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The day ②

 あーあ、こんな事なら待ち合わせしてから来ればよかった。。。

 見知った顔はそれなりにあるけれど、私の事を良く思っていない人、もしくは席を移動して絡みに行ける程親しい間柄じゃない。あくまで「顔見知り」レベル。

 出席予定の黒田氏と浩市に連絡を取ってみるもまだ来れそうにないらしい。完全にぼっちだぜ……。


 え?そろそろ主役様が入場ですか?

 まじか? お願いだから早く来てー! ぼっちはいやー!! なんて心の叫びも虚しく主役様がご登場。周りのテンションについていけない私。確実に浮いてるよ。


「桃香、ちょー可愛い!」

「おめでとう!!」

「真幸、浮気しちゃダメだからね!」


 何それ? 私に対する当てつけか? 『浮気』って言った時、思いっきり横目で私の事を見たよね?

 とてもじゃないけれど、私はおめでとうなんて言えない。必死で笑顔を貼り付けて拍手を贈るのが精一杯。


 今まで、それなりに友人の式とか二次会に出席した事があるけれど、いつも自然と笑顔になって、ニヤニヤが止まらなくて、もっとテンション上がっちゃうはずなのに。

 今日はどうしてもシラけてしまう。


 2人の馴れ初めを含めたプロフィールDVDが上映されたけれど、かなり改ざんされているというか。思い出って都合よく美化されるもんなんだなぁと感心してしまったよ。

 逆にリアル過ぎても引くけどさ、もうちょっとボカすくらいで良いんじゃない? って感じだね。


 っていうかさ、あなた達DVDに対してのツッコミが下世話過ぎるから。桃香は野放しで良いの? 確実に彼女達のせいで桃香の評価も下がってるよ。『寝取られた』って黒歴史を結婚式の二次会でベラベラ喋ってる友人っておかしくない? 類は友を呼ぶって、桃香の品位も疑われるって事だよ?


 歓談の時間になり、桃香と真幸がテーブルに回ってきた。周りは2人と一緒に写真を撮っているけれど、私は連れがまだ来ていないから後で撮らせて欲しい、と言って辞退した。それが気に入らないのか、やたらと挑発的な態度の桃香に絡まれる。


「アリサに来てもらえて嬉しいよ。アリサは結婚の予定は? アリサなら彼氏くらいいるでしょ?」


 あー、ヤダヤダ。なんか思いっきり予定がないのも、彼氏がいないのも分かってて言ってるよね? ついこの間もおんなじ会話したじゃん。


「いやぁ、それがいなくって……」

「もしかして、今でも真幸が好きだったりするの? ダメだよ、私の旦那さんだもん。」

「………………」


 桃香、そんなに嬉しそうな顔しなくてもいいじゃん……少なくとも花嫁の発言じゃねーよ。。。真幸、ひでぇ顔でこっち見てるな……そんな顔するくらいなら私を呼ぶのを阻止してくれ!

 あーあ。若かったとは言え、どうしてこんな奴の事好きだったんだろう……黒田じゃないけどほんと私って男見る目ねーな。


「あれ、違ったかな? じゃあ浩市? あんな事しちゃうくらいだし……あの時のことはもう、怒ってないよ?」

「………………」


 アイタクチガフサガラナイヨー。

 いやぁさ、5年前に恨みを買うような事したかもしれないけれどさ、浩市と私は未だに清い関係だよ? だいたい、当時の私が処女だって桃香知ってたよね? そんな女が興味だけで男を襲えるかっつーの。

 黒田の口から、私が処女だと桃香が嘲笑していたって聞いてるんだからな!

 そのせいでだいぶ揶揄われたなぁ……経験ないくせに大口叩いてたけれど相手にその事突っ込まれたらどうするつもりだったんだ? って。 悔しいけれど経験無いもんは仕方がないだろう! って開き直るしかなくて、挙句酔った勢いで黒田に美味しく頂かれてしまったんだぞ!

「1度寝たくらいで彼氏ヅラするな!」ってやり取りを運悪く目の前に座る彼女たちに聞かれて、欲求不満の見境ないヤツってレッテル貼られたけれどな……悲しいかな、先にも後にもあいつ以外ないんだよね。

 そんな私のこと「見境ない」だなんてよく言えるよなぁって思うわけ。言わせてもらえば、当時せっせと合コンに通ってたあなた方の方がお盛んで見境ないですよ?


 お前らが『キモい』だの『暗い』だの『地味』とか言って馬鹿にしてた黒田はなぁ、実は昔からめっちゃ男前なんだぞ!

 暗くて地味だったのは計算で、実は明るくて腹黒くて愉快なイケメンで、ベッドの上だと優しいくせに強引で、女心を鷲掴みにしちゃう恥ずかしい口説き文句すらサラッと言ってしまうただのハイスペック野郎なんだから!

 後で黒田氏を馬鹿にしていた過去を後悔させてやる!


 噂をすればなんとやら。浩市と黒田、ついに登場!

 遅いよ! 遅すぎるよ2人とも!! 黒田氏、主役スルーして席に座るんじゃねぇよ……。


 桃香、なんで浩市見てポーッとしちゃってるの?

 浩市、元々綺麗な顔してたけど、この数年で更にグレードアップしちゃったから気持ちはわからんでもないけどさ。

 残念具合が大幅カットされた上、顔立ちも凛々しくなりました!(当社比)

 そしてそして、可愛くて性格も良い奥様と浩市にそっくりな娘に囲まれて幸せいっぱいなのでちょっかい出さないで下さいね。ちょっかい出されると私が嫁にしばかれるんで。


「え、そこキモメンの席なんだけど……」


 は!? ちょっと何を仰る……本人目の前にして『キモメン』って酷くない? もしかして聞こえてないと思ってる?


「あの、席決まってるんです。そこは彼女のお友達の席なので、良かったらこちらにどうですか?」


 そうか、黒田氏だって気付いてないのか……下心見え見えだぞ? イケメン様とお近付きになりたいんだな。肉食系女子こわーい。


「座席表確認して座ってるから大丈夫ですよ」


 出たぁ! 黒田氏の営業スマイル。今日も無駄にキラキラしてるね〜!

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