She does not want to become the heroine. 1
この世界はフィクション。
何度そう思いたくなった事か。
本当に。嫌になるほど現実感がない。
生まれてこの方17年。37回誘拐され、その度に素敵なオジサマ(笑)に救われた。死にそうにもなった。こっちは100を超えている。でも私はその度に何かしらの奇跡(笑)が起きて助かって来た。
意味が分からない。私はただ普通に生きたいだけなのに。
特殊な運命(笑)がそれを許してくれないらしい。「奇運アレキサンドライト」も持ってないというのに。あー、普通に漫画読んで、恋愛とかして、生きたいなー。とか考えていたら、今日も私は誘拐された。スイーツ(笑)
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名前:有栖川 麗華
年齢:17歳
性別:女
将来の夢:普通の主婦とかになれたら楽なのにね
備考:天才肌。お嬢様。日常的にやばいことに巻き込まれてしまう体質。
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ごとん、ごとん。
という規則的な振動が、私の全身をシェイクする。
そんなにかき混ぜても何も出ませんぜ。
んー、でも涎は延々出続けているから、何も出ない訳ではないのか。
それに実際問題、生理現象として、そろそろもっといけないものが
出る可能性も無きにしもあらず。
まあ、意地でも出さないけどね。あいつらの中に異常性癖者がいたら困るし。
ごとん、ごとん。
あまりにも退屈すぎて、私はそんなようなどうでもいい事を、もやりもやりと考えていた。
目隠しをされ何も見えない。
正確には、布を通して何かが見えるような気がするが、これは見えないと表現しても差支えないレベルだろう。
口にはタオルが巻きついている。
突っ張って痛い。のはまあいいとしても、口周りがべとべとして超気持ちワルイ。
後ろ手で縛られている。
指は動かせるものの、特に約に立ちそうにもない。
足も太もも、膝、足首の三箇所を縛られ、ろくに動かない。
ごとん、ごとん。
うん。まあ、いい。慣れている。
自分で考えていてもバカバカしく思えてくるが、私はこのような状況に慣れきっているのだった。
だから、こんな風に、普通に考えるとやばすぎる状況であるにも関わらず、私は全く焦っていない。
がたっ。
「ふむぐっ」
車が何かに乗り上げたのだろうか、大きく揺れた拍子に、おかしな体勢になってしまう。
「んんにおおおんもおおむむう」
腕が痛い。直そうと動くと、余計に悪化していくので、私は動くのをあきらめた。
ごとん、ごとん。
はー。本当に面倒くさいなー。
どこでもいいから早くつかないかなー。




