No.6 私が出来ること
今回、後半がかなり暴走しています
ー…随分と、懐かしい夢を見たな……ー
私は、うっすらと目を開けるとぼんやりとしていた…。そして、首に掛けてある指輪を手に取ろうとすると、何故か自分の腕が動かなくて焦った。
ー…え……え?なんで、私の腕だけじゃなくて、体が首以外動かないし、何かに両腕を押さえられて?縛られているのかな…だけど、きつくじゃないし…後、どうして背中が暖かいの…?…ー
私は、固まったまま混乱していた…しかも、何か寝息が聞こえ……
そこまで暫く考えて、寝起きの頭で必死に考えた…昨日のことを……
ー…そうだ、私…昨日……ー
昨日コンビニにいた時に知らない場所にいたこと、そこで男性二人に出会ったこと、そこで私は一人の男性と一緒に巨大ロボット…確か、リュストゥングに乗って、騎士団と戦っていて、その人の住んでいる場所で自己紹介をして…それから…
そこまで思い出した瞬間……
…そうだ……私…昨日…寝る場所無いからって、レイクスさんと一緒に寝たんだ…と言うことは…
「…おはよう…ナナミ…」
「……おはよう…ございます……レイクスさん…」
頭の上から、レイクスさんの声が見えないけれど聞こえた…恐る恐る、拘束されていたのは二の腕辺りだったので、私は、回されているだろう腕に触ると、やはり、あった…つまり、自分は…抱き締められたまま……眠っていたわけである…。
気付いた瞬間……
「~~~っ!!れ…れいくすさん…」
「なんだ…」
「あの…起きられたのでしたら、その…回している腕を離してくれますか…そのっ…動きづらくて…」
「……………………」
「……レイクスさん?聞いてますか…」
「…もう、一回寝たら考える…お休み…」
「ちょ……レイクスさーーん?!」
そして、レイクスさんは再び眠りに入ってしまった…その後、レイクスさんがまた起きあがるまで抱き締められたままだった…
「ナナミ、一つ言うことがある…此処にいるのなら、お前には働いてもらう」
「働く……ですか……」
暫くして、身支度を終えた後…私はレイクスさんに言われた。勿論、置いて貰うのだから働くことに文句は全くない。だけど、次の言葉で私は少し迷ってしまった…
「で、ナナミ…お前は何か出来るか?」
「何か…ですか……?」
「あぁ、お前が出来そうなモン…取り敢えずあるなら言ってみろ」
レイクスさんが、船長室の席で座りながら、私に向かってそう、言ってきた…。私は、
「…今のところ、分かりません…」
確かに私は、仕事上、デスクワークでパソコンは使えるけど、だからと言って得意じゃないし機械にもスマホやパソコン、家にある家電しか使えない…後は誰でも使えるもの…例えば自動販売機とか…リュストゥングになんて、絶対に乗れないし、頭も平均的で特に可もなく不可もなく、悪いワケじゃなくて良いわけじゃないと思う……なので、
「…強いて言うなら…雑用とかは、駄目ですか…?」
とにかく、私が出来そうなことはこれぐらいしか思いつかなかった。この世界で果たして必要かどうかは分からないけれど…私が出した答えに、レイクスさんは……
「雑用係か……良いんじゃないか?」
と、特に駄目な様子じゃない雰囲気だった。そして、
「じゃあ、私…これからはヴァッカニアで雑用係として、働かして貰えますか?」
再度、レイクスさんに言うと、
「…そうだな…確かに、雑用は誰でも出来るが忙しかったりすると適当になったり、荒くなったりするから、悪くない」
「つまり…」
「……決まりだな…これからナナミには俺達ヴァッカニアの雑用として働いてもらう…良いな?」
「勿論です…改めて、よろしくお願いします」
「……決まりだな…じゃあまずは、格好からどうにかしないとな…」
私が今着ている服は、昨日と同じスーツ姿だった…確かにこの格好じゃあ動きづらくて仕方ない…どうしたものかと考えていると……ドアが静かに開いた…そして、開けた人物を見ると…
「話は聞かせて貰いました…」
「……お前か……」
レイクスさんの、呆れた声とどこか楽しそうな声を聞いて私は昨日の自己紹介のうちの一人だと思い出した。そして、私はその人に声を掛けた…
「あの、ミュエルさん…聞かせて貰ったというのは……」
「…なんでも、ナナミさんが雑用として働く為の服を欲しいと聞きました…」
「おいこら何盗み聞いてんだお前は」
「ですので、ナナミさんさえ良ければ、私に任せて貰えますか」
「無視か」
レイクスさんのツッコミとミュエルさんの楽しそうに話すのを聞いて、私は…
「…もしかして、作業着か何かをお貸しできるんですか?」
その言葉に、ミュエルさんは……
「貸す?いえ、作るんです…安心して下さい私これでも、過去に服飾の仕事をしていたんです…ですので、ナナミさん…先程は良ければと言いましたが、寧ろ作りたいので作らせて貰えませんか…今までずっと男物ばかりを作り続けてきましたが、私としては女性であるナナミさんの服を作りたいのです」
突然のマシンガントークに私は呆然とした…思わず、
「アニーちゃんは、女の子ですよ?」
と、返すと
「アニーはアニーで作りがいがありますし、喜んで着てくれますが、それはそれです…布の心配ならご安心下さい、私の部屋にありますから…」
…レイクスさんの、余分な布は無いという言葉にようやく納得した…つまり、布という布は全てミュエルさんが所持し、全てミュエルさんによって服などに使われていたことだった…レイクスさんを思わず見ると、ミュエルさんを見て完全に呆れかえっている様子だった。
「ミュエルさん、もしかして布がお好きなんですか?」
「勿論です!布という布が色んな形を象るなんて素敵じゃないですか!そんな存在を!この私が!作り上げて!いきたいのです!大丈夫です!!仕事用の服や普段着!果ては寝間着まで作ります!」
ミュエルさんの布と服に対する情熱は、計り知れないなぁと思った…。初めて会った時は穏やかな人と思ったけれど、好きなものには熱を注ぐ人なんだなと思った。そして、私はミュエルさんが作ってくれるのなら、お言葉に甘えて頼むとミュエルさんは即答で嬉しそうに頷いて、先ずは採寸からとの事で、私はレイクスさんに頭を下げてから、ミュエルさんの部屋までついていった…。
こうして、私は服の問題をあっさりと解決したのでした……
ミュエルさんの趣味は服作りからテーブルクロスの刺繍、果てはパッチワークが大好きな人です。今は、ヴァッカニアの副長をしています。本来は穏やかで冷静な人ですが、布と服関連になるとやめられないとまらない。そんな、人です。レイクスは慣れてますが、突っ込まずにはいられないときもあります。
ではまた




