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10 ロンドンの家の多くには◯◯がない

皆さま ご無沙汰しています。

いらしてくださりありがとうございます。

 写真でも実際の風景でも、白っぽい石や、赤や黄色、茶色のレンガでできた建物が続くロンドンの街並みは、歴史を感じさせてくれます。1階(ザ・グラウンド・フロアー(the ground floor))は店、2階(ザ・ファースト・フロアー。ややこしいことに英国では2階をthe first floorと呼ぶ)以上は集合住宅になっていることもしばしばです。


 信じられますか? その家々の多くに冷房がないなんて。

 うちもご多分に漏れずそうでした。暖房はセントラル・ヒーティングなのに……。

 なぜ、冷房がないんだ。ほんとにないのか? 初めて気づいたときは、うちの中を2周くらいして冷房を探しました。


 昔のロンドンは夏でもそんなに暑くならず、冷房はいらなかったのだと思います。

 今でも、もちろん平均して東京よりはロンドンがずっと涼しく、湿度も低くて過ごしやすいと思います。

 でも私が住んでいた頃には、夏はすでに最高気温約38℃の日もあり、「かなり暑い」日が多くなっていました。日が暮れるとだいぶしのぎやすくなるのですが、気温が高い日の昼間は、とてもじゃないけれど冷房のない家にいられません。


 そんな時にまず向かうのはスーパーマーケットでした。

 自動ドアをくぐればひんやりした空気に包まれます。

(涼しい……)

 人の流れの邪魔にならない所に立って、ふう、と一息ついたものです。要冷蔵・冷凍ものが取り扱われている食品売場は、殊に天国でした。


 スーパーマーケットの中にはカフェやフードコートがある所もあります。熱中症防止のためそれらに寄って飲み物や食べ物を口にすれば、同時に時間を稼ぐこともできました。


 一人でも安全に入れるチェーン店のカフェ(冷房のないカフェもありますが)、化粧品も販売されている大型薬局、書店、雑貨店、衣料品店、小型ホームセンター的な店、ちょっと足を伸ばしていときには博物館、美術館も、品物や展示物だけでなく冷えた空気の恩恵を受けられるありがたーい場所でした。


 図書館も良かったのですが、トイレが人目の届きにくい地下っぽい所にありまして。

 屈強な外見の男性が親切に場所を教えてくれ、女子トイレの外扉の前で立ち止まったまま「どうぞ」と言ってくれたのですが、どうしても使う気になれず。買い物をするので財布やスマホも持っていたし……。

 迷いましたが、1階からお礼だけ言って去りました。

 で、図書館自体、足が遠のいてしまいました。


「安全に注意が必要」といえば、それ込みで人さまに教えていただいた緊急避難場所として、教会も忘れ難いですね。


 重厚な石造りの教会建築の中は、薄暗く、外に比べるとだいぶひんやりしていました。そして、何人か人がいてもシーンとしています。

 祈る目的で来たわけではないので申し訳なさを感じつつ、静謐な空気を壊さぬよう足を忍ばせました。

 なのに教会の歴史が書かれた色刷りの紙に思いがけず「日本語解説」があり、Oh! と小さな声が出てしまいました。なんてこった。


 同時に「身の安全に注意」の旨を常に忘れぬようにし、万一変な人(こういう時は自分の変さ加減は棚に上げています)が入ってきてもすぐ逃げられる位置取りと心構えで少々ドキドキしながら涼を取りました。


 けれども、コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)の時は本当に困りました。一番ひどい頃には、「生活必需品取扱い店(具体的には持ち帰りの食料品店と薬局くらい)以外のすべての店がすみやかに強制的に閉鎖になっていた」からです。

 スーパーマーケットも、「食品売場以外は」、衣料品・寝具売場含め、椅子が積み上げられたり網がかけられたりしてすべて閉鎖です。上に挙げたカフェ、書店、雑貨店、衣料品店、小型ホームセンター的な店、図書館、博物館、美術館、教会もしばらく入れなくなってしまいました。ついでに言うと美容院や電球販売店もです。


