二日目:空は青い
空は青い。友達にそんなこと言うと常識だろ、と返される。でも私は不思議に思っていることがある。空の上は黒いらしい。これは私にとって常識だった。けれど、この場所では常識ではなかった。
今日も旅をした。旅をしたいからしているのだが。今日は風が強いとてもとても。風というのは怖い。風のせいで死んでしまう場合もある。そして、雨も降りかけている。移動はまた今度にして、この島に泊まろう。と言っても簡単に泊まれるところが見つかるわけではない。
おい、おい
今話しかけてきたのは友達のスズだ。今友達になったばっかりだ。大きさは二倍ぐらい違うのに臆さず私を助けてくれる。話し相手にもなってくれている。
飯持ってないの?
と、私に聞いてきてくれる。まぁ、持ってない。元々、この島は通過地点で泊まる予定はなかったから。
持ってなさそうだね
そう言ってスズが私に虫を渡してくる。多分これを食べればいいということだろう。でも私は虫が苦手だ。なぜならずっと草を食べてきてきたからだ。虫なんて一回も食べたことなんかないし。正直言って怖い。背に腹はかえられぬのでもちろん食べます。
どこから来たの?
スズがそう聞いてきた。
北国から来たんだ。ここよりは寒いけど、いい場所だよ。
私はそう答えた。実際に北国から来た。北国は、冬はとても寒い。だから、生きるために移動する。
スズがあ、ふーんみたいな感じで理解しているのかしてないのかわからない表情をした。
今ここには泊まる場所ないからおすすめなところ連れてってあげるよ
スズがそういった。そうしてスズが飛ぶ。小さきながら大きな羽を広げて。と言っても歩ける距離だった。まぁ、でも私たちは「人」が持ってない「羽」があるんだから。そうして2分後くらい、スズがここって言ってきた。そこは人が建てた家だった。でも、ここは無人島だ。人がいない。でも、それがまた、安心できる。明日、旅を継続しよう、この島を出る。ちょっと出たくないという気持ちを含めながら。色々考えて今日は寝た。
寝ぼけている時、人がいた。そして寝る。
起きた時、目の前にご飯があった。匂いからして毒ではないようだ。腐ってもいないだろうし。食べてしまってもいいだろう。
美味しい
このご飯は人が作ったようなものだった。スズが作ったわけではないだろう。誰だろうか。とにかく、スズにさよならの挨拶をしよう。
そうして空を飛ぶ。