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第三章 最終話 誓い

2週間後 アルスとガレットは正式に結婚式を挙げることになった。

「ガレット。結婚おめでとう。」

「ありがとうございます。ノエルさん。」

新郎・アルスへの顔見せが終わったあとノエルとガレットは話をしていた。

「やっと幸せになるんだね。ガレット。」

「はい。父さんや母さん、サーレット、ナユレット。村の皆んなやガリントの分まで幸せになりますよ。」

「君は辛い思いを今までしてきたんだ。幸せになりなさい。」

「ノエルさん。」

「何かな?」

「ノエルさんは全てを知る者(オールノー)で何が起きるか予知ができるって言ってましたよね。」

「そうだね。それかどうかしたのかな?」

「最初から何が起きるか分かっていたのなら、ガリントが死ぬと分かっていたのなら、今まで影で糸を引いてのはデメールじゃなくてノエルさんってことになりますよね、多分。」

ノエルはガレットの口から出た言葉に少し驚いた。

「ようは本当の黒幕は僕だって言いたいのかな。」

「黒幕だなんてそんな。ノエルさんは私の恩人なのでそんなこと言いませんよ。ただ私は、ノエルさんが何の影響で今まで動いていたのか気になるだけです。」

「そうだね。何が僕を動かしたか。それは僕が神使(エンジェル)だからだよ。僕はエアリアス建国の女神ティアの使いなんだ。ティアの頼みで君を守って欲しいと頼まれていたんだ。」

「頼まれていた?」

「君の前世がティアに縁深いヤツらしくてね。守ってやれと言われたから動いていたまでだよ。」

「女神様、ねぇ。」

客集めの鐘が鳴った。

「そろそろ僕は行かないと。じゃあ、待ってるよ。」

「はい。」

ノエルは部屋から出ていった。

(自分が影から糸を引いていたことは否定していないってことは肯定しているってことか。本当の黒幕は、今まで私の近くで起きてきた事象は全てノエルさんによって引き起こされたってことね。)

窓から差し込む弱い光を少し眉を顰めて見た。

(コレが、全ての真実。)

ガレットの頭の中で思い出が走馬灯のように巡った。

(ノエルさんが黒幕、ね。薄々そんな気はしてたけど、)

目を静かに閉じているのは光が眩しいからなのか、雫を溢れないようにするためなのか。

(中々残酷ね。世界は。魔女狩り(ホーリーソーティング)の生き残りが知る真実は残酷。変えられはしない。戻れない。終わったことは変えられない。でも、何だろう。)

「私が女神様に生きてほしいと思われていたってことね。」

女神様と縁深かった私の前世って、

(いや、考えても無駄だな。考えてたころで父さんと母さんたちは戻ってこない。今は、幸せにならなきゃ。)

 トントン

「どうぞ。」

入ってきたのはアルスだった。

「時間だ。行くぞ。」

「分かった。」

今まで本当に沢山のことがあった。林間合宿、双子の弟がいたこと、かく、えに参加したこと、王と王妃が操られていたこと、自分を狙っていた人が学園長だったこと。


そして、恩人だと思っていた人が影で糸を引いていたと知ったこと。


全てを引っくるめて今まであったことはとてもとは言い表せないほど大変だった。苦しい時期が多かったし、悲しくて死にたいと思う時もあった。でもそれを乗り越えて今を私は生きている。

 

いつか天上に行くその日まで私は精一杯生きようと思う。

女神様。あなたは全て終わったらまた会おうと言いましたね。でも、もう会うことはないでしょう。これからは自分の力で、アルスと共に生きていこうと思います。


〜神殿にて〜

女神・ティアは紅茶を嗜んで現世を見ていた。

「全て、終わったのね。ノエル。」

異空間転移によって神殿に来ていたノエルはティアの向かい側に座った。

「ああ終わったとも。やっと解決できたよ。」

「随分と時間がかかったようね。」

優しく笑ったティア。

「無茶言うなよ。バグの存在は“今回”が初めてだったんだから。時間もかかる。」

「そうかしら?あのアザリンス学園創設者にして初代学園長なら朝飯前なんじゃない?」

「それは“中身”の話だろう。実際そう簡単にいかない。どれだけ犠牲を払ったことか。お前が一番知っているだろうに。」

「あら、知らないわ。そんなこと。」

ノエルは眉を顰めた。

「しらばっくれてるんじゃないよ。まったく。神サンも面倒だ。自分が世界を創ったらそれ以降手出しができないって。」

「面倒だなんて失礼ね。自分が手を出すなんてつまんないじゃない。」

「僕はそのゲームじみたものに千年も付き合わされたってことか。」

「良いじゃない。私はあなたの初恋の人なんでしょう?」

「そんなこと忘れたね。」

「あら、認知症?」

ノエルの顳顬(こめかみ)にヒビが入った。

「はぁ。もう良い。僕は帰るから。」

「またお茶しにきてね♪」

「次来るのは百年後だ。それまで滅ぶなよ。」

ティアの返事を聞かずにノエルは現世に帰っていった。

「ノエルも子供ねぇ。」

“紅掛色”の目、“月白”の髪を持つがれっとと瓜二つの女神・ティアは目を細め笑った。

(私の愛しい“妹”をこれからも守ってね。)


影の守護者(セレネーン)


 主人公・ガレットは真実を知り馴染みのアルスと夫婦の契りを結びましたね。余談ですがその後ナオミとマキロも結婚したとか。

本来の制度をいいように解釈されたのが聖なる選別(ホーリーソーティング)。その被害者のガレットはこれからどう生きていくのか。そこは読者の方々のご想像にお任せします。

作中を通してノエルが大きな鍵を手にしていたことが分かった方はどれほどいるか分かりません。またノエルの足跡をまとめた外伝を出すつもりなのでお楽しみに。

 さて、最後に女神様が“妹”と言ったことにお気づきでしょうか。この妹とは…楽しみがなくなるのでここまでにしておきましょう。


 また小説家になろうのどこかで会いましょう。


追伸:メインキャラクターの設定を出すのでお楽しみに

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