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第一章 5話 回想 林間合宿ガイダンス

 陽光がよく差していた明るい村。シャーロズ家に来る前ガレットは明るい村で過ごしていた。

「ガレット!」

村の中を走り回る日々。

「ナユレット!」

楽しい日々を過ごしていた。だがその日々は長く続かなかった。

「あれ、なんか空が暗く、」

“奴ら”が来るまでは。

飛び起きたガレット。

「はあ、はあ、なんか、昔の夢見たな。」

懐かしい日々を。

「あの村を襲った奴ら、絶対許さない。」

着替えてガレットは食堂へ向かった。

「ガレット。今日は今度ある林間合宿の説明会があるから絶対寝るなよ?」

「分かってるって。まったくもう。」

林間合宿。森の中で周りとのコミュニケーションをして、一人で生きるスキルを磨く行事である。

「林間合宿、ハエが飛んでくるからあまり好きじゃないんだけどな。」

「俺も好きではない。アレは別名:婚約者(フィアンセ)探し。未来の伴侶を探すと言われている。とてつもなく面倒だ。」

「なら行かなきゃ良いじゃん。」

「必修だから無理だ。」

「だる。」


ー学園第一講談室にてー

鐘がなり生徒たちは席に着いた。

「誰が担当なんだろう。」

扉が開き一人の人物が入ってきた。

(あの人、片目がない?それに左足も義足だ。)

見るからに軍人。右目・左足の欠損。そして口の端が切れている。

「マキロ・ウェスタン大佐だ。今回の林間合宿でお前たちの担当をする。今日はガイダンスに来た。一言も漏らさず聞くように!」

軍部の人間が担当?しかも大佐って、何で割と軍部でも上の人間が担当なんだ?

「林間合宿は遊びではないことをよく覚えておけ!巷では別名:婚約者(フィアンセ)探しなどと言われているがそんな暇はない!」


「ガイダンスは以上!なにか質問があったら来るように。」

「ウェスタン大佐。何故あなたのような軍部でも上の方の人間が林間合宿の担当をするんですか?」

ガレットはマキロに質問した。

「知らん。俺は上から指示されたからな。」

大佐レベルを動かすなんてどんな人だよ。

「お前、名前は何と言う。」

「ガレット・リンズです。」

「お前がガレットか。学園長から話は聞いている。」

「え、何で学園長が?」

「知らん。」

何も知らんじゃねぇかこの人。

(コイツが件の人間か。普通に見せているようだが、普通ではないのだろうな。あの人が言うなら、相当な人間だろう。)

マキロが林間合宿の担当なったのは無論、学園長の指示なのだ。

「くれぐれも下手な真似はしないように。以上だ。」


「何なのよ。」


ーとある丘にある城にてー

「いよいよ、だね。」

“ある人”は丘の上に聳え立つ城から眼下に広がる町を眺めていた。

「林間合宿、楽しみだな。」

この国の頂点の影よ。

「準備はもう整っている。だが、まだ時期尚早。」

その時が来るのを、楽しみにしているよ。


「林間合宿、楽しみだな〜。」

「俺はあまり乗り気ではないがな。」

「何でよ!」

「どうせ他の女どもが群がってくるからな。侯爵家なんて高すぎず低すぎない爵位だから。」

「そういうもん?」

ガレットはアルスと学園内を歩いていた。

「そういうもんだ。そもそも俺は結婚願望なんてないのに。」

「確か、もうお兄さんがウチ継いでるからアルスが家継ぐ必要ないもんね。」

アルスには年が十個違う兄がいる。

「そうだ。兄貴が家継いでるし、俺が結婚しなくても良いってワケ。」

「アルスは家、継ぎたくなかったの?」

「継ぎたいワケないだろうが。あんな色んなものに縛られた仕事なんか嫌いだし。」

爵位が上がるほど仕事は増えるし家に帰る時間も少なくなってしまう。そんな堅苦しいことは嫌いだ。

「それでも俺に言い寄ってくる人間が減ったワケじゃない。だから林間合宿があまり乗り気じゃないんだよ。」

「まぁアルス、(・・)は良いもんね。」

「顔はとは何だお前。」

まあまあ美形と言って何が悪いんだよ。


ガレット・リンズ。8歳の時にシャーロズ家に来た、と。その前の足跡は不明。ただ村の出身ということしか分からない、と来たか。

「情報量が少ない!」

マキロは学園長から聞いたガレットについて少し考えを巡らせていた。

(学園長は恐らくガレットのことを知っているだろう。なら何故俺に教えない。俺に教えられないほどのことがあの娘の背後にあるというのか。俺でも聞いたら覆るほどのこと、か。)

ありえないが、俺に言わないということはそういうことだろう。


銃弾はこめられた。

後は、引き金を引くのみ。

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