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⑶『安息を求めて』

⑶『安息を求めて』



俺の安息は、小説を書かないことだった、とすれば、何と無益なことをしていたのだろう、という気にもなるが、それなりに書いて来た小説に、満足しない訳でもない。それこそ、無響の地において、俺が信じるところの神。



であるからして、ー小説を書くのを辞めようと何度思ったことか、その辛い歴史の様な小説群の中でー、俺は安息を求めながら、その行為とともに、小説を書くのを辞めて行く覚悟で、日々、呼吸を整えるのである。



苦しいことも、悲しいこともあったさ、しかし、究極の安息が、小説を放棄することだとしたら、今までの俺を否定してでも、その否定論の裏で、快活な、実益を備えた、生活をやって行こうかと、今、思って居る。

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