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ある変わり者と物好きの喜劇  作者: 和洲さなか
3/4

私にはお茶飲み友達がいました。いつものように会う約束をしていたのに、約束の時間に現れず、連絡がつかなかったので、私は友人のお宅に押しかける事にしました。

私達は息子同士が同級生で、どちらも一人っ子だったので、息子たちは兄弟のように仲良くしていました。もう二人とも家を出てしまったので、寂しい限りです。

家のチャイムを鳴らしても、なかなか出て来ませんでしたが、物音がしていたので、辛抱強く待ちました。

そのうちに彼女が玄関を開けて出て来ました。

「いったいどうしたの、電話をしても出てくれないし」

「あ、ああ、ごめんなさい。今、おばあちゃんの具合が悪くて」

「まあ、そうなの?どうなさったの、お見舞いするわ」

友人の母親には、私が二年前に手術をした時にもお世話になったのです。その時はピンピンしていたのに。

「ねえ、マコトちゃんは帰って来てるの?ほら、一人きりの孫だから、相当おばあちゃん子だったでしょう?」

「え?ええ、帰って来てるの」

彼女が今大変だから、というのを振り切って、上がり込んで奥の部屋に入ると、母親が寝かされていました。

母親は声が出にくいようで、近づくと

「ご無沙汰してます、サチコですよ」

「サチコちゃん、...て、サチコちゃん」

と、か細い声で私の名前を呼ぶのを、何とか聞き取れました。

他にも何か言っているようでしたが、痰が詰まっているのか、聞き取れません。


「でもマコトちゃんがいてくれたら男手があって、助かるでしょう」

「え?男手?」

私の背後で何かしていた彼女が聞き返しました。私は手に持ったままの物に気がついて言いました。

「あら嫌だ。私ったら白杖持って上がり込んじゃって...ごめんなさいね」


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