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10回QUIZクエスト

作者: 櫻井入文

よろしくお願いします。

 文化祭の準備に追われる中、ちょっとだけ休憩〜っと、バルコニーに避難してきたら先客がいた。


 取り敢えず、自分も持ち出してきた椅子を彼女の隣に置いて座る。


「おつか〜」

「お疲れ。ねぇ、十回クイズしない?」


 いきなりだな。


「いいよ」

「じゃ、いくね。カバって十回言って?」

「カバカバカバカバ……」


 同じ音が重なると切る所が曖昧になるな。なんて思いながら指折り数える。


「カバが逆立ちすると?」

「カバはカバだろ?」


 指から視線を外し、横を見たらこちらを見ている彼女と目があった。


「う〜っ」


 いや、なんでそんな悔しそうな顔をするかな。


「次。温泉と十回」

「温泉温泉……」

「3000の次は?」

「3001」


 ぷくりと頬が膨らんだ。


 くくく、甘いな。


「ケンタッキーって十回」

「ケンタッキーケンタッキー……」


 あ〜ちょっとチキンが食べたくなったかも。


「洗濯物を乾かすのは?」

「乾燥機」

「も〜っ、つまんないーっ」

「ひゃははははっ」

「つーまーんなーいーっ」


 いやぁ〜、今のは反射だった。

 さすが俺、優秀。


「次は、日焼け」


 そろそろ諦めるかと思ったけど、まだまだ頑張るらしい。


「日焼け日焼け……」

「ニワトリが産むのは?」

「たまご」


 ドヤ。


 キリッとした顔をキメるとプイッと顔を背けられた。


「も〜」

「も〜って」

「空気読んで」

「いやいやいや」


 俺に挑もうなんて五億年早い。


「シャンデリア」


 まったく負けず嫌いなんだから。


「シャンデリアシャンデリア……」

「毒りんごを食べちゃったのは?」

「白雪姫」

「……チッ」

「チッって、ちょ、チッって」


 ツボったのか彼女は腹を抱えて笑っている。


 ったく。


「わさびって、十回」

「わさびわさび……」

「おでんにつけるのは?」

「からし!」


 自分でも驚く即答に、彼女の目もまんまるだ。


「甘いな」

「ぐぬぬぬ。じゃあ、可愛いって言って」


 プンスコと怒って拗ねてるのに、諦めないのね。


「可愛い可愛い可愛い……」


 指折り数える。

 さぁ、今度は何だ? と、隣の顔を見たら、やたらご機嫌な表情に変わっていた。


「ありがと」


 立てた人差し指を頬に添えて首を傾ける。


「可愛い〜」


 俺の中で、仕草が可愛いと好評なポーズだ。


「……な」


 漸く、自分が担がれたのだと気付いた。


 途端に恥ずかしさが湧いて出て、顔に熱が集まる。


「次は、好きって十回ね」

「ゼッテー言わねーっ」


 可愛くない、可愛くない、可愛くないッ。


「ブッブー、答えは金星でした〜」

「ぐぉぉぉぉ」

お時間いただき、有難うございました。

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