1日目:俺のいる島
自由だ。でも自由じゃない。どういうことかというと俺はこの島で一生を終えるからだ。この島は小さい。らしい。詳しくは知らない。周りにいた小学生とかがそう言ってた。それを聞いてただけ。俺は今この島の一本坂道を下がってる。小学生が投稿している。小学生たちは俺をみて避けていく。気持ちがいいものではないが、気持ちが悪くなるものでもない。歩きやすいし。
「怖いよね。」
そう言っているのは、71歳のおばあさんだ。このおばあさんは優しい。俺を見ても避けたりしない。いや逆に俺が金魚の糞のように毎日ついて行っているから、取り巻きができたみたいな感じで気持ちがよいと思っているのかもしれない。と言っても俺は1年前からこのおばあさんについて行ってる。
おばあさんは毎回、海に行く。泳いだりもしない。ただただ水平線の先を眺めている。おばあさんが何か一点を見つめていると知ったのは最近だ。おばあさんが話し始めたのだ。
「太平洋戦争って知ってる?」
いや、知らない、なにそれ?
「太平洋戦争ていうのは戦争なの。殺し合い。いろんな人が死んだんだよ。私の夫も」
それで、おばあさんはその一方を見つめているらしい。命がなくなってしまうのは俺も嫌だ。なぜなら、俺の世界でも命が失われてしまっているからだ。昨日、お母さんがなくなってしまった。病気で亡くなってしまった。
命が失われてしまう。それがなくなる未来は訪れるのだろうか?。