病という名の
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「ほんと、相棒っていう制度があって良かったわ。じゃなきゃ、こんな世界で一人でいられないもの」
サクラの言葉通り、人は一人では生きられなかった。
人口減少に歯止めがかからず、孤独を抱えた人類が選び始めたのは、自らを終わらせることだった。
その手段は瞬く間に病のように拡がった。
孤独に耐えかねて、終わりに向かう人々。
それは螺旋のように連なって、続いた。今そこにいた人が、次の瞬間居なくなる恐怖。
どれ程の、絶望だっただろうとトウタは想像する他ないが、背筋が冷える思いがした。
ひとり、またひとりと続く負の連鎖をもはや止める術はないと思われた時。
それをなんとしてでも止めようとする科学者が現れた。
トウタを作り出した人たちだ。
死んだ人を仮想空間に生み出し、人類をそこへと誘う。
現実世界から仮想空間へ人々を移動させることで、なんとかしようとしたのだ。
そうして、回避した自ら終わりに向かう破滅の道。
──あなたたたちAIは、人の傍にいるのよ。
トウタを作った科学者が、そう言った。
人を孤独にしてはいけない、と。
──分かった! ずっと、そばにいるよ。
トウタは言いつけ通り、約束とも言える言葉を守った。
トウタに課せられたのは、それだけではない。
さらに科学者たちは、仮想空間に更なる希望を見出した。
仮想空間内で、世界の現状を良くする解決法を探し始めたのだ。
考えうるいくつかの策を仮想空間内でシュミレーションし、一番いい方法を現実世界で試そうとした。
失敗したとしても、現実世界でのダメージはなく、仮想空間内をリセットすればまた元に戻れる。
そうして、何度も何度も【世界】が作り替えられていく様を、トウタはずっと見ていた。
トウタは全てを記録し、ありとあらゆる可能性を探す、重大な役目も持たされたが故に。
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どれ程の時間がかかろうとも。
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何度、繰り返されたか。
正確な数は覚えているが、トウタは思い出したくも無くなっていた。
鮮明にくっきり覚えていて、この惨状をトウタは痛いほど理解していたが故に。
トウタも自分で気づかないくらいに、限界は近かった。




