゃあるまいし、騒ぎ立てることないじゃない。」
「辞めろよ、普通じゃねーよ!何か不満があるなら、オレから言うから、考え直して…。」
「この世界での普通?普通じゃないのよ、何もかも。
そんな世界で人質として独り、いつ死ぬか怯えるのは嫌なの。
だったら、少しでも現実に近い場所で、わたしは自分の力で生きていたい。
……アンタになんか、頼らない。自分の力で。」
不器用なふたり、夢に近い魔法使いの彼と、現実に近い娼婦の彼女。
二人のたたかいは、異世界での戦乱と共に紡がれていく。
このあとから本格的にストーリーが始まります…
この文じゃ、さっぱり内容がわからないかもしれませんが、お付き合いください(/_;)