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新しい武器

「お前、それでいいのか」


ショウの問いかけにトウタは、ん? と首を傾げる。


「ん? じゃない。俺はお前を殺そうとしたんだぞ」


「え、ああ。その事? 別に、気にしてないよ。事情はあったんだし」


もちろん、殺されたくはないし痛いのも嫌だ。

だけど、そうせざるを負えない世界である事は重々承知で覚悟していることだ。


それに、ショウとはちゃんと会話が出来ていてお互いが少しづつ理解し合えている。

だったら、問題は無いはずだ。


「だから、いいんだよ。僕はショウを手伝いたいって思ったから行くんだ」


それだけじゃだめかな、とトウタが言うとショウはいいや、と首を振る。

少し照れ笑いのような笑顔を、片手で前髪を触りながら隠して。


────────────


手当も終わり、ショウは立ち上がる。

トウタは包帯でぐるぐる巻きになった自身の両手を見たあと握ったり開いたりと、動きを確認する。


痛みはそこそこあり、普通に生活するのは不利になりそうだった。

どうしたものか、と考えているとショウがトウタの思考を読んだように言う。


「安心しろ、何かあれば俺が手伝う。だから遠慮なく言え」


「え、うん!」


「ところで、トウタは武器かなんか持ってるか? この黒服たちと戦うには武器がなかったら勝てねぇぞ」


「え、そうだな……。ごめん、武器らしい武器ないや」


トウタは自身のカバンの中身を思い出しながら考える。

生活必需品としてサバイバルナイフ、フライパン、箸……武器になりそうなものを考えるがどれものこれも年季が入っているし、武器といえる代物ではなかった。


トウタの返答に、ショウはあからさまにため息をついた。


「どうやってそれで戦おうと思ったんだよ……。ちょっと待ってろ、多分この辺に」


半ば呆れながら、ショウは当たりを見回し、地面の氷の割れ目に手を伸ばす。

なにか引っ張りあげているのだろうか。少ししてめいっぱい伸ばしたショウの手に長い日本刀が握られていた。

どうやら氷の割れ目の中に落ちていたようだ。


「黒服と戦った時に俺が弾いたんだ。そのままその隙間に落ちたヤツ。ないよりかはましだろ」


ほれ、と渡された刀をトウタは恐る恐る受け取る。こんな武器らしい武器なんて持ち運んだことは無い。


もちろん握るのも初めてだ。

ずっしりと重い刀を両手で持つ。鞘は黒塗りでツヤがある。鍔は金の細工がされていて桜吹雪があしらわれているようだ。


(桜……か)


桜という言葉にどこか引っ掛かりを覚えながら、トウタは柄を握り鞘から刀を抜いた。

真っ直ぐ天に昇るような鋭い刃は薄く青白く光を放つ。


それは文字通り、刀身自体が鈍く光を放っていた。


「やっぱ、その刀変だな。刀が自分から光るなんて」


ショウも刀をまじまじと見ながら呟いた。




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