No.2 安心する腕
今回は戦闘!白いリュストゥングの正体は?
白いリュストゥングは、バルバロスの攻撃を先程の剣で受け止めると、こう言った。
「…ふん…久しぶりだな…レイクス…その攻撃、まさか腕がなまったのか…?」
「はっ……ほざいてろ…」
どうやら、話を聞いている限りこの二人はお互いを知っているようだ。白いリュストゥングに乗っているのは、男性のようだ。それでも、バルバロスのナイフをあの剣で受け止めたりして上手く かわしたり、バルバロスも同じようにナイフで相手の剣をそって斬りつけたり…素人の私から見ても、互角の戦いだった…。
「……あの野郎、オシーンを出してきやがったな…」
「…モテるな、羨ましい限りだ」
「変わってやろうか?」
「…遠慮しよう」
他の通信から、ヘルドさんの声が聞こえてレイクスさんと何だか楽しそうに話をしていた。戦いの最中なのに。他の緑色のリュストゥングもバルバロスに向かって攻撃を加えるが、そちらはヘルドさんが相手をしていた。
「…逃がしてもらえそうにもねーな…だろう?オスカー」
「…当たり前だろう…貴様等は、私が倒す…特に貴様は…レイクス!」
「おっと!……たく…こっちは、ナナミを乗せてんだからって…あっちには関係ないか…仕方ねぇ…」
「何をブツブツと…本気でっ…」
「あぁ、だからさ少し本気を出してやるよ…騎士様?」
明らかに、彼を…オスカーと呼ばれた人を挑発するように、言ったレイクスさんは、そういうと…
「このっ!」
「…ナナミ、暫く口は開けるな……舌噛むぞっ!」
何と、先程まで纏っていたマントを取った。そしてそのまま、ナイフを取り出した様子で、オシーンと呼ばれたリュストゥングに向かって、投げた。しかし、
「小賢しい!!」
オシーンが、それを斬り捨てると同時に、今度はバルバロスが、オシーンとは違った…だけど、刃先が曲がった剣をオシーンに向けて、右足肩に向けて斬った。
「うわぁぁぁっ!!」
相手が、それを右肩で受けとめる形になると衝撃のせいか、声を出して仰け反り、そこに一切の隙を見せずにバルバロスのキックがちょうど、オシーンの真ん中を直撃した。
「…言われた通り、本気を出してやったぞ?」
「…凄い…」
思わず、声に出して素直に言ってみるとレイクスさんはだろうとニヤリと笑った。
その、笑い顔に何故か胸が少し、跳ねた気がした。
「…さて、じゃ…今回は見逃してやるから…とっととそこから退け。進路の邪魔だ。」
「黙れ!薄汚い海賊風情が!私はまだ!!」
「…じゃあ死ぬか?…」
レイクスさんの、先程よりも声が低く…あの場所同じくらいの…言うと、彼は…
「…私は!まだっ…!」
「仕方ねぇ…片付けるか…」
諦めていなく、レイクスさんは呆れたように言うと剣を振り上げ…だけど、その瞬間……
「其処までにしてもらうか、レイクス…」
オシーンを庇うように、銀色のリュストゥングがバルバロスの剣を受けとめる…しかも、そのリュストゥングが持っている武器は、真っ直ぐに伸びた、長い槍だった…。
「……まさかの騎士団長様のおでましか……」
「久しいな、レイクス…そして、其処に乗っているのはお前だけじゃあるまい……だろう?お嬢さん…」
「なっ…女性が乗っているのか?!」
「え………」
「バレたか……」
騎士団長と呼ばれた人は、私がバルバロスに乗っていることを知っていたようだった。私は、思わず…だけど、声にならない声で短く言葉を発した。……なんで、この人は、私の事を?
