132話 光の記憶8
俺は・・・私は・・・僕は・・・自分は・・・己は・・・最初、外に憧れを持っていた。
閉鎖された空間が大嫌いだったから。
自由になりたい。
何度もそう思った。
雁字搦めに縛られたルール。
破れば身柄を拘束され、閉じ込められる。
社会から疎外される。
そんな世界に希望を持てなかった。
・・・生きることが苦しかった。
拷問を受けているみたいで、いっそ殺してもらいたいくらいで。
生きているより、死んだ方が楽そうでいい。
俺は・・・私は・・・僕は・・・自分は・・・己は・・・確かにそう感じていたんだ。
あの、人間達がいる世界に。
戦って、傷つくこととは違う苦しみ。
何の為に生きているか分からない痛み。
そんなどうしようもない袋小路に迷って、ジリ貧の毎日。
どこか遠くへ行きたかった。
だから 俺は・・・私は・・・僕は・・・自分は・・・己は・・・渡ったのだ。
異国の地へ。
海外へ逃げた。
今でもそう思ってる。
自責の念に強く締め付けられている。
どうしようもなかった。
それが逃げた理由の全て。
だけど、そんな理由で逃げられたら、と思う人間はどれほどいるだろう?
そんな苦しみに満ちた世界で生き続ける人達から見れば、 俺の・・・私の・・・僕の・・・自分の・・・己の・・・主張は、言い訳にしか過ぎない。
でも、そこに留まる人達もなんだかんだで言い訳をして、状況を改善することを怠ってたのではないかとも思う。
いずれにせよ、もう遅い。
俺は・・・私は・・・僕は・・・自分は・・・己は・・・いいや。
・・・俺はもう旅立ってしまったのだから。
後悔をしている訳じゃない。
なのに、このことばかりが俺の頭の中に深く残る。
そう。
俺は離れてよかったんだ。
窮屈なあの国から。
外の世界は俺の予想を遥かに超える広さで。
そこには俺の知らない暴力があって。
良くも悪くも、俺の知らないことだらけで。
この先には何があるのか?
未知だけが俺を虜にする。
可能性こそが・・・俺の糧だったのだ。
・・・ガガガッ。
ガガガガガガガガガガガガガガ!!!!
3つの意思は、4つ目の意思を排除しきれなかった。
だから、禁じられた生命体を作り出した。
知能ある者・・・
この世界をいずれ独力で超えて、いずれは全てを埋め尽くす。
広い広い宇宙を渡り。
そして、自らをも滅ぼし、この世界と共に自壊する。
そんな可能性を秘めていた。
だからこそ、生命体を作り出した4つ目の意思と敵対し、この結末へとたどり着いた。
世界を維持する為に選んだ道。
やむおえない選択。
それは、神の一部たる魂達を1つに統合することだった。




