03 恋しいイギリスのキュウリ
皆さま ご無沙汰しています。
いらしてくださりありがとうございます。
体が水分を欲しているからかもしれませんが、今食べたいのはイギリスのキュウリです。
渡英するまで、記憶の中で一番美味しかったキュウリは、子供の頃、夏休みに親の実家である山の方の田舎で食べたものでした。
祖母が畑で自家用に作っていたそれは、当時私の地元のスーパーで売られていたものの倍ほども(子供の頃の記憶なので誤差があるかもしれません)大きく育ち、太くなった先が曲がってぐっと上を向くまでになっていました。
そしてギラギラと照りつける太陽の光を浴び緑色がとても濃く、触るとかなりトゲトゲしていたのです。
塩もみし塩を洗い流してから輪切りにすると、薄い黄緑の円の周りに緑のフリルがついているようにうねうねしていて、デザイン的にもきれいでした。
噛むと、ふだん口にしていたほっそりして味のあまりないキュウリとは全然違って、みずみずしさとぎゅっと詰まった甘みとうまみが口の中にうわーっと広がりました。
キュウリに味がある。しかも うまい。何かみっしりしている。衝撃でした。
祖母もとっくに亡くなり、あんなキュウリはもう二度と食べられないかなと長年思っていました。
ですが、なんとロンドンのカフェで食べたサンドイッチで私は再びキュウリの美味しさに目覚めたのです。
プレ(Pret)で名前が始まるそのカフェ・チェーンはロンドンの駅の近くなどいろいろな所に店があり、女性が一人でも安心して入れるカフェの一つでした。
そこのツナとキュウリのバゲットサンドから覗いているキュウリの薄切りは、大きめで、懐かしいあのフリルっぽい濃い緑色に縁取られたものでした。
そして実際に食べると、厚みと歯ごたえがあり水分がたっぷり、ほのかな甘みと旨味がしみ出て海の幸ツナの塩気とまた合うのです。私は店内で思わず一人でにまにましてしまいました。周りから見たら気持ち悪かったと思います。
エビやトマト、ハムなどとももちろん合うキュウリですが、私はツナとの組み合わせが結構好きでした。
それまで意識して見たことがなかったのですが、スーパーで売られているキュウリも日本のより 格段に大きかったですね。ゴロンとしていて、キュウリというよりよく育ったヘチマに近いイメージです。
時々 いそいそと買って食べました。
紫外線が日本より強めとはいえ曇天の多いロンドンで、太陽の恵みいっぱいという感じのキュウリを美味しくいただいているのは不思議な感じがしました。
いや、ロンドンでは例えばスペイン産やケニア産のアスパラガスも普通に食べていたたから、もしかしたらイギリス産のキュウリではなかったかもしれません。
イギリス以外の野菜も結構売られているので、ヨーロッパの中、世界の中にあるイギリスというのをスーパーの野菜売り場でも体感できました。
あー、またロンドンに行ってキュウリが食べたい。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
ご来訪に心から感謝いたします。
よろしければまたお越しください。