図書館の規則
市内にとても規則に厳しい図書館がある。
規則を破った人の中には、図書館を出入り禁止になった人や罰金を支払うことになった人もいるらしい。街の人たちの中には、規則が厳しすぎるんじゃないかと文句を言う人もいる。
物議を醸している規則の内の一つが「館内での焼肉禁止」というものだった。
これは本を読んでいる人が焼肉の臭いにつられて本の内容に集中できなくなったり、焼肉の炎が本に燃え移ってしまう危険があるのが理由らしかった。
また館内での阿波踊りも禁止されている。これも焼肉と同じで本を読んでいる人の集中力を奪ってしまうことや阿波踊りのBGMがうるさいという苦情を入れる人がいるのが原因だそうだ。
僕は図書館が定めた規則に文句を言うつもりはない。だけど、図書館で焼肉や阿波踊りをやりたい人の気持ちも分からなくはないというのが本音だった。
だから僕は図書館で焼肉をするときはいつも、他の利用者の方々の迷惑にならないように細心の注意を払って行うようにしている。例えば、肉を焼く時は煙が本を読んでいる人の方に行かないように気をつけたり、ハラミなどといった他の人が食べたくなるような部位ばかりではなく、サラダなども注文するといった具合だ。
そんなこんなで僕は規則を守りつつ、図書館ライフを満喫していた。しかし、そんな僕の日常も終わりを告げることになる。事の発端は友達の一人が図書館でジンギスカンをやろうと言い出したことだった。
もちろん、僕はその意見に真っ向から反論した。だって、ジンギスカンなんて美味しいものを焼いたらみんな食べたくなるに決まってるじゃないか。図書館に来ている人の中には本を読みたい人もたくさんいるはずなのに。
だけどその友達は一度やると言ったら聞かない人で、強引に押し切られてしまった。
そしてジンギスカン当日。僕らは周囲の人の羨ましそうな視線を感じながら、存分にジンギスカンを味わった。ジンギスカンは美味しかった。
ただし、最後の最後に友達はとんでもない失態を犯した。
「あれ、火ってどうやって止めるんだっけ?」
なんと、友達は火の止め方を知らなかったのだ。
それから火はあっという間に図書館の本に燃え移り、図書館は全焼してしまった。
幸い、逃げ遅れた人はいなかったから良かったものの、僕と友達は今後は図書館でジンギスカンをやらないことを固く誓ったのだった。




