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この世界でただ1人の人間の戦い  作者: 冒険好きな靴
第13章 父祖の辺獄と地獄篇 ラース街中央執行所
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177話 ザ・アンフォアギヴン17~星の時間は動き出す~

 大魔石の光は目を潰しかねないぐらい強力な光だった。

 猫の目・・・タペタムを制限しなければ、目を開けていられない。

 光の中を集団で進んでいく。

 そして、たどり着いた。

 最深部であり、頂上でもある場所に。


 ドーム状の結界が周りを包んでいる。

 その先から、夕焼けのような月の光がよく見えた。


 中央執行所のてっぺん。

 そこには5人の悪魔がいた。


 魔王サタン。

 断罪者ヴァネール。

 騎士団の長クルブラド。

 大剣を持ったフードの男。

 ・・・そしてランティスが。


 「来たな、人間」


 魔王が俺と同じように3人の悪魔に守られていた。

 後方から話してはいるが、その目は明らかに俺だけを捉えていた。


 「・・・お前、何がしたいんだよ。現世に行って支配だなんて」


 疑問。

 何故、魔王はそんなことをするのか?

 考えたが、分からない。


 「・・・ハハ、ランティスから聞いたのか?」


 幼女の髪を引っ張って、強引に自身の元へ寄せる。

 ランティスは何も言わなかったが、痛そうにしていた。


 「マリアが欲しかっただけさ。そうだ。マリアが欲しいんだ、私は!!」

 「・・・死んだぞ。それに、現世に行っても死者は元に戻らない」

 「いいや、戻る。戻るに決まっている!嘘吐きの天使にあの純潔のマリアが転生する訳がない!!だから・・・私は行くんだよ。もう1回マリアに会うために」


 運命干渉系能力者の1人として、魔王は世界の真実について知っている。

 ・・・生物は死んだら転生する。

 地獄から次へ行くのは煉獄だ。

 そこから2つの道に分岐する。

 つまり・・・


 「そんなに現世でマリアさんに会いたいのかよ」

 「悪いか?私は自分に正直なだけさ」

 「他者を自分の望みに巻き込むな」

 「ククク、願いを実現するなら代償がいる。私の場合、それはみんなの命だ。星門の起動に大魔石が必要だから、一時的に貸してくれと頼んで、素直に6人の魔王達が聞くと思うか?大魔石がなければ今の暮らしを支えられもしないのに」


 ・・・大魔石は貸せない。

 きっと、そう言われるだろう。

 魔王の予想は当たっていると思う。

 道徳心で大魔石は貸し出せない。

 道徳の範疇外に問題が潜んでいるから。


 「それに、お前だってそうだろう?私のマリアを殺しやがって。自分が現世に帰りたいからと、私の大切な者を!!!」

 「俺はマリアさんに強制してない。善意で協力してもらっていた」

 「だが殺した!!!!」


 ランティスの髪が強く引っ張られる。

 憎しみに満ちたその顔は、醜かった。

 人間が抱える醜悪な感情を顔に描いたら、こうなるだろう。

 魔王の意思は読み取れない。

 けど、表情だけでも分かってしまう。


 「お前は結果的に協力してくれた悪魔全員をグリードで殺したんだよ!!!」


 その言葉でカチリと俺もスイッチが入った。


 「お前が殺したんだろうが!!自分の部下を使って!!!」

 「マリアは死んでない!!何度言えば分かる!?生きているから現世に行くんだろうが!!!」


 ダメだ。

 狂っている。

 頭がおかしい。


 現世に転生すれば、記憶や能力はなくなるのに等しいのに。

 俺みたいに思い出せないんじゃなくて、無くなるのだ。

 消滅する。

 消滅したら、もう元には戻らない。

 現世にいる元マリアさんは、別の生命体に生まれ変わっているのだから。


 「私はマリアに群がる害獣どもを駆逐しただけだ!お前は生き残ったがな!温情をかけて封印で済まそうとしてやったのに、恩を仇で帰しやがって!!」

 「温情だと?お前は訳も分からずこの世界に来て、いきなり封印されるって聞いたら理不尽だって思わないか!?それも逃げたら殺されかけて!!こんなのアンフェアだ!!!」

 

