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幕間① 『狩りの時間だ』

 緒方家の一室で、一人の男が正座のまま苛立ちを募らせていた。


 にび色の髪を持つ男は横髪を耳にかけ、赤い口紅が似合いそうな細い唇を引き結んでいる。首が細く中性的な顔立ちをしているが、濃い灰色の着物に身を包んだ体はほどよく鍛えられていた。


 彼の内情を表すように、長い前髪から見える細い眉は険しく、手に持っている懐中時計を見つめる眼光は鋭い。


 ふと、障子の前に人の気配がした。


 和冴は懐中時計を懐にしまい、冷ややかで声で告げる。


「入れ」


「失礼いたします」


 現れたのは緒方家の使用人であり、千景の監視を任せていた庭師の男だった。


「遅い。千景は」


「申し訳ございません。まだ足取りを掴めずにいます」


 和冴はピクリと眉を動かしてから、腕を組む。


「失踪して二週間以上経つが」


「引き続き、みなで捜索いたします……」


「もういい。下がれ」


 男が出ていったあと、和冴は姿勢を崩すことなく、顎に手を添える。


「あいつらが千景を軽視していた結果がこれか」


 腹立たしいことこの上ないが、仕方がないとも言える。


「あの女の価値は僕以外にはわからないだろうから」


 呟いてから、和冴は思考を巡らせる。


 これだけ探しても見つからないということは、まじないによって守られている場所にいるのか。


(白浪一族と共にいる可能性が高いな)


 なぜいまさら奴らが彼女に干渉してくるのだろう。散々放置してきたくせに、使いどころでも思いついたのか。


 汚らわしい政府の犬め、と吐き捨てる。


「まったく。僕から逃げられると思うなよ、千景」


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