 イギリスの政治的意思決定は、本当に速いと思うことが多かったですね。まずないでしょうが、第二次世界大戦中のように「日本人は収容所へ」などということも、万一の時にはサッと決定されるかもと思うと少し怖くもあります。

 でも、全体としてはスピーディでイライラせず、プラスに感じられることが私は多かったです。

 とはいえ、「生活必需品取扱い店(具体的には持ち帰りの食料品店と薬局くらい)以外、全店閉鎖」はちょっと参りました。


 さて、家にいる時間も結構あるため、家で熱中症にならないようにいろいろなものをネットで買いました。


 まずは冷風扇。1m位の高さの、自分が抱えて運ぶには少し大変なものをリビング用と寝室用の2台買いました。

 凍らせた液体を入れたプラスチック容器と水とを下の容器にセットすると、エアコンの冷房ほどではないけれど、局所的に涼しい風が吹いてきます。

 首振り機能もあり、普通の扇風機(日本から持っていったものは壊れました)より格段に涼しかったです。正直、助かった、と思いました(個人の感想です)。


 でも、それだけではまだ夜は寝苦しい。そこでベッドの上に敷く大きめなひんやりマットも買いました。

 日本で見かけるひんやりマットは見た目がガーゼの肌掛け布団やタオルケットのようなものが多いです。

 が、そんなものは当時ロンドンのオンラインショップでは見つけられず。私が買ったのは、ちょっとした水滴ならはじくゴツい化繊でできたものの中に何かよくわからないゼリー状のものが入っているものでした。


 寝っ転がるとはぁぁぁあと安堵の息が自然と漏れるほど冷たいのです。体の熱がすうっとマットに移っていくよう。ひんやりするって素晴らしい!! と心の底から思いました。


 しばらくすると体温で温まってしまうのが弱点ですが、それでもこのマットは夏の間じゅう愛用していました。

 温まってしまったひんやりマットは、広げてしばらく放っておくとまた冷たい感触を取り戻します。


 日本ではカビやすいので保管場所に注意が必要ですが、このひんやりマットは帰国後も使っています。


 水に濡らすととても冷たくなる機能付きの、薄手のスカーフやタオルも手放せません。友達が日本から送ってくれたものや現地で買ったものを持ち歩いては、熱が身体にこもってきたときなどに濡らして首に巻いていました。

 

 また、食品についてくるような保冷剤はロンドンではほぼ見かけなかったのですが、買い物の失敗が怪我の功名だったことがあります。


 筋肉痛になり、サ◯◯パスやモー◯ス◯ープのような、一箱に数枚〜数十枚入った湿布を買おうとした時のこと。

 COMPRESS(コンプレス。『湿布』を和英辞典で調べたらこれが出た)なんとか、と箱に書いてあるものを買ったら、ゲル状のものが中に入ったちょっと大きめな保冷剤みたいなものが箱に1個だけゴロンと入っていて、何かびの雰囲気がありました。


 想像していた「湿布」でなく少しショックでしたが、凍らせて使う枕がなかったので、冷凍庫で凍らせてタオルを巻き代用品にしていました。本来の使用目的外なので、真似しないでください(笑)

 ちなみに、湿布は、コンプレス(compress)でなくペイン・リリーフ・パッチーズ(pain relief patches)で探した方がよかったようです。


 このように、よそさまのお心遣いや冷房や建築、さまざまなグッズの力を借り、時にありゃーという失敗もしつつ、暑さが増してきていたロンドンの夏を乗りきりました。

 あっ、ロンドンは湿度が低く、太陽光を遮る空気中の水分が少ないせいもあるのか太陽の日差しがより強く感じられます。なのでサングラスもあるとよいと思います。既存の眼鏡の上からパチンと装着したり外したりできる便利なものもあります。


 皆さまも、夏にロンドン等 英国に旅行される際には、ホテルの部屋に冷房(あと冷蔵庫も)がついているか、事前にチェックなさってみるのもよいかもしれません。


 どうぞ熱中症や脱水、夏風邪等に気をつけてお過ごしください。

ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

ご来訪に心から感謝いたします。

よろしければまたお越しください。

これを書いている今は、我が家の辺りは暑くなったり涼しくなったりしています。思わぬ体調変化も時にあり得ますので、皆さまご自愛ください。

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