表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰路(仮)  作者: 夜叉
2/3

面影

最初はただ休んでるだけかと思った

けど、よく考えると夏実は皆勤賞を去年貰ってるし、今年も目立った休みはない


「夏実…」


健康がとりえのような彼女

病気も考えられない

あいつが最後に来た日

つまり、最後に見た日だってあいつは元気だった


「桜井さんどうしたんだろうね」

「急に来なくなっちゃったしね」

「何かあったのかなぁ」


クラスの女子も心配してる

先生に聞いたって教えてくれない

でも、先生は事情を知っているみたいだった

夏実が居ない教室で俺は一人

外では蝉がとてもうるさい

空も相変わらず青い

日常はいつもと変わらず進んでく


「家、行ってみるか」


何回か行ったことがある夏実の家

そこに行けば何かわかる気がしたから

でも、分からない気もした


夏実が何も言わない時は本当に知られたくないことが全力で隠されてる時


前に一回だけあった

夏実が俺から離れないとき

何を聞いても生返事で心ここに在らずって感じだった


そのあと、 その理由がわかった

夏実が飼っていた猫が死んだらしい

結局、それを知ったのは人伝で

夏実は話してくれなかった

問い詰めて始めて話してくれた

思い出したみたいに泣きながら

あいつは

夏実は他人に迷惑をかけることを極度に嫌う

それが俺であろうと

だから、守ろうと思えた

一緒に居たい

夏実が抱えてる痛みを少しでも分けて欲しかった


結局、変わらなかったけど

夏実は自分から大事なことを話すことはなかった

俺を信じてないわけでもないと思うけど

話してくれなかった

言葉にしなかった


「夏実…なにやってんだよ」


帰りのHRが終わってダッシュで教室を後にする

いつも、夏実とニケツしてるチャリにまたがり夏実の家まで急ぐ

少しチャリが軽いのが余計に不安にさせるが俺は急いだ


それが無駄なことと気づくまであと数十分


夏実の家の前に来てチャイムを鳴らす

無機質なチャイム家の中に響く

しかし、誰もでてこない


「あれ?」


もう一度ならす

結果は、同じ

出掛けてるのか?

近くにいた近所のひとに話を聞く

そして、思いもよらない言葉を聞く


「桜井さんなら引越しましたよ」

「は?」


あいつは

俺に何も告げぬままこの街から姿を消した



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