「驚かせてすまない。初めまして、私はディムナ…そして、私が乗っているのはマックールと言う」
私は、レイクスさんを見るとレイクスさんは…
「御託はいい……騎士団長様がなんで此処にいる」
「……やれやれ、まともに挨拶もさせてくれないのか…仕方ない、答えは簡単だ…我等が騎士団が此処にちょうど通りかかった…そして、知らせを受けて来たんだ…それだけだよ。そして、部下のピンチには駆けつけるものだろう」
「…ま、最後の一行は賛同するがな」
「そして、その施設でどうやら女性が一人いたようだったからね……さて、今度はお嬢さん…君だ……君は、我々が保護しよう…」
「…大方予想はついていたがアイツ等が攻撃を仕掛けて来なかったのは、やっぱりナナミがいたからか…」
私は、頭が混乱した…。そういえばレイクスさんも先程会ったばかりの頃になんで保護所にいないんだって言ってた…私は、
「…レイクスさん、少し話をしても良いですか?気になることがあるんです」
「……分かった…但しアイツは口が上手い…気をつけろ…」
「ありがとうございます……あの、騎士団長さん」
「何かね、お嬢さん…」
「何故、貴方達やレイクスさんは、私が女性であるという理由だけで拘るんですか……レイクスさんも初めて会ったときに、驚いていました…貴方も、保護しようとする…何故ですか?」
私は、疑問を目の前の彼に投げ掛ける…そう、私は気になっていた…レイクスさんのあの時の“保護所”というキーワードと彼の女性という理由で保護をしようとする、理由を……
「…君は、知らないのかい?」
その言葉には、少し驚きが見えました。そして、レイクスさんも私を見てやはり、声に出さないでいたけど驚いていた。目の前の彼は私の質問に答えてくれた。
「……そうか…なるほどな…なら、答えよう…それはだね……女性が近年、何かしらの理由で年々男よりも減ってきているからだ…だからこそ、女性達は安全な場所に保護する事が決められている」
……女性の数が…減り続けている…?だから、保護をするの……?
「女性の数が減ることは我々に取って痛ましく、そして数が少なくなっている女性を巡って争いを起こさないために…そして、男達が女性を不当に扱わせない為に、保護対象としている」
つまり、女性を守るために保護しようとしていると…だけど、何だか…
ー…何だか、まるで私達女性が、物のように扱われているのは、気のせいかな…凄く、嫌だ…ー
私は、自分を抱き締めるように腕を回した。寒気と悪寒が止まらない…収まったはずの震えも…また…だけど、その時、後ろから優しく腕を回され、抱き締められた…私は、後ろを向くと其処には……
ー…レイクスさ……ん…ー
レイクスさんは、私を優しく、だけど力強く抱き締めて耳元で、
ー…大丈夫だ…ー
と言うと、目の前にいる…彼に向かって…
「…悪いな、騎士団長様……どうやらアンタが連れて行きたい奴は、嫌がっているみたいだぜ?」
そして、また、不敵に笑うと…
「……だから、コイツは渡せないな…一緒に行くと決めたのはコイツ自身だ……」
レイクスさんは、私を先程より強く抱きしめた。……その動作に、何だか落ち着いてきた…。そして、私は、騎士団長に向かって…
「ごめんなさい…私、行きません…何より、貴方達を信じられないから…だから、行きません」
私は、レイクスさんの腕にそっと自分の手を添えた…そして、震える声を押して、騎士団長さんに向かって告げた…。
「そうか……では、我々は退かせて貰う……行くぞ、オスカー…」
「しかし!女性がいるのでしょう?!ならっ!」
「だからこそだ…下手をすれば、彼女も殺してしまう可能性もある…一時撤退をする…いいな?」
「くっ……分かり……ました……ディムナ団長…」
そして、彼等はそのまま残った緑色のリュストゥングを引き連れてどこかに行った…途中、
「……覚えておけ…レイクス…貴様は私が必ず!」
「……あぁ…覚えておけたらな?」
そして、悔しそうに去って行きました……。私は、力が抜けていくのを感じて寄りかかっていた。息をゆっくりと吐き出して、
ー…何だか、いろいろあって安心したら…気が抜けちゃったな…ー
ぼんやりと考えて、私は……前を見ているとき…
「ナナミ、俺に寄っ掛かってそんなに疲れたのか?」
「はい……少し…え……寄っ掛かっ……!!!」
忘れてた!私、レイクスさんの膝の上だった!慌てて体を離そうとすると、レイクスさんが私の腰に腕を回して、顔を限界まで近付けて笑った……そして、その表情にまた、顔が赤くなる……
「あっ……あのっ!何で腰に腕を……後なんで手が腰を撫でてっ…」
「さぁな…?知りたいか?」
「えぇぇぇ……」
頭が別の意味で混乱していると、通信から咳払いをした、ヘルドさんが声を掛けた。
「……そろそろ、戻らなくていいのか?」
「…そうだな…さて、ナナミ…帰るか…」
どうやら、私から腰を離して、どこかに向かう様子らしい。私は、少しホッとした。だけど、耳元をレイクスさんがワザと……
「……ナナミ…」
「っ……!」
囁くと、体を跳ねさせた…レイクスさんがふっと笑うと、今度こそ…私達は、レイクスさん達がいる拠点に向かった…。
何だか、色んな意味で、大変な日だと思った……
というわけで、騎士団とのファーストコンタクトでした。騎士団にはまだまだいます。レイクスの仲間もいます。そして、最後……おい、レイクス。それ、セクハラや。そんなわけで、次回はレイクスの仲間について。因みに、ヘルドさんはレイクス達が会話している間、警戒したり、(勿論、レイクスもしていました)状況を見たりしていました!それでは