 思っていた不満を全てぶつける。

 多分俺、魔王みたいに醜い表情をしてるんだろうな。

 心の隅っこでそう思う。

 けれど、開いた口は閉じない。

 閉じてくれない。


 「お前1人の命で何人の悪魔が救われると思う!!少しは自己犠牲という言葉を知れ!!」

 「自分の願望を数多の悪魔まで巻き込んで、そんなことを言えるのか!?」

 「こうなったのは全部お前のせいだ!!お前がいなければ、マリアは死ななかった!!お前がいなければ、何も起こらなかった!!お前が私に殺人の決断をさせたのだ!!!」

 「ならいっそのこと、中央執行所に連行された瞬間から殺してくれればよかった!!」


 あの時俺は、ただ命が惜しくて逃げた。

 仲間を失うことの苦しさを味わうことを知らずに。

 マリアさん達の命は、今も義務感として俺の背中に重くのしかかっている。

 生きろと。

 生きて当初の目的を達成しろと。


 それが時々苦しい。

 ・・・生きることは拷問に似ているようで。

 生殺しもいいとこだった。


 「マリアがお前側についたから慈悲をかけてやったんだぞ!!」

 「だけど死んだ!お前のせいで!!」

 「お前のせいだ!!!」


 虎の威を借りて、言いたいことをぶつける。

 糞の投げあいだ。

 汚い感情が強者を通して交差していた。


 平行線。

 魔王とは分かり合えない。

 なんの為の言葉なのか、分からなくなってくる。


 魔王の意思が読めない。

 ・・・不快だった。


 「・・・魔王様、時間です」


 ヴァネールが魔王を制止する。

 恐れ多く。

 そして、炎の魔剣を腰の鞘から抜いた。


 「!?」


 72柱達が構える。

 強烈な殺気が大魔石の意思に負けず、この場から放たれる。

 緊張状態の中、魔王が引き寄せていたランティスがヴァネールの元へ突き飛ばされる。

 そして、威厳のある声を使って幼女の耳元で囁いた。


 「時を戻せ。本来の姿に」


 強化された聴覚がハッキリと言葉をキャッチする。

 ・・・時を?

 どういうことだ?


 幼女が黙りこくる。

 ・・・俺を見ていた。

 運命干渉系の能力者の意思は読めない。

 だから、何を考えているかも分からない。

 聡明で何にも染まらない堅牢な意志を宿した目は、ずっと未来を見据えている。

 俺なんかが想像も出来ない、世界の未来を。


 「・・・果てを渡れ(レ・ル・ム)


 時が狂いだす。

 本来時間は不可逆だ。

 戻すことも、止めることも出来ない。

 万物が否応でも従わなければいけない、運命の法則。


 本来触れることの出来ない法則に、幼女の手が加わる。

 生物が欲して止まない現象が、今発動された。


 「・・・」


 分かる。

 時間が流れているのが。

 ・・・何も起こらない?


 「ククク、私の元まで来てみろ、人間。深淵で待ってるぞ」


 そう言って手に持ったのは、魔石だった。

 細かな文様が刻まれた代物。

 ・・・転移魔石。


 「お前・・・」

 「召喚王を新しい魔王として認めたよ。力と地位を手に入れて奴も満足だ。そうしたら、この通り。膨大な数の魔石を転移魔石にすぐ加工してくれたよ」


 召喚王は魔王側についたのか。

 アイツも俺にとっては憎い。

 グリードで俺を散々邪魔してくれた悪魔だから。


 マリアさんは召喚王の心を見抜いていたのだろうか?

