表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

巡る空、繋がる手

第四章:「巡る空、繋がる手」

時は流れ、現代。

都会の片隅、夜空の見えづらいビルの谷間に、その少年はいた。


名前は天坂あまさか りょう

高校生。どこか空を見ては立ち止まり、夢の中で誰かを追いかけていた。


遼「また、同じ夢だ……あの、白い翼の少女……」


夢の中で何度も見る少女。

自分の名前を呼び、空の中へ消えていく少女。


「遼くん、また会えたね。」


彼女はいつも、最後にそう言う。


でも、遼には誰なのか分からない。

ただ、涙がこぼれる。


放課後の公園、桜の木の下

風が吹いた。


ひらりと桜の花びらが舞い、ひとりの少女が振り返った。


「あ……ごめんなさい、ぶつかっちゃって……」


その声を聞いた瞬間、遼の胸が、強く、締めつけられた。


遼「……え?」


「私、風見かざみ 羽衣はごろもって言います。転校してきたばかりで、よろしくね。」


その名前。

その声。

その瞳。


——夢の中と同じだった。


遼「羽衣……?」


羽衣「……どうして、その名前を知ってるの?」


遼は言葉を失った。


心臓が強く鳴っていた。

記憶が、何かを思い出そうとしていた。


羽衣「……夢で、あなたに会った気がするの。」


その瞬間、風が吹いた。

ふたりの間に、桜の花びらが渦のように舞う。


夢の中、再び

夜。遼は夢を見る。

今度の夢は、はっきりとした光景だった。


——かつての空。

——あの丘の上。

——神社、風、そして白い翼。


羽衣「ずっと、待ってたんだよ……何度、生まれ変わっても……君を。」


遼「……思い出した。俺は……空だ。」


羽衣「やっと、巡り会えたね。」


遼「……今度こそ、離さない。」


ふたりは空に手を伸ばす。

この夢の中で、再び繋がれた手は、離れることはなかった。


翌朝

遼と羽衣は学校の屋上で再会した。


羽衣「……きっと、あの時の約束が、今になって叶ったんだね。」


遼「俺たちは……何度でも巡り会う。空の下で。」


ふたりは、手を繋ぐ。

そこにあるのは、失われていたはずの記憶と、繋がった心。


そして、遼はもう知っている。


この物語は終わらない。

空がある限り、風が吹く限り、ふたりは——


また、巡り会う。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