No.8 日本の事と私の事
今回、長いと思います…前回からの続きになります。
西暦2716年…つまり、私は…
「……未来に…来てしまったと言う、ことなの……」
子供の頃に見たアニメや、漫画。小説などで良くあるタイムスリップと言うものを、私はしたの…?私が、何も言えない状態に気付いたのか、ミュエルさんは、私に向かって…
「…ナナミさん…すみません、あなたは未来から来たと言いましたが…あなたが居た、時代は何年ですか…?」
「……私が居た、時代は…700年前です…西暦2016年です…」
「…そうですか……」
そのまま何も言えずに、お互いが沈黙したままだった…そして、ミュエルさんが
「……今日は、この辺にしといて…また、次の機会にしますか…?顔色が優れませんよ…」
この言葉に、私は否定を示した…。とにかく、今はちゃんと聞かないと…
「…大丈夫です…続きをお願いします…」
「分かりました…先程言った、何故日本が鎖国をしたのかは、現時点では実は分かっていないんです…ですが、ある説が有力になっています」
「……ある説…ですか…?」
「日本が、鎖国をしたのは…自分達の国の女性を…外に出さないために…所謂、数の少なくなっている女性を…こういう言い方は…あれですが、確保するために…鎖国をしたというのが、一般的な認識です…」
考えてみれば、それしかない…私は、もう一つの疑問を投げかけた……
「…もし、日本に…出て行ったり、日本に入ったりすれば…どうなりますか…?」
「……多分、そうしないように、対策をするとしか…昔、日本に入っていった時、そのまま消息が分からずじまいになった人もいます…」
「………!」
「…ナナミさん…日本は、江戸時代ではペリーによって鎖国を辞めさせられた…それは、当時の日本が、その時代では技術が他国よりも遅れてしまっていたからです…ですが…既にナナミさんの時代では、世界に肩を並べられる位に急成長を果たし…そして、今…」
「……江戸時代と違って、今、肩を並べられる…日本の技術は…独自の方法で、鎖国が継続できるようになった…と言うことですか?」
私の言葉に、ミュエルさんは頷いた…。更に、ミュエルさんは私に向かってもう一つの事を言った…
「…ナナミさんが日本に行って、どうなるのかは分かりませんが…しかし、日本人は例外はどの国にもいますが、無闇に殺生を行わない国であったといいます…宗教にも寛容だと…だから、今の鎖国体制はこの時代では必要なことの一つとの見方と捉えている人間もいますからね…だから、身構えなくても大丈夫ですよ」
「……そうですね…ありがとうございます…日本は、いつから鎖国を始めたんでしょうか?」
「……今から…200年も前と聞いています…」
「…100年以上も経っているんですね…」
…200年前でも、きっと私にはまだまだ未来の話だと思う…
「…私が、いた時代よりも…全然未来じゃないですか…」
「………確かに、言われてみれば…」
私が空気を変えるように言うと、ミュエルさんも優しく笑って言った…
ー…正直、自分の住んでいた日本がどうなっているのかは…怖いけれど…気になるけど…今はまだ…知らなくても、良いかもしれない…ー
「…でも、何故私が過去から来たことを信じてくれたんですか…?普通は、信じれないものなのに…」
もし、私がこの人の立場ならきっと疑っていたと思う…その問いに、ミュエルさんは…
「…あなたの様子と、今のあなたを話を聞いて…私自身も本当は信じられない事ですが、あなたは、嘘を言っているように見えませんでしたし…それよりも、あなたの手元にある端末と…財布の中身を見て、確信したんですよ…私の部屋に来たときに、あなたに頼んで見せて貰ったでしょう…それで、信じられたんです…」
「…スマホと、財布…紙幣ですか?」
「いいえ…あなたの…カードに埋め込まれている、チップを見て…それを少し、ナナミさんに頼んで軽く調べさせて貰って…ナナミさんが間違いなく、嘘をついていないと分かったんです…」
「…そういえば、カードを持ったまま、チップのある方を見せて欲しいってこの部屋に来るとき言ってましたっけ…その時に…」