 だから、空中要塞で・・・


 「っ・・・」


 転移魔石が輝きだす。

 その赤い光は5人を包んでいる。

 ・・・移動する気だ。


 「動かないで!!」


 プラムが俺に警告する。

 怒りに身を任せてみようと思ったが、動くことが出来ない。

 プラムが金眼で俺の動きを制限していた。


 敵の転移はもう始まっている。

 召喚王の転移魔石は発動から終了までの時間が極端に短い。

 下手したら転移に巻き込まれてしまう。

 ・・・けど、悔しい。

 まだ言い返してやりたい。

 俺が、どれだけ辛かったかを。

 でも、それはもう遅かった。


 赤い光が徐々に収束していく。

 もう魔王達の姿はなかった。

 静寂が訪れる。

 相変わらず3つの大魔石だけが光りを存分に放っている。


 「・・・何をしたんだ、ランティスは?」

 「影が動いてる」


 プラムが下を見ていた。

 自身の影を。

 上からオレンジ色に光を出す、太陽のような月。

 月が、動いていた。

 ・・・動かない筈なのに。


 「・・・ランティスだろうなぁ」


 斧を背負った片腕だけのダヴェンはそう言った。

 誰もが目で語っている。

 ランティスの仕業だと。


 「止まっていた時間が・・・動いた?」

 「深淵の封印が解けた・・・としか思えないわね。あの魔王の発言からして」


 俺の疑問にオセが答える。

 時間が止まった地獄。

 それは深淵に潜む邪悪種を暗闇に閉じ込めておくためだという。


 「・・・てことは?」

 「邪悪種が来るってことじゃない?今まで月の光が当たっていた地上に」

 「軽く言ってるけど、ヤバくないか?」

 「・・・やばいわね」

 「と言うか、ここにいるみんなは魔王が現世に行こうとしてることを知ってるのか?」


 全体を見渡す。

 全員が頷いた。

 その時・・・


 「はぁ・・・はぁ・・・」


 出口から1人の悪魔が駆けつけていた。

 みんな一斉に後ろを見る。

 大体気配で、味方だということを察知してたみたいだ。

 全員警戒はしていなかった。


 「ベルゼブブか」

 「はぁ・・・はぁ・・・また会ったな」

 「お前も助けに来てくれてたんだな」

 「そこにいる猫に見張られてたから、逃げることも出来なかったよ」


 彼は冗談っぽく言うが、表情がすぐさま切り替わる。


 「周囲の悪魔全員、転移で逃げたんだけど・・・」

 「それで、私達、ここに来たの」


 エマが淡々とベルゼブブに説明する。

 ここで起きたこと。

 ランティスの封印が解けたこと。

 邪悪種が解き放たれたこと。


 「・・・どうするんだよ」

 「とりあえず、邪悪種が来るのは止められないかな」


 同じ現魔王であるオセが言う。

 そう・・・止められない。


 しばらく誰もが黙する。

 72柱でも、邪悪種との戦闘では死傷者が出ている。

 それも複数だとどうしようもない。

 直接害獣のように討伐するにはレベルが高すぎる。

 なら、どうする?


 「ここで防ぐしかないわね」

 「籠城か?ここで周りの連中は解散して逃げると思ったけど・・・」

 「みんな、このお兄さんの救出の為に、自分の立場を捨ててるの。もう戻る場所はないわ。私も、それ以外も。それに、邪悪種が攻めてくるのよ?どこに逃げたって一緒よ一緒」

 「いや、でも何で・・・」


 何で、そこまでして・・・

 俺の心は読めずとも、表情で丸分かりだったんだろう。

 少し笑って彼女は続ける。


 「ここにいる殆どの72柱は私と猫ちゃん、そしてベルゼブブとで勧誘したわ。みんな、自分の願望を叶えるためにここに来てる。こうやってラースに侵入出来るのは滅多にない機会だから」


