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空っぽ


「で? 誰が空っぽだって?」


問い詰めるようにトウタとの距離を縮めながら、くわっと一つ大きなあくびをしたショウ。

朝焼けに燃える空を仰ぎ、トウタの隣に立った。


「…………」


トウタは口をつぐみ、沈黙が降りた。何を話すべきか分からなかった。

空っぽだと言ったことを説明すればいいのだろうか?

それとも、誤魔化して話せばいいのだろうか?


自分の心の内を素直に話して良いものか、決めあぐねる。

自分の悩みなんてちっぽけでは無いのか。寂しいとか、辛いとか、そういうものを話しても、解決しないのに。


ずっと一人ぼっちだったトウタにとって、弱音を吐くことは無意味に思えた。

結局は自分ひとりで乗り越えていかなければならないから。


迷いに迷って曖昧に笑ったまま、ショウの顔を見た。


すると、ショウはトウタの顔を見たまま、顎をくいっと一つ動かす。

どうやら、ショウは話す気は無い、話始めは譲る、と言いたいらしいとトウタは悟った。


これは逃げられないな、いや誤魔化すのは失礼だとトウタは観念して自分の心の内をぽつりぽつりと話し始めた。


「僕には、相棒が居ないでしょ。居たって言う感覚は残ってるんだ。だけどそれが思い出せなかった」


話し始めるとトウタの右手は、何かを探すように彷徨う。

それだけが、誰かがそこにいた証だった。


「でもね、最近サクラって言う人に出会って、感じたんだ。この人は僕にとって特別なんだって」


チクリと胸を刺す痛みに、トウタは胸の前で両手を握りしめた。

痛みは我慢すればするほど、トウタの心を苛んで離さない。


だけど、その痛みをトウタは離そうとは思えなかった。手放してしまったら、再び離れていってしまうそんな気がしたのだ。


「ずっと探していた人って気がして、僕は目を逸らせなかった。今も、あの人に会いたくてたまらない」


トウタは空をみた。刻一刻と移ろいで行く空は澄み渡るほど青く澄んでいる。


「気づいちゃったんだよね、今まで僕は空っぽだったんだなって、いや気付かないふりしてたのかも」


冷たい風がトウタの体を撫でる。それは内部までさらって行くようだった。

それでも立っているために、自分自身の体をトウタは抱きしめる。


そうしなければ、とっくのとうに自分は潰れていただろうとトウタは身震いがした。

足元が薄い氷のように危うかったなんて、知りたくなかった。


「……ばっかだなあ」


トウタの言葉を聞いて、ショウがさも面白そうに笑う声で言った。


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