表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/537

41

「盗品は全部戻ったし、犯人も捕まったし。一件落着やな」

「そうですね。まさか聖獣が犯人だとは思いませんでしたけど」

「まあ、そんなこともあるわさ」

「クーア、大丈夫?」

(うん…)

「ルウェは、今回は回復が早いね」

(ボクがいるから)

「へぇ~。…なんかよく分からないけど」

「聖獣と契約することで、身体が丈夫になっとるんやな。特に、この体力バカのせいで疲れにくくなっとるんやろ」

(体力バカって何さ)

「そのまんまや」

(うぅ~!)

「ところで、私に斡旋してくれる約束はどうなったんですか?」

「あぁ、忘れとった」

「えぇーっ!酷いです!」

「まあええやん。今思い出したんやし」

「望お姉ちゃんも契約するの?」

「出来たらね」

「召喚師が夢なんやし。聖獣の一匹二匹使役出来んとな」

「じゃあ、ルウェの方が召喚師さんに近いんだね」

「召喚師は憧れであって、夢ではないです」

「ん?そうなん?」

「はい。いつも聖獣と一緒にいられるのって良いじゃないですか」


望はそう言うと、ルウェの背中を撫で始める。

ルウェは気持ち良さそうに耳を寝かせて。


「望お姉ちゃんは、誰と契約するの?」

「望は火の属性が強いから、まあその辺やな」

「へぇ~」

「よっしゃ。いっぺん喚んでみるか」

「え?ここで?」

「いや。近くの公園に行こか。柚香も一緒に」

「えっ、私も?」

「長之助から許可出たやろ。な、クノもええと思うやろ」

「………」

「おい、クノ」

「あっ、はい、何でしょうか?」

「はぁ…。もうええわ。こんなやつほっといて行くぞ」

(公園~)

「クーア、帰って休む?」

(うん…。ごめんね…)

「じゃあ、またあとでね」


クーアの頭を撫でてあげると、弱々しく尻尾をパサリと振ってそのまま消えてしまった。

対してルウェは、部屋の中を飛び回ってお兄ちゃんに殴られていた。


「よし、出発進行!」

「おおーっ!」


柚香を連れて公園へ。

望は誰と契約するのかな。



家を出てほんの少し歩いたところ。

大きな公園があった。


「わぁ~。ねぇ、ヤゥトくらいあるかな」

「ヤゥトより、まだ一回りは大きいやろな」

「へぇ~」


どっちを見てもずっと建物はなくて、木や草がたくさん生えている。

人もたくさんいたけど、広いから気にならなかった。


「よっしゃ。この辺でええやろ」

(誰を喚ぶの?)

「んー。まあタルニアやな、まずは」

(やった!)

「なんでお前が喜ぶねん」

(えへへ)

「ほなら、いくで…」


お兄ちゃんは大きく深呼吸をして、何か変な構えをする。


(…何それ)

「変な格好ですね」

「召致というのは、そんな構えをしないと出来ないのですか?」

「やかましいわ!オレの勝手やろ!」


望や如月に言われ、顔を真っ赤にさせて変な構えをやめた。

そして、手を前に出して


「熱くたぎる炎よ。我らにその真価を示せ!」

(…何言ってるの?毎度のことだけど)

「格好付けたい年頃なんでしょ」

「そのような面妖な詠唱がいるとは聞いたことがないです」

「あぁもう!お前ら、タルニアに焼き払わせるぞ!」

「私には公園を焼き払うという趣味はない」


一瞬、空気が燃えるように熱くなったかと思うと、大きくて綺麗な鳥がそこにいた。


「おぅ。久しぶりやな」

「お前と会うのは二ヶ月と十日ぶりだ」

「細かいなぁ…」

(タルニア!)

「む?ルウェか。相変わらず、やんちゃそうだな」

(タルニアも全然変わってないね)

「私が変わろうと思えば多くの労力と時間がいる」

(ねぇ、この子、ボクの新しい契約者なんだ!ルウェって言うの)

「ほぅ。ルウェか」

「うん。こっちが望、あの二人がクノお兄ちゃんと柚香なんだぞ!」

「クノか。懐かしい名だ」

「よろしくお願いします、タルニアさま」

「クノもええけど、今日はこいつと契約してもらおう思て喚んだんや」

「ふむ。望か」

「こ、こんにちは…」


タルニアは、望をジッと見つめてしばらく動かなかった。

そして、一度大きく羽ばたいて火の粉を散らす。

…周りの草が焼けて、少し焦げ臭かった。


「望。お前はなぜ、私の力を必要とする?」

「ち、力なんていりません…」

「では、なぜ私と契約したいと思うのだ」

「わ、私…聖獣たちとずっと一緒にいたいだけです…」

「ふむ?一緒にいたい?」

「はい…」

「そうか」


タルニアはまた羽ばたくと、望の目の前まで歩いていく。

そして望の前でうずくまると、ゆっくりと目を閉じた。


「私に名前を付けてくれ」

「え、えぇ?」

「私は貴女を主と認め、生涯遣えることを約束しよう」

「え…?なんで…?」

「私では不服か」

「いや…そういうわけじゃ…」

「私に名前を賜りください。さすれば、この身全てを貴女に捧げまする」

「え…じゃあ…カイト…」

「カイト」

「う、うん…」

「ありがとうございます」


そしてまたカイトがバサバサと羽ばたくと、その紅い翼に黄色とか青とか綺麗な色が付いて。

散る火の粉は、なんだか雪みたいだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