 さっきのバティを思い出す。

 弟子に会うためにここまで来た悪魔。

 個人的な願望。


 「ま、少なくとも私と猫ちゃんとベルゼブブはお兄さんの為に来たのよ?」

 「助けられた身だからな。当然だ」

 「・・・私も同じくよ」


 2人と1匹はそう言う。

 それを聞いて、心に温かいものが流れた気がした。

 最近血の臭いしか嗅いでいないから、こういうのはほんの少量でも染みる。

 ちょっと泣きそうになった。


 「・・・ありがとう」

 「まだ貴方がお礼を言うのは早いわよ」


 プラムがいつもの調子で俺に釘を刺す。

 色々助けられてるな、俺。

 本当に運がいい。


 生死を運に委ねること。

 実に危ういことだ。

 けど、俺はこれでいつも助けられている。

 誰かの介入によって、俺は命を拾っているのだ。

 感謝しなければならない。

 ここにいるみんなに。

 どんな事情で来ていようとも。

 命を懸けて、自分の立場を捨ててここに来たのだから。


 「さてさて、じゃあこれからどうするのか。みんな72柱だから、邪悪種の怖さは理解してるわよね?」


 みんなそれぞれああ、だとかウンだとか返答する。

 けど、それっきりだ。

 後は黙る。

 ・・・人間のように。


 彼らのウリは戦闘力だ。

 それで今の孤独な立場が形成された。

 けど、その強大な力を出し切っても邪悪種とは戦いたくないらしい。


 「じゃあ、私の案を言っていい?」

 「さっきの籠城って案か?」


 俺は疑問に思って質問する。

 邪悪種・・・ここに侵入させないことなんて、出来るのか?

 あの凶暴な生物を。


 「その通り。転移魔石を使って逃げたなら、魔王達はここを捨てたも同然だから、ここには戻ってこないでしょうし」

 「でも、邪悪種はどうする?こんな場所で化け物の侵攻を止められるのか?」

 「この子がいるでしょ?お兄さん」


 オセはトントンと指で隣のベルゼブブの肩を叩く。


 「この子の神聖種は強力よ。完全テロ仕様。邪悪種も嫌って神聖種の毒に近寄りたがらない。自然界における生物毒だからね」

 「出来るのか、ベルゼブブ?」

 「やれる。けど、エネルギーはどうする?毒を散布し続けるなら、魔石がないと・・・」


 魔王が大魔石を見る。

 巨大なエネルギーの塊。

 けど、その後に俺を見た。


 俺も思ってた。

 俺の目的は大魔石だ。

 けど、ここで俺が大魔石と同調すると、数年間帰ってこられない。

 その間はどうする?


 「あ、お兄さんが大魔石を必要としてるのは分かってるから安心して?誰も大魔石を欲しがったりなんかしてないから」

 「・・・マジっすか」

 「マジよマジ」


 それは安心した。

 心底安心した。

 少なからず、大魔石が目的でここに来た悪魔もいるだろうと思っていたから。


 「エネルギーの問題は心配ないわ。カイムっていう悪魔が籠城に適した固有能力を持ってるから」

 「さっき、レデグルグを直してた悪魔か」

 「そう、漂う命の集積者。昔から知ってるけど、地獄で唯一のエネルギー生成器として活躍してくれると思うわ」


 大地の加護(キュア・アトラクト)

