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馬車は広場の端っこに停まって。

その広場にはたくさんの人が集まっていた。

なんだか銀色の服を着た人が多いけど…。


「わぁ~、広いですね~」

「ええ。ルクレィ最大なのよぉ」

「そうなんですか?」

「建物はルイカミナの方が大きいけど、敷地はヤマトの方が断然広いわぁ」

「へぇ~。知りませんでした」

「着きましたよ」

「じゃあ、降りましょうか」

「ルウェ、降りるよ」

「イヤ…」

「まだそんなこと言ってるの?」

「だって…」

「ダメ。行くよ」

「ヤァ…」

「また明日香に頼まないといけないの?」

「うぅ…」


明日香は退屈そうに端っこで丸まってるけど。

…仕方ないから、もう諦めて降りる。


「依頼所はあの建物よぉ」

「イライショ?」

「ええ。いろんな人がいろんな頼み事をする場所。そして、それをいろんな人が解決してくれる場所なの」

「いろんな人?」

「そうよぉ。困ったときはお互い様って言うからねぇ」

「……?」

「まあ、行ってみるといいわぁ」

「うん」

「じゃあ、行こっか」

「うん!」


望と手を繋いで。

イライショに行くんだぞ。


「あ、そうだ。タルニアさんたちはどうするんですか?」

「私は別に行くところがあるから。二人で行ってらっしゃい。帰りはまたクノにね」

「え?クノさんはどうするんですか?」

「みなさんが帰ってくるまで、ここで待ってますよ。明日香と一緒に」

「ワゥ」

「えっ、でも、それじゃあ…」

「いいんですよ。ふふ、なんなら付いていきましょうか?」

「あ、よければ」

「…クノ」

「あぁ…あはは。私はいいので…」

「そうそう。クノはいいから、二人で行ってらっしゃい」

「そ、そうですか?」

「はい。行ってらっしゃいませ」

「望、行こ?」

「あ…うん…」

「お姉ちゃん、クノお兄ちゃん、行ってきます」

「ふふ、行ってらっしゃい。それにしても、すっかり機嫌が治ったのねぇ」

「え?」

「ふふふ。なんでもないわぁ。じゃあ、行ってらっしゃい」

「うん!」


なんだったのかな。

まあいいや。

イライショ、どんなところか楽しみなんだぞ!


「それにしても、人がいっぱいいるんだぞ!」

「そうだね」

「あ!こんにちは!」

「ん?あぁ、こんにちは。依頼所かな?」

「うん。イライショ」

「へぇ~。頑張ってね」

「うん!それで、お兄ちゃんはなんでそんなガチャガチャな服を着てるの?」

「はは、これは鎧だよ。ほら、あそこ。見てごらん」


ヨロイのお兄ちゃんが指さした方には、ヨロイのお兄ちゃんよりもっとガチャガチャなヨロイを着た人がたくさんいた。


「旅団天照の方…ですよね?」

「そうだよ。分隊だけど。キミたちはクーア旅団かな?」

「いえ…。旅団には属してません」

「そうか。じゃあ、旅団天照に入らない?」

「ちょっと、カルア。勝手に勧誘しないの」

「でも、この子たち、術式の素質がありそうですよ」

「もう…そればっかり…。ごめんなさいね」

「いえ」

「ヨロイのお姉ちゃん」

「…え?私かしら?」

「うん」

「どうしたの?」

「ヨロイのお姉ちゃんは、カルアお兄ちゃんのこと好き?」

「ル、ルウェ!?」

「そうね…」

「………」


ニコニコしてるヨロイのお姉ちゃんと、なんだか落ち着かないカルアお兄ちゃん。

そして、ヨロイのお姉ちゃんはハッと何かを思い付いたように


「あ、そうだ。班長がカルアのこと呼んでたんだった」

「えぇっ!早く言ってくださいよ!」

「行ってらっしゃ~い」


ガチャガチャと走っていくカルアお兄ちゃんを見送るヨロイのお姉ちゃん。

ヨロイの人たちにカルアお兄ちゃんが紛れて見えなくなると、こっちに向き直って。


「さっきの質問だけどね。カルアにもう一度会うことがあったら伝えてくれる?」

「うん。でも、なんでヨロイのお姉ちゃんが直接伝えないの?」

「ふふ、大人の事情があるのよ」

「……?」

「じゃあ、伝えてね」

「うん」


そして、ヨロイのお姉ちゃんはそっと囁いて。


「ふふふ。よろしくね」

「うん」

「じゃあね。その名札、格好いいよ」

「うん、ありがと!」

「あっ。あなたの名前は…」

「私は遙だよ」

「遙さん…ですね」

「うん。じゃあ、今度こそ」

「はい。ありがとうございました」

「タルニアとクノにもよろしく伝えといてね」

「えっ、あっ、え?」

「あそこでこっちを見てるのってクノでしょ?挨拶にも行かなくてごめんなさいって言っておいてね、ルウェ」

「うん、分かった」

「じゃあね」

「またね~」

「あっ、遙さん!」


遙お姉ちゃんは、そのままヨロイの人たちの方へ行って。

望はまだ何か言いたそうだったけど。


「遙さんか…。誰なんだろ…」

「遙お姉ちゃんは遙お姉ちゃんでしょ?」

「…うん、そうだね。遙さんは遙さん」

「うん」


と、ちょうどそのとき、お腹の虫が鳴いた。


「ふふふ。依頼所の前にお昼ごはんにしよっか」

「うん!」


馬車まで引き返していって。

クノお兄ちゃんとお昼ごはんなんだぞ!

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