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情けなくお腹が鳴った。
ジッとしていてもどうにもならないし、動こうにも動けない。
「はぁ…」
(ご、ごめんね…)
「………」
(うぅ…)
(ここ、どこなのさ。ごはんはないの?)
(な、ないよ…)
(キミ、ここに住んでるの?)
(うん…)
(ルウェの万金はどこ?返してよ)
(うぅ…。綺麗なの見つけたのに…)
(他人のもの盗っといて何言ってるのさ!)
「ルウェ、うるさい」
(ご、ごめん…)
(クー、何か探してくるよ)
(逃げる気?)
(じゃ、じゃあね!)
(あ!待て!)
そして、クーアはまたどこかに消えてしまった。
テンイとかいう術式ってルウェが言ってたけど…。
自分にも使えるのかな…。
(もう…。あいつ、どこに行ったのかな…)
「………」
(わざわざお昼ごはんの直前で飛ばさなくてもいいのにね)
「………」
(………)
「へぇ~。こんなところにねぇ」
「お姉ちゃん!」
「はぁい。ちょっと待たせたかしらぁ?」
「転移を使ってたんですね」
「望!どこ?」
「上だよ。うーん…掘っちゃっていいのかな」
「掘らなくても、そこに入口があるわよ」
「あ、ホントだ。でも、小さいですね…。ルウェなら通れるかな?」
「どこ~?」
「ちょっと待って」
ガサガサと何かを掻き分けるような音がしたかと思うと、急に天井が明るくなった。
そこから望が見えて。
「望!」
「あっ。なんか、いっぱい散らばってますよ」
「クーアが集めたんだって」
「クーア?クーアって?」
(クーアはクーアだよ)
「"白銀の獣"カゥユの使徒、"黄金の魂"クーア。商売繁盛の神様としても知られてるわぁ」
「クーア旅団って、クーアから取ってるんですか?」
「そうね。まあ、商売繁盛の神様だからってだけじゃないんだけどねぇ」
「そうなんですか?」
「ええ」
そして、お姉ちゃんは天井の穴から覗いて。
「クーアはどこに行ったの?」
「お昼ごはんを探しに行ったよ」
「そう。それにしても、溜め込んだわねぇ。ルウェちゃん、こっちまで来れる?」
(ルウェ、ここに飛んできたときに足を挫いちゃったみたいなんだ。ボクが明日香くらい大きかったら良かったんだけど…)
「じゃあ、クーアが戻るのを待ちましょうか」
「ルウェ、あんまり動いちゃダメだよ」
「動けないよ」
ズキズキして、動くとすごく痛い。
少し明るくなったけど、まだ暗くて自分ではよく見えない。
さっき足を見てくれたルウェは、どうなってるのか教えてくれないし。
「そういえば、お昼ごはんを探しに行ったって、ルウェの?」
「うん…」
「大丈夫よぉ。クノから報告は受けてるから」
「えっ、いつの間に?」
「ふふふ。いろんな秘密の方法があるのよぉ」
「へぇ~」
「さあ、これを食べなさい」
(ボクが取ってくるよ)
「うん」
ルウェは何かの包みを受け取って、運んできてくれた。
その包みからは、すごく美味しそうな匂いがして。
開けてみると、さらに匂いは広がる。
「わぁ~。何、これ?」
「豚の角煮とおにぎりらしいわぁ。柚香ちゃんのお母さんの手料理よぉ」
「いただきます!」
豚のカクニもおにぎりも、とても美味しくて。
涙が出そうなくらいだった。
「これ、すごく柔らかい!」
「ずっと煮込んであったのねぇ。手が込んでいるでしょう」
「うん!ルウェも食べてみてよ!」
(ボクは大丈夫だから、ルウェが全部食べて)
「でも、美味しいよ?」
(うん。だから、ルウェに食べてほしいの)
「…分かった。ありがと」
(えへへ)
ルウェの頭を撫でてあげると、鼻を胸に押し付けてきて。
(あっ!何か食べてる!)
「お帰り、クーア」
(ただいま。はい、美味しい木の実だよ)
「うん。ありがと」
(ねぇ、何食べてるの?)
「クーア。帰ってきたの?」
(あ、え…誰?)
「ちょっとそこで待ってなさいよぉ」
(え…?)
お姉ちゃんが何か呟くと、天井の穴から黒い影が下りてきて。
それが光の下に出ると、金色に輝いた。
(あぅ…)
「名を持たぬ子よ。この宝石鉱石の数々。まさか我々の掟を破り、他の者へ迷惑を掛けているのではなかろうな?」
(うぅ…)
「唸っていては分からぬ。カゥユさまに、たっぷりお灸を据えてもらわねばならぬのか?」
(うっ…うぅ…。ごめんなさい…ごめんなさい…)
「………」
「その辺にしておいてあげなさい」
「しかし、タルニアさま…」
「クーア。盗んだものは全て返すこと。今まで取り憑いて迷惑を掛けた人に謝ること。早く契約者を見つけること。これを守れるなら、この子を止めてあげるわぁ」
(ホント…?)
「ええ」
(じゃあ、約束する…)
「そういうことよ。許してあげてくれない?」
「ふむ。しかたあるまい」
そう言うと、金色の狐はこっちに近寄ってきて。
そして、足を舐めてくれた。
「酷い怪我だ。すぐにちゃんとした治療を受けねばなるまい。"手当"で誤魔化している間に、早く医者へ行きなさい」
「う、うん…」
痛みが嘘のように引いて、自由に動かせるようになった。
手当…。
これも術式なのかな…。
「おぬしは私と共に来てもらうぞ。やることがたくさんあるのでな」
(は、はい…)
「タルニアさま。では、私は…」
「はぁい。またあとでねぇ」
「はっ」
短く返事をすると、金色の狐とクーアは消えてしまった。
地面に散らばっていた、たくさんの石と一緒に。
「さあ、ルウェちゃん。術式の効果が消えないうちに帰りましょう」
「うん」
ルウェに手伝ってもらって、天井の穴から出る。
クーア、すごく怒られてた…。
それに、あの金色の狐、葛葉と一緒で尻尾が九本あった。
なんだか懐かしいかんじがしたんだぞ。