 カイムの固有能力だ。

 治療能力と自然要素集約能力を掛け合わせて使う能力。

 空気中には極少量だが、エネルギーが含まれている。

 それを利用して、戦闘にはほぼ転用出来ない遅々としたスピードで、自然要素集約能力を使ってそのエネルギーを集めることが出来る。

 さらに治療能力の転用で、相手にエネルギーを送り込む。

 魔石の機能を悪魔の肉体で再現するみたいに。


 水の能力程じゃないが、治療能力もそれなりに希少だ。

 固有能力に組み合わせるパターンは殆どないと言っていい。

 サポーター向きの能力を持った72柱ってのも中々いない。

 貴重な人材なのだ。

 よく、俺達側に入ってくれたと思う。


 「この大陸全体が襲われる以上、逃げ場なんてないの。ここしか身を確実に守れる場所はないわ。」

 「そして、この執行所を僕の神聖種で守るのか」

 「カイムに補助してもらってね」

 「・・・出来るかな?」

 「やるのよ。他に強力なスケットもいるんだし、問題ないわ」


 視線を周囲に向ける。

 反対する者なんていなかった。

 当然だ。

 もし仮にここを逃げだすとしても、恐ろしい邪悪種が外で待ち構えているかもしれないのだから。


 「・・・月も傾いてきたわね」


 プラムが上を見たのを横目で捉える。

 釣られておれも上を見る。

 いつもは月が変色して夜になる。

 だが、今回は月自体が山の向こうに消えようとしていた。

 本格的な黄昏時だ。

 ・・・もうすぐ夜が来る。


 「時間がないわ。今すぐ始めましょ。指図されるのは気に食わないと思うけど2手に分かれて行動して。半分は中央執行所に設置されている転移の陣の破壊。もう半分は生存者の確認。情報は出来るだけ集めておきたいわ」

 「うん、分かった」

 「任せて」

 「おっしゃ」

 「おう」


 それぞれ返事が返ってくる。

 こんな状況なのに、ビシッと癖のある72柱を纏めてる・・・

 凄いなと思った。


 そういえば、俺と別れてからも魔王の立場として情報を集めてたんだもんな。

 しかも、数年間。

 変身能力がいくら精度が高いからって、心まで騙せる悪魔はそうはいない。

 サタンは心が読めないから例外だろうが、自分の部下になった守護団の面々や領土に住む悪魔達を騙し通すセンス。

 ・・・尊敬の念を覚えるよ。


 「さあ、後はお兄さん、貴方よ?」

 「・・・俺?」

 「何してんの。さっさと大魔石と同調だっけ?しないの?」

 「いいのか?」

 「さっきの話を聞いてた?」

 「聞いてたけど・・・」

 「なら、早くしてよ。お兄さんを守る時間は短ければ短いほどいいんだから」


 当然のようにオセはそう言った。

 本当に・・・いいのか?

 不安が俺に降りかかる。

 けど、周りの悪魔は何がそんなに不安なんだ?といった顔をしていて・・・

 みんな、俺に対して不満の意思が感じられない。


 「いいんだな?やっちゃうぞ?大魔石に触れちゃうぞ?」

 「・・・好意には素直に甘えときなさい?」


 プラムの横槍。

 呆れたような口ぶりだ。


 「貴方が悪魔達に殺されかけたことが何度もあるのは、みんな知ってるわ。事情を知って、それで納得してこういうことになってるの」

 「それって本当か?」

 「貴方は私を信じないの?」


 白猫が睨む。

 金色の瞳がギラリと光った気がする。


 「・・・行くぞ?」

 「ええ」


 プラムがピョンと飛び降りる。

 ・・・こんなに簡単に物事が進んでもいいのか?

 怪しい。

 再度悪魔達の顔を見る。

 みんな早くしてくれ、って感じの表情だった。

 ・・・迷惑そうだ。


 俺という存在はこの世界では許されないかと思ってた。

 けど、違った。

 同じはぐれ者同士が助けてくれた。

 俺とは敵対する悪魔の方が断然多いが、それでも確かに味方してくれる者はいるのだ。

 孤独じゃないという事実。

 ここに来て、多くの悪魔の味方が出来たことが嬉しい。

 例え一時的なものだとしても。


 俺がいない間、多くの厄介な存在が彼らを脅かすだろう。

 それでも、彼らは72柱だ。

 頼りにしていいんだ。

 味方なんだから。


 トコトコと3つの大魔石に近付いていく。

 半端じゃないエネルギー量だ。

 命が輝いている。

 生命の神秘。

 太陽の欠片。

 俺は神の意思だったものに触れる。

 それと同時に、俺の視界が白く染まっていく。


 さて?

 俺がこの世界に帰ってきた時、ここはどうなってるんだろうか?

 ボロボロの廃墟?

 それとも俺は牢屋の中?

 72柱がそんなことはさせないだろうけど・・・

 ま、信じるしかないな。

 俺が光に飲み込まれるその時。


 「・・・いってらっしゃい」


 プラムの声が聞こえた直後、俺の意識はどこかへ飛んだ。

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