小説家になれなかった男
小説家になろうと思った。
2秒で挫折した。
理由は簡単だ。
小説を書く以前に、本を全然読んだことがなかったからだ。
学校ではロクに授業を聞かず、字もへたくそだった。
人生について考える暇も無く、大人になっていった。
気が付いたらこのサイトを開き、文章を書き込んでいる。
自分がよく分からなくなってきた。
ろくでもない人生には、ろくでもない結果が伴うものだ。
それを避けるために、自分がたどった道を真剣に復習し、誰にも負けない力を磨く必要があった。
世界には、その道でしか生きられない人たちがたくさんいる。
貧しい街の子ども達は、自分がしたいことさえ見つからず、何も出来ないまま一生を過ごす。
それに比べて、自分がなんと恵まれているんだろうなと思った。
小説家になる事は簡単だ。
自分の過去の経歴を脚色すればいいのだから。
しかし、そのフィクション小説は、極めて時代的で、何も分からなくなってしまう。
せめて日記くらいつけておくべきだろう。