序章
僕、哀田 霧は、大学1年生。2年間、浪人していたのだけど、やっと入りたかった大学に入ることができたんだ。
よかった、やっと親に口うるさく言われることもなく、キャンパスライフを満喫できるんだ。
そう思っていたのに…。
「あ、せんぱーい。学食、奢ってくださいよ。」
『え、いや、今日は持ち合わせ少なくて…』
「えー、いいじゃないですかー。」
後輩(といっても、学年は同じ。年齢が僕の方が上だから先輩と呼ばれている。)の関山 累は、僕にねだる。
「っていうか」
笑顔がそこで消えた。
「さっさと金、出せよ。」
低い声で関山は言う。そして、またすぐに
「ねー、先輩。」
と笑顔に戻りながら、僕を呼ぶ。
「先輩がー、隠してる秘密のこと、バラしちゃいますよ?」
人懐っこそうな笑顔で僕を脅してくる。
「いいんですかねー?」
『分かったよ…。』
僕は内心嫌で嫌で仕方なかったけれど、関山に従うことにした。
「わーい、先輩ありがとうございまーす!」
学食へ歩きながら、僕は考える。
なんでこんなことになってしまったのだろうと。
あのことだって、偶然、たまたま関山に見つかってしまっただけなのに。
僕の秘密。
それは
僕が
親を殺したということ。