実は、この部屋に来るときに…ミュエルさんから、私の鞄をみたいと言われていた…。私自身、特に困らなかったので、ミュエルさんにスマホと…それから財布の中身を見せた…その中でも、私の持っていた、キャッシュカードに目を止めて、それを貸して欲しいと言われたけれど、流石に大切な物なので、チップを見せると…
ー…なるほど…持ったままで良いですので、少しだけチップを調べても?…あぁ、あなたの暗証番号は調べたりしません…ただ、造りを見るだけですので…なるほど…ありがとうございます…ー
そう言った後、ミュエルさんは何か指に機械のような物を着けて軽く読み取った後に直ぐに離した…あれは、そういうものだったんだ。
「…じゃあ、ミュエルさんは私の暗証番号は本当に調べなかったんですね」
「勿論…ただ、造りを見てそこで止めましたから…今度は、ナナミさん…あなたは、何故…未来に来たことを信じたんですか?」
…今度は、私が質問をされたけれど…答えは簡単だった…
「…最初は、誰かが仕掛けたドッキリかと思ったんです…」
「…ドッキリ?」
「…はい…だけど、レイクスさんに会った時のレイクスさんの様子や周りを見て、違うと気付いて…そして、決め手になったのが…リュストゥングでした…あれに乗った後の、騎士団の人との戦いを見て……完全に、違う世界に来たと思ったんです…」
あの時、正直に言うといろいろ有って混乱したけど…自分が戦いの中にいた…それこそ、生きるか死ぬかの場面にいた時は…怖かったけど…
「…レイクスさんが、私に色々と…その…されて…しかも…昨日は……一緒に……」
…寝てしまったんだよね…思い出しても…顔が赤くなる…しかも、寝ちゃったし…あのまま…
私が、赤くなるのを押さえるために頬に手を当てているのを見ると、ミュエルさんは…くすりと笑うと…
「船長は、船長なりに…あなたを…ナナミさんの事を安心させようとしていたんですね…」
「……え?」
「…船長は、何も分からないナナミさんを不安にさせないために…気を紛らわせようとしたんでしょうね……あの人は、あなたに会った時から…ナナミさんが無害であり、危害を加えない事を見抜いていた…そして、敵意すら無かったことも……船長は、あぁ見えて、人を見る目が誰よりもある…敵が味方の区別が出来る人です…もし、演技であれば船長は絶対に何であれ、ナナミさんを置いてきたと思いますよ…」
「…………」
「…しかし、それが無かったからこそ…ヴァッカニアに連れてきたんですね…」
「……私が、スパイの可能性とか…考えなかったんでしょうか…」
「…ナナミさんは、今回…話してみて嘘がつけない、正直な方だと私も思いました…何より、持ち物を見せた時、包み隠さずに自分が無意識に敵ではないと訴えてました…だから、私達も受け入れた…そういうことです」
「……ありがとうございます…」
「…ほら、その顔です……そんな、不安から解放された顔を自然と出来る方は、スパイでは無理ですよ……それに、スパイなら…例え自然を装ってもふとした仕草や、行動を見れば分かります…そういう場合は、敢えて泳がせてから……ふふっ…」
一瞬、ミュエルさんの顔が少しだけ…悪くなったような…気のせいかな…
「…さて、騎士団の話と例の施設は、また次回にしましょうか…たくさんの情報を与えても、処理仕切れませんからね…では、お仕事初日…頑張って下さい」
「今日は、教えて下さり、ありがとうございました…」
頭を下げて、私は、部屋の扉を閉めるとそのまま、もう一度…船長室に向かった。
「…最も、ナナミさんが、嘘をつくメリットすら無いのも理由の一つですが…ナナミさん、あなたは…多分、気付いていませんね……そんな、打算的でないところもきっと、船長達がナナミさんを連れてきた理由であり、あなたらしさなのでしょう……さて、では服を作るとしましょうか…」
と言うわけで、ナナミさんはかなり分かりやすいためにそれが功をきしました。
後、日本の現在は本当に鎖国体制をしているので、割と未知というか、魔境というか…とにかく、不明と云うことで!
レイクスさんの、何気ない優しさが…だがしかし、やったことはセクハラや。
ミュエルさんが、割と喋る喋る…こんな感じで、他の人も出したいですね…最後のミュエルさんの言葉は、船長も含む皆が思っていることですね。
それでは